ReactJS SyntheticEvent stopPropagation() 関数：詳細解説
ReactJS SyntheticEvent の stopPropagation() 関数：詳細解説
ReactJS の SyntheticEvent オブジェクトには、stopPropagation() 関数という便利なメソッドが用意されています。この関数は、イベントバブリングを制御するために使用されます。イベントバブリングとは、イベントが DOM ツリーを伝播していく現象のことを指します。
例えば、ボタンをクリックすると、そのボタン要素で click イベントが発生します。このイベントは、ボタン要素だけでなく、その親要素、さらにその親要素へと伝播していく可能性があります。これがイベントバブリングです。
stopPropagation() 関数は、このイベントバブリングを阻止するために使用できます。この関数を呼び出すと、イベントが現在の要素を超えて伝播しなくなります。
React イベントとネイティブイベント
React は、ブラウザのネイティブイベントとは異なる独自のイベントシステムを使用しています。React イベントは、合成イベントと呼ばれることもあります。合成イベントは、ブラウザのネイティブイベントとほぼ同じインターフェースを持っていますが、いくつかの重要な違いがあります。
重要な違いの 1 つは、stopPropagation() 関数が React イベントでのみ動作するということです。これは、React がイベントバブリングを内部的に処理しているためです。つまり、ネイティブイベントで stopPropagation() を呼び出しても、イベントバブリングは阻止されません。
ネイティブイベントでイベントバブリングを阻止するには、event.nativeEvent.stopPropagation() を呼び出す必要があります。このプロパティは、ネイティブイベントオブジェクトへの参照を返します。
ただし、この方法には 1 つ注意点があります。イベントリスナーの起動順序が保証されないことです。つまり、stopPropagation() を呼び出しても、必ずしもすべてのイベントリスナーがスキップされるとは限りません。
stopPropagation()関数は、React イベントのバブリングを阻止するために使用できます。- ネイティブイベントで
stopPropagation()を呼び出す場合、イベントリスナーの起動順序が保証されないことに注意する必要があります。
ReactJS で stopPropagation() 関数を使用する例
import React from 'react';
class ChildComponent extends React.Component {
handleClick = (event) => {
console.log('Child component clicked');
event.stopPropagation(); // 親コンポーネントへのイベント伝播を阻止
};
render() {
return <button onClick={this.handleClick}>Click me</button>;
}
}
class ParentComponent extends React.Component {
handleClick = () => {
console.log('Parent component clicked');
};
render() {
return (
<div onClick={this.handleClick}>
<ChildComponent />
</div>
);
}
}
export default ParentComponent;
この例では、ChildComponent コンポーネントには handleClick というイベントハンドラがあります。このハンドラは、ボタンがクリックされたときに呼び出され、コンソールにログメッセージを出力します。
ハンドラ内では、stopPropagation() 関数を呼び出して、イベントが親コンポーネントに伝播するのを阻止しています。
この例を実行すると、ボタンをクリックしても、ParentComponent コンポーネントの handleClick ハンドラは呼び出されません。これは、ChildComponent コンポーネントの stopPropagation() 関数がイベントバブリングを阻止しているためです。
以下の例は、stopPropagation() 関数をさまざまな状況で使用する方法を示しています。
- リスト項目のクリックを阻止して、デフォルトのアクションを無効にする
<li onClick={(event) => event.stopPropagation()}>リスト項目</li>
- モーダルダイアログの外側をクリックしても閉じないようにする
<div onClick={(event) => event.stopPropagation()}>
<Modal />
</div>
- ドロップダウンメニューが開いているときにドキュメントをクリックしても閉じないようにする
<Dropdown>
<Dropdown.Toggle onClick={(event) => event.stopPropagation()}>
Toggle dropdown
</Dropdown.Toggle>
<Dropdown.Menu>
<Dropdown.Item>Option 1</Dropdown.Item>
<Dropdown.Item>Option 2</Dropdown.Item>
<Dropdown.Item>Option 3</Dropdown.Item>
</Dropdown.Menu>
</Dropdown>
これらの例は、stopPropagation() 関数が React アプリケーションでイベントバブリングを制御する方法を示すほんの一例です。この関数は、さまざまな状況で使用して、アプリケーションの動作をより細かく制御することができます。
補足
stopPropagation()関数は、パフォーマンスに影響を与える可能性があることに注意する必要があります。イベントバブリングを阻止する必要がある場合は、慎重に使用してください。- 代替手段として、
