JavaScriptにおけるオブジェクトスプレッドとObject.assignの違い

2024-09-28

オブジェクトスプレッドObject.assignは、JavaScriptのオブジェクトを操作するための2つの強力な手法です。どちらも既存のオブジェクトから新しいオブジェクトを作成する際に役立ちますが、その挙動や用途は若干異なります。

オブジェクトスプレッド

オブジェクトスプレッドは、ES6で導入されたシンタックスです。既存のオブジェクトのプロパティを新しいオブジェクトに展開(スプレッド)する際に使用されます。

const originalObject = { name: "Alice", age: 30 };
const newObject = { ...originalObject, city: "Tokyo" };
console.log(newObject); // Output: { name: 'Alice', age: 30, city: 'Tokyo' }

この例では、originalObjectのプロパティが新しいオブジェクトnewObjectに展開され、さらに新しいプロパティcityが追加されています。

Object.assign

Object.assignは、ES6で導入された組み込み関数です。既存のオブジェクトのプロパティを別のオブジェクトにコピーする際に使用されます。

const originalObject = { name: "Alice", age: 30 };
const newObject = Object.assign({}, originalObject, { city: "Tokyo" });
console.log(newObject); // Output: { name: 'Alice', age: 30, city: 'Tokyo' }

この例では、Object.assignを使用して、originalObjectのプロパティを空のオブジェクトにコピーし、さらに新しいプロパティcityを追加しています。

重要な違い

  • オブジェクトの変更: オブジェクトスプレッドは新しいオブジェクトを作成するため、元のオブジェクトを変更しません。一方、Object.assignは既存のオブジェクトを変更することがあります。
  • プロパティの重複: オブジェクトスプレッドは、同じ名前のプロパティが重複した場合、後続のプロパティが優先されます。Object.assignは、重複するプロパティを上書きします。
  • ネストされたオブジェクト: オブジェクトスプレッドはネストされたオブジェクトを浅くコピーします。Object.assignも同様に浅いコピーを行います。

いつどちらを使うべきか

  • 新しいオブジェクトを作成したい場合: オブジェクトスプレッドが一般的に推奨されます。
  • 既存のオブジェクトを変更したい場合: Object.assignを使用できますが、注意が必要です。
  • ネストされたオブジェクトの深いコピーが必要な場合: JSON.parse(JSON.stringify(object))を使用することもできますが、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。



オブジェクトスプレッドとObject.assignの具体的な例と解説

// 元のオブジェクト
const person = {
  name: '太郎',
  age: 30
};

// 新しいオブジェクトを作成(スプレッド構文)
const newPerson = {
  ...person,
  city: '東京'
};

console.log(newPerson); // 出力: { name: '太郎', age: 30, city: '東京' }

解説:

  • ...personの部分で、personオブジェクトのプロパティが全てnewPersonに展開されます。
  • 既存のpersonオブジェクトは変更されません。
  • 新しいプロパティcityを追加することができます。
const person = {
  name: '太郎',
  age: 30
};

const newPerson = Object.assign({}, person, { city: '東京' });

console.log(newPerson); // 出力: { name: '太郎', age: 30, city: '東京' }
  • Object.assignの第一引数に空のオブジェクト{}を指定することで、新しいオブジェクトを作成します。
  • 第二引数以降にコピー元のオブジェクトを指定します。
  • 複数のオブジェクトを指定した場合、後続のオブジェクトのプロパティが前のオブジェクトのプロパティを上書きします。

オブジェクト操作の2つの方法の比較

特徴オブジェクトスプレッドObject.assign
構文简潔で直感的メソッド呼び出し
新しいオブジェクトの作成容易第一引数に空のオブジェクトを指定
既存オブジェクトの変更しない変更する可能性がある
プロパティの重複後続のプロパティが優先後続のプロパティで上書き
ネストされたオブジェクト浅いコピー浅いコピー
  • 複数のオブジェクトをマージしたい場合: Object.assignが便利です。

オブジェクトスプレッドとObject.assignは、どちらもオブジェクトを操作するための強力なツールです。それぞれの特性を理解し、適切な場面で使い分けることで、より効率的なJavaScriptプログラミングが可能になります。

