イベントループにおけるタスクの優先度
JavaScript のイベントループは、非同期処理を管理する重要なメカニズムです。その中で、マイクロタスクとマクロタスクという2つの概念が重要な役割を果たしています。
マイクロタスク
- 実行タイミング
- 各マクロタスクの処理が完了した後、イベントループはマイクロタスクキューにあるすべてのタスクを処理します。
- マイクロタスクが新しいマイクロタスクをスケジュールした場合、それらも現在のイベントループのサイクル内で処理されます。
- 主な例
- Promise の
then
やcatch
メソッドのコールバック process.nextTick()
(Node.js)
- Promise の
- 優先度が高い
マイクロタスクは、マクロタスクよりも高い優先度を持ちます。
- 実行タイミング
- 主な例
setTimeout
setInterval
- I/O イベント
- UI イベント
イベントループの動作
- JavaScript エンジンがコードを実行します。
- 同期コードが実行されます。
- マクロタスクがスケジュールされます (e.g.,
setTimeout
)。 - 同期コードの実行が完了します。
- マイクロタスクキューが処理されます。
- ステップ 6 と 7 を繰り返し、イベントループが継続します。
Node.js と Promise
- Promise
Promise は非同期操作の結果を扱うためのオブジェクトです。then
メソッドのコールバックはマイクロタスクとしてスケジュールされます。 - Node.js
Node.js は JavaScript の非同期プログラミングを強力にサポートします。I/O 操作やネットワークリクエストは非同期に行われ、イベントループによって管理されます。
// マイクロタスクの例 (Promise)
console.log('1. Before Promise');
const promise = new Promise((resolve) => {
setTimeout(() => {
console.log('2. Inside Promise (setTimeout)');
resolve();
}, 0);
});
promise.then(() => {
console.log('3. After Promise');
});
console.log('4. After Promise.then');
// マクロタスクの例 (setTimeout)
setTimeout(() => {
console.log('5. setTimeout');
}, 0);
console.log('6. After setTimeout');
解説
このコードを実行すると、以下のような出力結果が得られます:
1. Before Promise
4. After Promise.then
6. After setTimeout
2. Inside Promise (setTimeout)
3. After Promise
5. setTimeout
解説
console.log('1. Before Promise');
: 最初に実行される同期コードです。new Promise()
: Promise オブジェクトが作成されます。setTimeout(() => { ... }, 0)
: 0 ミリ秒後に実行されるマクロタスクがスケジュールされます。しかし、イベントループはすぐにこのマクロタスクを実行せず、まずマイクロタスクを処理します。promise.then(() => { ... })
: Promise のthen
メソッドのコールバック関数はマイクロタスクとしてスケジュールされます。console.log('4. After Promise.then');
: 同期コードが実行されます。- マイクロタスクの処理
イベントループはマイクロタスクキューからpromise.then()
のコールバックを取り出し、実行します。これにより、console.log('3. After Promise');
が出力されます。 - マクロタスクの処理
マイクロタスクキューが空になった後、イベントループはマクロタスクキューからsetTimeout
のコールバックを取り出し、実行します。これにより、console.log('5. setTimeout');
が出力されます。
ポイント
- イベントループはマイクロタスクとマクロタスクを適切に処理することで、非同期処理を管理する。
- Promise の
then
メソッドのコールバックはマイクロタスクとしてスケジュールされる。 setTimeout
で 0 ミリ秒を設定しても、すぐに実行されるわけではない。- マイクロタスクはマクロタスクよりも優先度が高い。
JavaScript のイベントループにおけるマイクロタスクとマクロタスクの概念は、非同期プログラミングの重要な基盤です。しかし、特定の状況下では、これらの概念を直接扱う代わりに、より抽象的なアプローチやライブラリを利用することで、コードの可読性や保守性を向上させることができます。
Async/Await
- マイクロタスクの利用
内部的には、await
キーワードの後に続く非同期操作は、Promise を利用してマイクロタスクとしてスケジュールされます。 - シンプルで同期的なスタイル
async/await
は、非同期操作を同期的に書くことができるようにする構文糖衣です。
async function fetchData() {
const data = await fetch('https://api.example.com/data');
console.log(data);
}
fetchData();
Promise Chaining
- 順次的な非同期処理
Promise のthen
メソッドをチェーンすることで、複数の非同期操作を順次的に実行できます。
fetch('https://api.example.com/data')
.then(response => response.json())
.then(data => console.log(data))
.catch(error => console.error(error));
Async/Await と Promise Chaining の組み合わせ
- 柔軟な非同期処理
async/await
と Promise Chaining を組み合わせることで、より複雑な非同期処理を表現できます。
async function fetchDataAndProcess() {
const data = await fetch('https://api.example.com/data');
const processedData = await processData(data);
console.log(processedData);
}
fetchDataAndProcess();
ライブラリの利用
- 抽象化と簡素化
様々なライブラリ(e.g., RxJS, Async/Await Utilities)を利用することで、非同期処理をより抽象化し、簡潔に書くことができます。
注意
- 適切なアプローチを選択する際には、コードの可読性、保守性、パフォーマンス、およびプロジェクトの要件を考慮する必要があります。
- これらのアプローチは、マイクロタスクとマクロタスクの概念を直接扱うわけではないですが、内部的にはこれらのメカニズムを利用しています。
javascript node.js promise