ES6クラス変数代替方法
JavaScriptのES6クラス変数代替について
ES6 (ECMAScript 6) では、クラス構文が導入されました。これにより、クラス変数を定義することが可能になりました。しかし、ES6以前のJavaScriptでは、クラス変数を直接定義することはできません。そのため、クラス変数に相当する機能を実現するために、いくつかの代替方法が使用されてきました。
プロトタイプチェーンの利用
- クラス変数をプロトタイプオブジェクトに定義することで、そのクラスのすべてのインスタンスがその変数にアクセスできるようになります。
- プロトタイプは、オブジェクトの親オブジェクトであり、そのオブジェクトのメソッドやプロパティを継承することができます。
function MyClass() {}
MyClass.prototype.classVariable = "value";
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(instance1.classVariable); // "value"
console.log(instance2.classVariable); // "value"
静的プロパティの利用
- クラス変数に相当する機能を実現するために、静的プロパティを使用することができます。
- 静的プロパティは、クラス自体に属するプロパティであり、インスタンスごとに個別の値を持つものではありません。
class MyClass {
static classVariable = "value";
}
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(MyClass.classVariable); // "value"
console.log(instance1.classVariable); // "value"
console.log(instance2.classVariable); // "value"
クロージャの利用
- クラスのコンストラクタ内で定義された関数をクロージャとして使用することで、クラス変数に相当する機能を実現することができます。
- クロージャは、関数が定義されたときのスコープを保持する関数です。
function MyClass() {
const classVariable = "value";
this.getVariable = function() {
return classVariable;
};
}
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(instance1.getVariable()); // "value"
console.log(instance2.getVariable()); // "value"
ES6クラス変数代替方法のコード例解説
function MyClass() {}
MyClass.prototype.classVariable = "value";
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(instance1.classVariable); // "value"
console.log(instance2.classVariable); // "value"
instance2
についても同様です。console.log(instance1.classVariable);
instance1
からclassVariable
にアクセスし、値を出力しています。- プロトタイプチェーンをたどって、
MyClass.prototype.classVariable
の値が取得されます。
const instance1 = new MyClass();
MyClass
の新しいインスタンスを作成し、instance1
に代入しています。
MyClass.prototype.classVariable = "value";
MyClass
のプロトタイプオブジェクトにclassVariable
というプロパティを追加し、値を"value"に設定しています。- このプロパティは、
MyClass
のすべてのインスタンスからアクセスできます。
ポイント
- しかし、インスタンスごとに異なる値を持つ変数には適していません。
- プロトタイプチェーンを利用することで、すべてのインスタンスで共有される変数を簡単に作成できます。
class MyClass {
static classVariable = "value";
}
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(MyClass.classVariable); // "value"
console.log(instance1.classVariable); // "value"
console.log(instance2.classVariable); // "value"
console.log(instance1.classVariable);
- インスタンスからアクセスした場合も、プロトタイプチェーンをたどって
MyClass.classVariable
にアクセスします。
- インスタンスからアクセスした場合も、プロトタイプチェーンをたどって
console.log(MyClass.classVariable);
static classVariable = "value";
- 静的プロパティは、クラス名を使って直接アクセスできます。
- インスタンス固有の変数ではありません。
- クラスレベルで共有したい変数に適しています。
function MyClass() {
const classVariable = "value";
this.getVariable = function() {
return classVariable;
};
}
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(instance1.getVariable()); // "value"
console.log(instance2.getVariable()); // "value"
console.log(instance1.getVariable());
instance1
のgetVariable
メソッドを呼び出し、classVariable
の値を取得しています。
this.getVariable = function() { ... };
getVariable
メソッドを定義し、classVariable
にアクセスする関数を作成しています。
const classVariable = "value";
- コンストラクタ内で
classVariable
を定義し、クロージャを作成しています。
- コンストラクタ内で
- しかし、コードが少し複雑になる場合があります。
- 各インスタンスが独自の
classVariable
を持つような挙動を実現できます。
ES6クラス変数代替方法には、プロトタイプチェーン、静的プロパティ、クロージャの3つの主な方法があります。それぞれの方法に特徴があり、状況に応じて使い分けることが重要です。
- クロージャ
インスタンスごとに異なる値を持つ変数 - 静的プロパティ
クラスレベルで共有する変数 - プロトタイプチェーン
すべてのインスタンスで共有する変数
- メリット
シンプルで直感的な方法です。 - 考え方
すべてのオブジェクトは、プロトタイプと呼ばれるオブジェクトを継承します。クラス変数をプロトタイプオブジェクトに定義することで、そのクラスのすべてのインスタンスがその変数にアクセスできるようになります。
function MyClass() {}
MyClass.prototype.classVariable = "value";
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(instance1.classVariable); // "value"
console.log(instance2.classVariable); // "value"
- 考え方
クラス自体に属するプロパティを静的プロパティと呼びます。クラス変数のように、すべてのインスタンスからアクセスできます。
class MyClass {
static classVariable = "value";
}
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(MyClass.classVariable); // "value"
console.log(instance1.classVariable); // "value"
console.log(instance2.classVariable); // "value"
- 考え方
関数内で定義された関数は、その関数のスコープを保持します。この仕組みを利用して、クラス変数のような挙動を実現できます。
function MyClass() {
const classVariable = "value";
this.getVariable = function() {
return classVariable;
};
}
const instance1 = new MyClass();
const instance2 = new MyClass();
console.log(instance1.getVariable()); // "value"
console.log(instance2.getVariable()); // "value"
これらの方法を状況に応じて使い分けることで、ES6以前のJavaScriptでもクラス変数のような機能を実現できます。ES6以降は、class
構文が導入されたため、より直感的にクラス変数を定義できるようになりましたが、これらの代替方法を理解しておくことで、JavaScriptの仕組みをより深く理解することができます。
- ES6のクラス構文
ES6以降は、class
キーワードを使ってクラスを定義できるようになりました。この方法では、クラス変数をより自然に定義できます。
どの方法を選ぶべきか?
- パフォーマンス
どの方法が最も高速なのか。 - コードの可読性
どの方法が最もシンプルでわかりやすいのか。 - 変数のスコープ
全てのインスタンスで共有したいのか、インスタンスごとに異なる値を持たせたいのか。
javascript class ecmascript-6