JavaScriptにおけるオブジェクトマージ:スプレッド構文で実現するシャローマージとディープマージ

2024-06-14

JavaScriptにおけるスプレッド構文を用いたディープマージとシャローマージの詳細解説

JavaScriptにおいて、オブジェクトや配列を結合する方法はいくつか存在しますが、その中でも汎用性と利便性が高いのが「スプレッド構文」を用いた方法です。しかし、スプレッド構文によるマージには「シャローマージ」と「ディープマージ」の2種類があり、それぞれ異なる挙動を示します。本記事では、この2つのマージの違いと、それぞれの具体的な実装方法について詳しく解説します。

シャローマージとは

シャローマージとは、オブジェクトや配列の1つ上の階層のみを結合する方法です。具体的には、スプレッド構文を用いてソースオブジェクトのプロパティを展開し、ターゲットオブジェクトにコピーします。この際、ソースオブジェクト内のプロパティがオブジェクトや配列の場合、それらは参照渡しとなり、元のオブジェクトと同じオブジェクト・配列が共有されることになります。

例:シャローマージ

const sourceObject = {
  prop1: 'value1',
  prop2: {
    key1: 'value2',
    key2: 'value3'
  }
};

const targetObject = {};

const mergedObject = { ...targetObject, ...sourceObject };

console.log(mergedObject); // { prop1: 'value1', prop2: { key1: 'value2', key2: 'value3' } }
console.log(mergedObject.prop2 === sourceObject.prop2); // true (同じオブジェクトを参照)

上記の例では、mergedObject.prop2 には sourceObject.prop2 への参照が格納されています。そのため、mergedObject.prop2 を変更すると、sourceObject.prop2 の内容も同様に更新されてしまいます。

ディープマージとは

ディープマージとは、オブジェクトや配列を再帰的に探索し、全ての子孫プロパティを結合する方法です。つまり、シャローマージとは異なり、ネストされたオブジェクトや配列も全て新しいオブジェクト・配列にコピーされます。その結果、元のオブジェクトとは独立した、新しいデータ構造が生成されます。

例:ディープマージ

const sourceObject = {
  prop1: 'value1',
  prop2: {
    key1: 'value2',
    key2: 'value3'
  }
};

const targetObject = {};

function deepMerge(target, source) {
  for (const key of Object.keys(source)) {
    if (isObject(source[key])) {
      if (!isObject(target[key])) {
        target[key] = {};
      }
      deepMerge(target[key], source[key]);
    } else {
      target[key] = source[key];
    }
  }
  return target;
}

const mergedObject = deepMerge(targetObject, sourceObject);

console.log(mergedObject); // { prop1: 'value1', prop2: { key1: 'value2', key2: 'value3' } }
console.log(mergedObject.prop2 === sourceObject.prop2); // false (異なるオブジェクト)

上記の例では、deepMerge 関数を用いてディープマージを実装しています。この関数では、ソースオブジェクトのプロパティを再帰的に処理し、ターゲットオブジェクトにコピーしています。また、ネストされたオブジェクトや配列を検知した場合、再帰的にマージ処理を実行することで、完全なディープマージを実現しています。

シャローマージとディープマージは、それぞれ異なるユースケースに適しています。

    • オブジェクトや配列の単純な結合
    • 参照渡しによるデータ共有が必要な場合
    • パフォーマンスが重要となる場合
    • ネストされた構造を持つオブジェクトや配列の結合
    • 元のオブジェクトとは独立した新しいデータ構造が必要な場合
    • データの不変性を保ちたい場合

まとめ

JavaScriptにおけるスプレッド構文は、オブジェクトや配列をマージする際に非常に便利な機能です。しかし、シャローマージとディープマージの挙動の違いを理解し、それぞれの特性を活かした使い分けを行うことが重要です。

  • [JavaScriptでオブジェクトをマージ(結合)



// シャローマージ

const sourceObject = {
  prop1: 'value1',
  prop2: {
    key1: 'value2',
    key2: 'value3'
  }
};

const targetObject = {};

const mergedObject = { ...targetObject, ...sourceObject };

console.log(mergedObject); // { prop1: 'value1', prop2: { key1: 'value2', key2: 'value3' } }
console.log(mergedObject.prop2 === sourceObject.prop2); // true (同じオブジェクトを参照)


