【初心者向け】TypeScriptでオブジェクトを安全に扱う:非nullオブジェクトと分解代入

2024-07-27

TypeScriptにおける非nullオブジェクトの分解代入

TypeScriptにおける非nullオブジェクトの分解代入は、ES2015(JavaScript 6)で導入された機能をTypeScriptで安全に利用するための構文です。オブジェクトのプロパティを明示的に取り出し、変数に代入する際に、nullやundefinedの可能性を考慮したコードを書くことができます。

非nullオブジェクトとは

TypeScriptでは、!演算子を用いて、変数がnullまたはundefinedではないことを型注釈で明示することができます。例えば、以下のように記述できます。

let name: string | null = "TypeScript";
let newName: string = !name; // 型注釈により、newNameはstring型になる

この例では、name変数はstring型またはnull型ですが、!name演算子を用いることで、newName変数に代入される値は必ずstring型であることが保証されます。

分解代入とは

分解代入は、オブジェクトや配列からプロパティや要素を個別に抽出して、変数に代入する構文です。オブジェクトの分解代入の場合、以下のように記述できます。

const person = { name: "John Doe", age: 30 };
const { name, age } = person;
console.log(name); // "John Doe"
console.log(age); // 30

この例では、personオブジェクトからnameageプロパティを抽出し、それぞれnameage変数に代入しています。

非nullオブジェクトの分解代入

非nullオブジェクトの分解代入は、!演算子と分解代入を組み合わせることで実現できます。以下のように記述できます。

const person: { name: string | null, age: number } | null = { name: null, age: 30 };

if (person) {
  const { name, age } = person; // personがnullではないことが保証される
  console.log(name); // エラー: nameはstring型のはずだが、nullの可能性がある
  console.log(age); // 30
}

この例では、person変数がnullの可能性があることを考慮して、if文で囲んでいます。if文内でpersonがnullではないことが保証されるため、分解代入を用いてnameageプロパティを安全に取り出すことができます。

nullチェック省略構文

TypeScript 3.7以降では、nullチェック省略構文を用いて、より簡潔に非nullオブジェクトの分解代入を書くことができます。以下のように記述できます。

const person: { name: string | null, age: number } | null = { name: null, age: 30 };

const { name, age } = person ?? {}; // personがnullの場合は空オブジェクトを代入
console.log(name); // null
console.log(age); // 30



type Person = { name: string | null, age: number };

function greet(person: Person | null) {
  const { name, age } = person ?? {}; // personがnullの場合は空オブジェクトを代入
  if (name) {
    console.log(`Hello, ${name}! You are ${age} years old.`);
  } else {
    console.log("Invalid person object.");
  }
}

const person1: Person = { name: "John Doe", age: 30 };
const person2: Person = null;

greet(person1); // Hello, John Doe! You are 30 years old.
greet(person2); // Invalid person object.

greet関数内で、nullチェック省略構文を用いてpersonオブジェクトの分解代入を行っています。personがnullの場合は空オブジェクトを代入するため、nameプロパティがnullであっても、エラーが発生せずにコードを実行することができます。

type Person = { name: string | null, age: number };

function greet(person: Person | null) {
  if (person) {
    const { name, age } = person!; // personがnullではないことを保証
    console.log(`Hello, ${name}! You are ${age} years old.`);
  } else {
    console.log("Invalid person object.");
  }
}

const person1: Person = { name: "John Doe", age: 30 };
const person2: Person = null;

greet(person1); // Hello, John Doe! You are 30 years old.
greet(person2); // Invalid person object.



TypeScript 4.1以降では、オプションプロパティの型注釈を用いて、nullの可能性を考慮した分解代入を行うことができます。以下のように記述できます。

type Person = { name?: string, age: number };

function greet(person: Person | null) {
  const { name, age } = person;
  console.log(`Hello, ${name ?? "Unknown"}! You are ${age} years old.`);
}

const person1: Person = { age: 30 };
const person2: Person = null;

greet(person1); // Hello, Unknown! You are 30 years old.
greet(person2); // Hello, Unknown! You are 30 years old.

この例では、Person型というインターフェースを定義し、nameプロパティをオプションプロパティとして定義しています。オプションプロパティは、?記号を用いて定義します。

greet関数内で、分解代入の右側に型注釈を記述することで、nameプロパティがnullである可能性を考慮することができます。name ?? "Unknown"と記述することで、nameがnullの場合は"Unknown"という文字列を代入します。

型ガードを用いたnullチェック

型ガードを用いて、nullチェックを行い、その後分解代入を行うこともできます。以下のように記述できます。

type Person = { name: string, age: number };

function greet(person: Person | null) {
  if (person && typeof person === "object" && "name" in person) {
    const { name, age } = person;
    console.log(`Hello, ${name}! You are ${age} years old.`);
  } else {
    console.log("Invalid person object.");
  }
}

const person1: Person = { name: "John Doe", age: 30 };
const person2: Person = null;

greet(person1); // Hello, John Doe! You are 30 years old.
greet(person2); // Invalid person object.

この例では、greet関数内で型ガードを用いて、personがオブジェクト型であり、nameプロパティが存在することを確認しています。確認が取れた場合のみ、分解代入を実行します。

null許容型を用いた分解代入

type Person = { name: string | null, age: number };

function greet(person?: Person | null) {
  const { name, age } = person ?? {};
  console.log(`Hello, ${name ?? "Unknown"}! You are ${age} years old.`);
}

const person1: Person = { age: 30 };
const person2: Person = null;

greet(person1); // Hello, Unknown! You are 30 years old.
greet(person2); // Hello, Unknown! You are 30 years old.

上記3つの方法は、それぞれ異なる方法で非nullオブジェクトの分解代入を実現しています。状況に応じて、適切な方法を選択してください。

  • null許容型は、nullの可能性を明示的に示すことができ、コード的可読性を向上させることができます。
  • 型ガードは、より複雑なnullチェックを行う場合に役立ちます。
  • オプションプロパティの型注釈は、TypeScript 4.1以降でのみ使用できます。

typescript object ecmascript-6



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