Express.jsでミドルウェア間で変数を渡す
Express.jsにおけるnext()関数を使ったミドルウェア間の変数渡し
Express.jsでは、ミドルウェア(middleware)と呼ばれる関数を連結して、HTTPリクエストの処理を行います。各ミドルウェアは、リクエストオブジェクト(req)、レスポンスオブジェクト(res)、および次のミドルウェアを呼び出すためのnext関数を受け取ります。
next()関数は、次のミドルウェアを呼び出すためのものです。これにより、ミドルウェアのチェーンが順次実行されます。
変数の渡し方法
-
リクエストオブジェクト(req)への追加
- ミドルウェア内で、必要な変数をリクエストオブジェクトのプロパティとして追加します。
- 後続のミドルウェアで、このプロパティにアクセスして変数の値を取得できます。
app.use((req, res, next) => { req.userId = 123; next(); }); app.use((req, res) => { console.log(req.userId); // 出力: 123 });
-
ローカル変数の利用
- ミドルウェア内でローカル変数を定義し、その値を次のミドルウェアに渡すために、次のミドルウェアの呼び出し時に渡します。
app.use((req, res, next) => { const username = 'John Doe'; next(username); }); app.use((req, res, next, username) => { console.log(username); // 出力: John Doe });
注意事項
- エラー処理
next関数をエラーオブジェクトを渡して呼び出すことで、エラー処理ミドルウェアをトリガーすることができます。 - 変数のスコープ
ミドルウェア内で定義された変数は、そのミドルウェア内でのみ有効です。他のミドルウェアから直接アクセスすることはできません。
具体的な例
app.use((req, res, next) => {
req.user = {
id: 123,
name: 'Alice'
};
next();
});
app.use((req, res) => {
console.log(req.user.name); // 出力: Alice
});
この例では、最初のミドルウェアがリクエストオブジェクトにユーザー情報を追加し、次のミドルウェアでその情報にアクセスしています。
リクエストオブジェクトへの追加
app.use((req, res, next) => {
req.userId = 123;
next();
});
app.use((req, res) => {
console.log(req.userId); // 出力: 123
});
解説
- 2つ目のミドルウェア
req.userId
にアクセスして、先ほど設定された値を出力しています。- リクエストオブジェクトは、ミドルウェア間で共有されるため、2つ目のミドルウェアでも
userId
の値にアクセスできます。
- 1つ目のミドルウェア
この方法のメリット
- リクエストに関する情報を一元管理できる。
- 非常にシンプルで、直感的に理解しやすい。
ローカル変数の利用
app.use((req, res, next) => {
const username = 'John Doe';
next(username);
});
app.use((req, res, next, username) => {
console.log(username); // 出力: John Doe
});
- 2つ目のミドルウェア
- 1つ目のミドルウェア
username
というローカル変数を定義し、'John Doe'
という値を代入しています。next(username)
とすることで、username
の値を次のミドルウェアに渡しています。
- リクエストオブジェクトを汚染しない。
- 特定のミドルウェア間でしか共有しない変数の場合に有効。
どちらの方法を選ぶべきか?
- 特定のミドルウェア間でしか共有しない変数の場合
ローカル変数の利用が適しています。 - リクエストレベルの情報を共有したい場合
リクエストオブジェクトへの追加が一般的です。
重要なポイント
- 変数のスコープ
ミドルウェア内で定義された変数は、そのミドルウェア内でのみ有効です。
Express.js のミドルウェア間で変数を渡すには、リクエストオブジェクトへの追加とローカル変数の利用という2つの主な方法があります。どちらの方法を選ぶかは、状況に応じて判断しましょう。
- ミドルウェアの順番は重要です。前のミドルウェアで設定された値は、後のミドルウェアで利用できます。
next()
関数は、次のミドルウェアに制御を渡すために必ず呼び出す必要があります。
ローカル変数を引数として渡す
app.use((req, res, next) => {
const username = 'John Doe';
next(null, username); // エラーオブジェクトをnullにして、usernameを渡す
});
app.use((err, username, req, res) => {
if (err) {
// エラー処理
} else {
console.log(username); // 出力: John Doe
}
});
- 注意点
- ミドルウェアのシグネチャを変更する必要がある。
- エラーオブジェクトの扱い方を理解する必要がある。
- 特徴
- 柔軟性が高い。
- エラー処理を組み込める。
共通のオブジェクトを利用する
const sharedData = {};
app.use((req, res, next) => {
sharedData.userId = 123;
next();
});
app.use((req, res) => {
console.log(sharedData.userId); // 出力: 123
});
- 注意点
- 共通のオブジェクトを適切に管理しないと、状態が複雑になりやすい。
- マルチスレッド環境では注意が必要。
- 特徴
- 複数のミドルウェアで同じデータにアクセスできる。
- グローバルな状態を管理できる。
リクエストローカル変数を利用する
app.use((req, res, next) => {
res.locals.user = {
id: 123,
name: 'Alice'
};
next();
});
app.use((req, res) => {
console.log(res.locals.user.name); // 出力: Alice
});
- 注意点
- 特徴
- テンプレートエンジンで簡単にアクセスできる。
- リクエスト固有のデータを保持できる。
カスタムミドルウェアを作成する
function withData(data) {
return (req, res, next) => {
req.data = data;
next();
};
}
app.use(withData({ message: 'Hello' }));
app.use((req, res) => {
console.log(req.data.message); // 出力: Hello
});
- 注意点
- 特徴
- 再利用性が高い。
- 複雑なロジックをカプセル化できる。
- 再利用性と複雑なロジックをカプセル化したい場合
カスタムミドルウェアを作成する - テンプレートエンジンでデータを利用したい場合
リクエストローカル変数を利用する - 複数のミドルウェアで同じデータにアクセスしたい場合
共通のオブジェクトを利用する - 柔軟性とエラー処理が必要な場合
ローカル変数を引数として渡す - シンプルにデータを共有したい場合
リクエストオブジェクトへの追加
Express.js でミドルウェア間で変数を渡す方法は、状況に応じて様々な選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、適切な方法を選択することで、より効率的で保守性の高いアプリケーションを開発することができます。
- 各方法の選択は、アプリケーションの規模、複雑さ、およびチームの開発スタイルによって異なります。
- 上記以外にも、AsyncLocalStorage や Context API など、より高度な方法で変数を共有する方法もあります。
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