イベントループにおけるタスクの優先度

2024-10-30

JavaScript のイベントループは、非同期処理を管理する重要なメカニズムです。その中で、マイクロタスクとマクロタスクという2つの概念が重要な役割を果たしています。

マイクロタスク

  • 実行タイミング
    • 各マクロタスクの処理が完了した後、イベントループはマイクロタスクキューにあるすべてのタスクを処理します。
    • マイクロタスクが新しいマイクロタスクをスケジュールした場合、それらも現在のイベントループのサイクル内で処理されます。
  • 主な例
    • Promise の thencatch メソッドのコールバック
    • process.nextTick() (Node.js)
  • 優先度が高い
    マイクロタスクは、マクロタスクよりも高い優先度を持ちます。
  • 実行タイミング
  • 主な例
    • setTimeout
    • setInterval
    • I/O イベント
    • UI イベント

イベントループの動作

  1. JavaScript エンジンがコードを実行します。
  2. 同期コードが実行されます。
  3. マクロタスクがスケジュールされます (e.g., setTimeout)。
  4. 同期コードの実行が完了します。
  5. マイクロタスクキューが処理されます。
  6. ステップ 6 と 7 を繰り返し、イベントループが継続します。

Node.js と Promise

  • Promise
    Promise は非同期操作の結果を扱うためのオブジェクトです。then メソッドのコールバックはマイクロタスクとしてスケジュールされます。
  • Node.js
    Node.js は JavaScript の非同期プログラミングを強力にサポートします。I/O 操作やネットワークリクエストは非同期に行われ、イベントループによって管理されます。



// マイクロタスクの例 (Promise)
console.log('1. Before Promise');

const promise = new Promise((resolve) => {
  setTimeout(() => {
    console.log('2. Inside Promise (setTimeout)');
    resolve();
  }, 0);
});

promise.then(() => {
  console.log('3. After Promise');
});

console.log('4. After Promise.then');

// マクロタスクの例 (setTimeout)
setTimeout(() => {
  console.log('5. setTimeout');
}, 0);

console.log('6. After setTimeout');

解説

このコードを実行すると、以下のような出力結果が得られます:

1. Before Promise
4. After Promise.then
6. After setTimeout
2. Inside Promise (setTimeout)
3. After Promise
5. setTimeout

解説

  1. console.log('1. Before Promise');: 最初に実行される同期コードです。
  2. new Promise(): Promise オブジェクトが作成されます。
  3. setTimeout(() => { ... }, 0): 0 ミリ秒後に実行されるマクロタスクがスケジュールされます。しかし、イベントループはすぐにこのマクロタスクを実行せず、まずマイクロタスクを処理します。
  4. promise.then(() => { ... }): Promise の then メソッドのコールバック関数はマイクロタスクとしてスケジュールされます。
  5. console.log('4. After Promise.then');: 同期コードが実行されます。
  6. マイクロタスクの処理
    イベントループはマイクロタスクキューから promise.then() のコールバックを取り出し、実行します。これにより、console.log('3. After Promise'); が出力されます。
  7. マクロタスクの処理
    マイクロタスクキューが空になった後、イベントループはマクロタスクキューから setTimeout のコールバックを取り出し、実行します。これにより、console.log('5. setTimeout'); が出力されます。

ポイント

  • イベントループはマイクロタスクとマクロタスクを適切に処理することで、非同期処理を管理する。
  • Promise の then メソッドのコールバックはマイクロタスクとしてスケジュールされる。
  • setTimeout で 0 ミリ秒を設定しても、すぐに実行されるわけではない。
  • マイクロタスクはマクロタスクよりも優先度が高い。



JavaScript のイベントループにおけるマイクロタスクとマクロタスクの概念は、非同期プログラミングの重要な基盤です。しかし、特定の状況下では、これらの概念を直接扱う代わりに、より抽象的なアプローチやライブラリを利用することで、コードの可読性や保守性を向上させることができます。

Async/Await

  • マイクロタスクの利用
    内部的には、await キーワードの後に続く非同期操作は、Promise を利用してマイクロタスクとしてスケジュールされます。
  • シンプルで同期的なスタイル
    async/await は、非同期操作を同期的に書くことができるようにする構文糖衣です。
async function fetchData() {
  const data = await fetch('https://api.example.com/data');
  console.log(data);
}

fetchData();