// ディープマージ

const sourceObject = {
  prop1: 'value1',
  prop2: {
    key1: 'value2',
    key2: {
      nest1: 'value4',
      nest2: 'value5'
    }
  }
};

const targetObject = {};

function deepMerge(target, source) {
  for (const key of Object.keys(source)) {
    if (isObject(source[key])) {
      if (!isObject(target[key])) {
        target[key] = {};
      }
      deepMerge(target[key], source[key]);
    } else {
      target[key] = source[key];
    }
  }
  return target;
}

const mergedObject = deepMerge(targetObject, sourceObject);

console.log(mergedObject); // { prop1: 'value1', prop2: { key1: 'value2', key2: { nest1: 'value4', nest2: 'value5' } } }
console.log(mergedObject.prop2 === sourceObject.prop2); // false (異なるオブジェクト)

シャローマージの例では、スプレッド構文を用いて sourceObject のプロパティを targetObject に展開しています。この結果、mergedObject には sourceObject のプロパティがそのままコピーされています。また、mergedObject.prop2sourceObject.prop2 への参照となるため、mergedObject.prop2 を変更すると sourceObject.prop2 の内容も更新されます。

このように、シャローマージとディープマージは、それぞれ異なる挙動を示します。それぞれの特性を理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。




JavaScriptにおけるディープマージの実装方法:その他の方法

Object.assign 関数は、ソースオブジェクトのプロパティをターゲットオブジェクトにコピーする際に便利な機能です。この関数を用いてディープマージを実現するには、再帰的に処理を行う必要があります。

const sourceObject = {
  prop1: 'value1',
  prop2: {
    key1: 'value2',
    key2: 'value3'
  }
};

const targetObject = {};

function deepMerge(target, source) {
  for (const key of Object.keys(source)) {
    if (isObject(source[key])) {
      if (!isObject(target[key])) {
        target[key] = {};
      }
      deepMerge(target[key], source[key]);
    } else {
      Object.assign(target, { [key]: source[key] });
    }
  }
  return target;
}

const mergedObject = deepMerge(targetObject, sourceObject);

console.log(mergedObject); // { prop1: 'value1', prop2: { key1: 'value2', key2: 'value3' } }
console.log(mergedObject.prop2 === sourceObject.prop2); // false (異なるオブジェクト)

上記の例では、deepMerge 関数の中で Object.assign を用いてソースオブジェクトのプロパティをコピーしています。この方法も、再帰的に処理を行うことでディープマージを実現しています。

lodash.merge を用いた方法

lodash は、JavaScriptにおける様々なユーティリティ関数を提供するライブラリです。このライブラリには、merge 関数というディープマージ専用の関数が用意されています。

const sourceObject = {
  prop1: 'value1',
  prop2: {
    key1: 'value2',
    key2: 'value3'
  }
};

const targetObject = {};

const mergedObject = _.merge(targetObject, sourceObject);

console.log(mergedObject); // { prop1: 'value1', prop2: { key1: 'value2', key2: 'value3' } }
console.log(mergedObject.prop2 === sourceObject.prop2); // false (異なるオブジェクト)

上記の例では、lodashmerge 関数を用いてディープマージを行っています。この関数は、引数として複数のオブジェクトを渡すことで、それらを結合することができます。

自作関数による方法

上記の2つの方法以外にも、自作関数を用いてディープマージを実現することも可能です。この方法は、より柔軟なカスタマイズが可能ですが、実装コストが高くなるというデメリットもあります。

function deepMerge(target, source) {
  for (const key of Object.keys(source)) {
    if (isObject(source[key])) {
      if (!isObject(target[key])) {
        target[key] = {};
      }
      deepMerge(target[key], source[key]);
    } else {
      target[key] = source[key];
    }
  }
  return target;
}

上記の例は、自作関数によるディープマージの実装例です。この関数は、再帰的に処理を行うことで、ネストされたオブジェクトや配列も全て新しいオブジェクト・配列にコピーします。

それぞれの方法の比較

方法メリットデメリット
スプレッド構文シンプルで分かりやすいネストが深い場合、コードが冗長になる可能性がある
Object.assign比較的シンプル再帰処理が必要
lodash.merge簡単で使いやすいライブラリの導入が必要
自作関数柔軟性が高い実装コストが高い

JavaScriptにおけるディープマージには、様々な方法が存在します。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

  • [How to deep merge arrays and objects with JavaScript - Go Make

javascript spread-syntax


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