preventDefault()関数を使用して、イベントのデフォルト動作を阻止することもできます。ただし、preventDefault()関数はイベントバブリングを阻止しません。
ReactJS でイベントバブリングを制御するその他の方法
コンポーネント階層を調整する
イベントバブリングを阻止する最も簡単な方法は、イベントが発生するコンポーネントとそれを処理するコンポーネントを別の階層に配置することです。
例えば、ボタンをクリックしたときに親コンポーネントでアクションを実行したい場合は、ボタンコンポーネントを親コンポーネントの子コンポーネントとして配置できます。こうすることで、ボタンのクリックイベントは親コンポーネントに直接伝播し、stopPropagation() 関数を使用する必要がなくなります。
例
class ChildComponent extends React.Component {
handleClick = () => {
this.props.onClick(); // 親コンポーネントにイベントを伝達
};
render() {
return <button onClick={this.handleClick}>Click me</button>;
}
}
class ParentComponent extends React.Component {
handleClick = () => {
console.log('Parent component clicked');
};
render() {
return (
<div>
<ChildComponent onClick={this.handleClick} />
</div>
);
}
}
カスタムイベントを使用する
別の方法は、カスタムイベントを使用して、イベントをコンポーネントツリー間で伝達することです。カスタムイベントは、React.createEvent() 関数を使用して作成できます。
この方法では、イベントを発生させるコンポーネントでイベントリスナーを登録する必要があり、イベントを処理するコンポーネントでイベントを発行する必要があります。
const customEvent = React.createEvent('onClick');
class ChildComponent extends React.Component {
handleClick = () => {
this.props.onClick(); // 親コンポーネントにイベントを伝達
};
render() {
return <button onClick={this.handleClick}>Click me</button>;
}
}
class ParentComponent extends React.Component {
componentDidMount() {
this.child.addEventListener('onClick', this.handleClick);
}
componentWillUnmount() {
this.child.removeEventListener('onClick', this.handleClick);
}
handleClick = () => {
console.log('Parent component clicked');
};
render() {
return (
<div>
<ChildComponent ref={(ref) => (this.child = ref)} />
</div>
);
}
}
React Context は、コンポーネントツリー間でデータを共有するためのもう 1 つの方法です。Context を使用すると、イベントデータを親コンポーネントから子コンポーネントに渡すことができます。
const MyContext = React.createContext();
class ChildComponent extends React.Component {
handleClick = () => {
this.context.onClick(); // 親コンポーネントにイベントを伝達
};
render() {
return <button onClick={this.handleClick}>Click me</button>;
}
}
class ParentComponent extends React.Component {
handleClick = () => {
console.log('Parent component clicked');
};
render() {
return (
<MyContext.Provider value={{ onClick: this.handleClick }}>
<ChildComponent />
</MyContext.Provider>
);
}
}
React Router を使用して、イベントを異なるルート間で伝達することもできます。
import { BrowserRouter, Routes, Route, Link } from 'react-router-dom';
function ChildComponent() {
const navigate = useNavigate();
const handleClick = () => {
navigate('/parent'); // 親コンポーネントのルートに移動
};
return <button onClick={handleClick}>Click me</button>;
}
function ParentComponent() {
return (
<div>
<p>Parent component</p>
<Link to="/">Home</Link>
</div>
);
}
const App = () => {
return (
<BrowserRouter>
<Routes>
<Route path="/" element={<ChildComponent />} />
<Route path="/parent" element={<ParentComponent />} />
</Routes>
</BrowserRouter>
);
};
javascript jquery reactjs