Promise Chaining

  • 順次的な非同期処理
    Promise の then メソッドをチェーンすることで、複数の非同期操作を順次的に実行できます。
fetch('https://api.example.com/data')
  .then(response => response.json())
  .then(data => console.log(data))
  .catch(error => console.error(error));

Async/Await と Promise Chaining の組み合わせ  

  • 柔軟な非同期処理
    async/await と Promise Chaining を組み合わせることで、より複雑な非同期処理を表現できます。
async function fetchDataAndProcess() {
  const data = await fetch('https://api.example.com/data');
  const processedData = await processData(data);
  console.log(processedData);
}

fetchDataAndProcess();

ライブラリの利用

  • 抽象化と簡素化
    様々なライブラリ(e.g., RxJS, Async/Await Utilities)を利用することで、非同期処理をより抽象化し、簡潔に書くことができます。

注意

  • 適切なアプローチを選択する際には、コードの可読性、保守性、パフォーマンス、およびプロジェクトの要件を考慮する必要があります。
  • これらのアプローチは、マイクロタスクとマクロタスクの概念を直接扱うわけではないですが、内部的にはこれらのメカニズムを利用しています。

javascript node.js promise



テキストエリア自動サイズ調整 (Prototype.js)

Prototype. js を使用してテキストエリアのサイズを自動調整する方法について説明します。Prototype. js を読み込みます。window. onload イベントを使用して、ページの読み込み後にスクリプトを実行します。$('myTextarea') でテキストエリアの要素を取得します。...


JavaScript数値検証 IsNumeric() 解説

JavaScriptでは、入力された値が数値であるかどうかを検証する際に、isNaN()関数やNumber. isInteger()関数などを利用することが一般的です。しかし、これらの関数では小数点を含む数値を適切に検出できない場合があります。そこで、小数点を含む数値も正しく検証するために、IsNumeric()関数を実装することが有効です。...


jQueryによるHTMLエスケープ解説

JavaScriptやjQueryでHTMLページに動的にコンテンツを追加する際、HTMLの特殊文字(<, >, &, など)をそのまま使用すると、意図しないHTML要素が生成される可能性があります。これを防ぐために、HTML文字列をエスケープする必要があります。...


JavaScriptフレームワーク:React vs Vue.js

JavaScriptは、Webページに動的な機能を追加するために使用されるプログラミング言語です。一方、jQueryはJavaScriptライブラリであり、JavaScriptでよく行う操作を簡略化するためのツールを提供します。jQueryを学ぶ場所...


JavaScriptオブジェクトプロパティの未定義検出方法

JavaScriptでは、オブジェクトのプロパティが定義されていない場合、そのプロパティへのアクセスはundefinedを返します。この現象を検出して適切な処理を行うことが重要です。最も単純な方法は、プロパティの値を直接undefinedと比較することです。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



JavaScript、HTML、CSSでWebフォントを検出する方法

CSS font-family プロパティを使用するCSS font-family プロパティは、要素に適用されるフォントファミリーを指定するために使用されます。このプロパティを使用して、Webページで使用されているフォントのリストを取得できます。


ポップアップブロック検知とJavaScript

ポップアップブロックを検知する目的ポップアップブロックはユーザーのプライバシーやセキュリティを保護するためにブラウザに組み込まれている機能です。そのため、ポップアップブロックが有効になっている場合、ポップアップを表示することができません。この状況を検知し、適切な対策を講じるために、JavaScriptを使用することができます。


HTML要素の背景色をJavaScriptでCSSプロパティを使用して設定する方法

JavaScriptを使用すると、CSSプロパティを動的に変更して、HTML要素の背景色を制御できます。この方法により、ユーザーの入力やページの状況に応じて、背景色をカスタマイズすることができます。HTML要素の参照を取得HTML要素の参照を取得


JavaScript オブジェクトの長さについて

JavaScriptにおけるオブジェクトは、プロパティとメソッドを持つデータ構造です。プロパティはデータの値を保持し、メソッドはオブジェクトに対して実行できる関数です。JavaScriptの標準的なオブジェクトには、一般的に「長さ」という概念はありません。これは、配列のようなインデックスベースのデータ構造ではないためです。


JavaScriptグラフ可視化ライブラリ解説

JavaScriptは、ウェブブラウザ上で動作するプログラミング言語です。その中で、グラフの可視化を行うためのライブラリが数多く存在します。これらのライブラリは、データ構造やアルゴリズムを視覚的に表現することで、理解を深める助けとなります。