JavaScriptのシングルスレッド性について
JavaScriptのシングルスレッド性について
JavaScriptはシングルスレッド言語です。つまり、一度に一つのタスクしか実行できません。これは、JavaScriptのエンジンが、イベントループと呼ばれる仕組みを使って非同期処理を管理しているためです。
イベントループの仕組み
- コールスタック
JavaScriptエンジンが実行中の関数を記録するスタックです。 - タスクキュー
非同期処理が完了したときに実行される関数を待機するキューです。 - イベントループ
コールスタックが空になると、タスクキューから関数を取得して実行します。
この仕組みにより、JavaScriptはシングルスレッドでありながら、非同期処理を実現しています。
しかし、注意が必要です
- Web Workers
Modernブラウザでは、Web Workersと呼ばれる仕組みを使って、複数のJavaScriptスレッドを作成することができます。ただし、Web Workersはメインスレッドとは独立して動作し、直接通信する必要があります。 - Web API
JavaScriptエンジンは、ブラウザやサーバー環境の機能を提供するWeb APIを使用します。これらのAPIは非同期で動作するため、JavaScriptのシングルスレッド性とは関係なく、並行処理が可能になります。
シングルスレッド性の理解を深めるためのコード例
JavaScriptがシングルスレッドであることを理解するためには、以下のコード例が役立ちます。
同期処理
console.log('1番目に実行されます');
for (let i = 0; i < 1000000000; i++) {
// 時間がかかる処理
}
console.log('2番目に実行されます');
このコードでは、最初のconsole.log
が実行された後、非常に時間がかかるforループが実行されます。この間、JavaScriptエンジンは他の処理を行うことができません。そのため、2つ目のconsole.log
は、forループが完全に終了してから実行されます。これは、JavaScriptが一度に一つのタスクしか実行できないことを示しています。
console.log('1番目に実行されます');
setTimeout(() => {
console.log('3秒後に実行されます');
}, 3000);
console.log('2番目に実行されます');
setTimeout
関数を使うことで、非同期処理を行うことができます。このコードでは、最初のconsole.log
と2つ目のconsole.log
がすぐに実行され、3秒後にsetTimeout
内の関数が実行されます。これは、JavaScriptがイベントループという仕組みを使って非同期処理を管理しているためです。
イベントループの概念
console.log('1番目に実行されます');
function callback() {
console.log('コールバック関数');
}
setTimeout(callback, 0);
console.log('2番目に実行されます');
setTimeout
の第2引数に0を指定すると、次のイベントループで実行されます。しかし、次のイベントループは、現在のコードの実行が完了してから開始されるため、callback
関数は、他のコードの実行後に実行されます。
シングルスレッド性と非同期の関係
JavaScriptがシングルスレッドであるにも関わらず、非同期処理が可能であるのは、イベントループという仕組みがあるからです。イベントループは、コールスタックが空になると、タスクキューからタスクを取り出して実行します。
シングルスレッド性の注意点とWeb Workers
JavaScriptは基本的にシングルスレッドですが、以下の点に注意が必要です。
- Web Workers
CPU負荷の高い処理を別スレッドで実行することができます。 - Web API
setTimeout
,fetch
,XMLHttpRequest
などのWeb APIは非同期で動作します。
JavaScriptのシングルスレッド性は、JavaScriptの動作を理解する上で非常に重要な概念です。シングルスレッドであるということは、一度に一つのタスクしか実行できないことを意味しますが、イベントループやWeb API、Web Workersなどの仕組みによって、複雑な処理を実現することができます。
これらのコード例を通して、JavaScriptのシングルスレッド性と非同期処理の関係をより深く理解できるはずです。
- 競合状態
シングルスレッドであるため、一般的なマルチスレッドプログラミングで発生する競合状態を心配する必要はありません。 - 並行処理
JavaScriptは並行処理を直接サポートしていませんが、Web WorkersやNode.jsのワーカースレッドを使うことで、擬似的な並行処理を実現できます。
より詳細な解説については、以下のキーワードで検索してみてください。
- Web Workers
- Web API
- タスクキュー
- コールスタック
- イベントループ
- 利用例
- 大量のデータの処理
- 長時間の計算
- アニメーションのレンダリング
- 特徴
- メインスレッドとワーカスレッド間の通信は、メッセージパッシングを用います。
- ブラウザのサポート状況を確認する必要があります。
Node.jsのワーカースレッド
- 利用例
- I/Oバウンドな処理の並列化
- CPUバウンドな処理の分散
- 特徴
- Node.js固有の機能となります。
Promiseとasync/await
- 利用例
- 複数のAPI呼び出しの同時実行
- ファイル読み書き
- 特徴
- 並行処理ではなく、非同期処理を効率的に記述するための仕組みです。
- コールバック地獄を回避できます。
Generator
- 利用例
- カスタムイテレータの作成
- コルーチンの実装
- 特徴
- 非同期処理をより細かく制御できます。
- Async/awaitの基盤となる技術です。
サードパーティライブラリ
- 利用例
- 特徴
- ライブラリによって機能や使い方が異なります。
- Async.js, Parallel.jsなど
- サーバーサイドレンダリング
サーバーサイドでJavaScriptを実行することで、クライアント側の負荷を軽減できます。 - WebAssembly
C/C++などの低レベル言語で記述されたコードをWebブラウザ上で実行できます。
選択のポイント
- 開発環境
ブラウザ、Node.jsなど - データの共有
スレッド間でデータを共有する必要があるか - 並行性
複数のタスクを同時に実行したいのか、順番に実行したいのか - 処理の種類
CPUバウンドな処理か、I/Oバウンドな処理か
JavaScriptはシングルスレッド言語ですが、Web Workers、Node.jsのワーカースレッド、Promise、async/await、Generator、サードパーティライブラリ、WebAssembly、サーバーサイドレンダリングなど、様々な方法で並行処理や並列処理を実現することができます。
どの方法を選ぶかは、処理の種類、パフォーマンス要求、開発環境などによって異なります。 それぞれの特性を理解し、適切な方法を選択することが重要です。
- サーバーサイドレンダリング
- WebAssembly
- Async/await
- Promise
- Node.js Worker Threads
- JavaScript 並列処理
javascript concurrency