LESS-CSSのcalc()オーバーライド防止
LESS-CSSは強力なCSSプリプロセッサですが、calc()
関数を使用する際に注意が必要です。LESSはデフォルトでcalc()
内の式を評価しようとするため、意図しない結果が生じることがあります。これを防ぐには、calc()
内の式をLESSの解釈から守る必要があります。
方法
-
エスケープ文字~の使用
.element { width: calc(~"100% - 20px"); }
エスケープ文字
~
を使用することで、LESSはcalc()
内の式をそのままCSSとして出力します。 -
LESSのstrictMathsオプション
LESS 1.4.0以降、strictMaths
オプションを使用できます。このオプションを有効にすると、LESSは括弧内の式のみを評価します。// LESSファイルの先頭に @strictMaths: true; .element { width: calc(100% - 20px); }
この設定により、
calc()
内の式がLESSの評価を回避し、CSSとしてそのまま出力されます。
注意
- エスケープ文字
~
を使用する場合、複雑な式では読みづらくなる可能性があります。 strictMaths
オプションは、LESSの数学機能の挙動に影響を与えるため、慎重に使用してください。
// LESS
// エスケープ文字 `~` を使用
.element {
width: calc(~"100% - 20px");
}
// コンパイル後のCSS
.element {
width: calc(100% - 20px);
}
// LESS
// `strictMaths` オプションを使用
@strictMaths: true;
.element {
width: calc(100% - 20px);
}
// コンパイル後のCSS
.element {
width: calc(100% - 20px);
}
解説
例1: エスケープ文字 ~
の使用
- これにより、LESS の数学演算が適用されず、意図した計算結果が得られます。
calc(~"100% - 20px")
のように、calc()
内の式を~
で囲むことで、LESS はその式をそのまま CSS として出力します。
例2: strictMaths
オプションの使用
calc(100% - 20px)
のように、括弧内の式が LESS の評価を回避し、CSS としてそのまま出力されます。@strictMaths: true;
を LESS ファイルの先頭に宣言することで、LESS は括弧内の式のみを評価するようになります。
CSS変数の利用
calc()
関数内でこれらの変数を参照することで、LESSの干渉を回避できます。- CSS変数を使用して、計算に必要な値を定義します。
:root {
--width: 100%;
--margin: 20px;
}
.element {
width: calc(var(--width) - var(--margin));
}
CSS ネストの活用
calc()
を含むセレクタをネストすることで、LESSの評価スコープを制限できます。
.element {
width: calc(100% - 20px);
}
プレプロセッサの切り替え
- LESS以外のCSSプリプロセッサ(SassやPostCSS)を使用することで、異なるアプローチや設定が可能になります。
- プレプロセッサの切り替えは、プロジェクトの規模やチームのスキルセットに応じて検討してください。
- CSS ネストの活用は、シンプルなケースや特定の構造に限定されることがあります。
- CSS変数の利用は、複雑な計算や動的な値の扱いに適しています。
最適な方法の選択
- 異なるアプローチや機能が必要
プレプロセッサの切り替えを検討してください。 - 特定の構造やスコープの制御
CSSネストが有用です。 - 複雑な計算や動的な値
CSS変数の利用が効果的です。 - シンプルで静的な計算
エスケープ文字~
やstrictMaths
オプションが適しています。
css less css-calc