  • ES2015以降の機能: オブジェクトスプレッドとObject.assignは、ES2015(ES6)で導入された機能です。

より深い理解のために:

  • MDN Web Docs:
  • Qiitaの記事:



Object.keys()とfor...inループ

**Object.keys()**でオブジェクトのキーを取得し、for...inループを使って新しいオブジェクトにコピーしていく方法です。

const originalObject = { name: '太郎', age: 30 };
const newObject = {};

for (const key in originalObject) {
  if (originalObject.hasOwnProperty(key)) {
    newObject[key] = originalObject[key];
  }
}

// 新しいプロパティを追加
newObject.city = '東京';
  • **Object.keys()**でoriginalObjectの全てのキーを取得します。
  • for...inループで各キーに対して、新しいオブジェクトnewObjectにコピーします。
  • hasOwnProperty()を使って、プロトタイプチェーンから継承されたプロパティを避けることができます。

メリット:

  • 柔軟な操作が可能
  • 古くからあるJavaScriptの機能なので、全ての環境で動作する
  • 手間がかかる
  • 可読性がやや落ちる

JSON.parse()とJSON.stringify()

オブジェクトをJSON文字列に変換し、再度パースすることで、深いコピーを作成する方法です。

const originalObject = { name: '太郎', age: 30 };
const newObject = JSON.parse(JSON.stringify(originalObject));
  • JSON.stringify()でオブジェクトをJSON文字列に変換します。
  • JSON.parse()でJSON文字列をオブジェクトに戻します。
  • 深いコピーが簡単に作成できる
  • シンプルなコード
  • パフォーマンスが若干低下する
  • サークル参照や関数などの特殊なオブジェクトは正しくコピーできない場合がある

LodashやRamdaなどのライブラリ

LodashやRamdaなどのユーティリティライブラリには、オブジェクトの操作に関する様々な関数があります。

// Lodashの例
const _ = require('lodash');
const newObject = _.cloneDeep(originalObject);
  • 高度な機能が豊富
  • 可読性が高い
  • ライブラリを導入する必要がある

どの方法を選ぶべきか

  • シンプルなコピー: オブジェクトスプレッドやObject.assignが最も簡単
  • 深いコピー: JSON.parse()とJSON.stringify()、またはLodashなどのライブラリ
  • パフォーマンス: 状況によって異なるため、ベンチマークを取ることをおすすめします

オブジェクトスプレッドとObject.assignは、現代のJavaScriptでは最も一般的な方法ですが、状況に応じて他の方法も検討することができます。それぞれのメリットデメリットを理解し、最適な方法を選択しましょう。

  • パフォーマンス: 実際のアプリケーションでは、パフォーマンスの違いはほとんど無視できる場合が多いですが、大規模なデータ処理などでは、パフォーマンスが重要な要素となることがあります。

javascript ecmascript-6



Prototype を使用してテキストエリアを自動サイズ変更するサンプルコード

以下のものが必要です。テキストエリアを含む HTML ファイルHTML ファイルに Prototype ライブラリをインクルードします。テキストエリアに id 属性を設定します。以下の JavaScript コードを追加します。このコードは、以下の処理を行います。...


JavaScriptにおける数値検証 - IsNumeric()関数の代替方法

JavaScriptでは、入力された値が数値であるかどうかを検証する際に、isNaN()関数やNumber. isInteger()関数などを利用することが一般的です。しかし、これらの関数では小数点を含む数値を適切に検出できない場合があります。そこで、小数点を含む数値も正しく検証するために、IsNumeric()関数を実装することが有効です。...


jQueryによるHTML文字列のエスケープ: より詳細な解説とコード例

JavaScriptやjQueryでHTMLページに動的にコンテンツを追加する際、HTMLの特殊文字(<, >, &, など)をそのまま使用すると、意図しないHTML要素が生成される可能性があります。これを防ぐために、HTML文字列をエスケープする必要があります。...


JavaScriptフレームワーク:React vs Vue.js

JavaScriptは、Webページに動的な機能を追加するために使用されるプログラミング言語です。一方、jQueryはJavaScriptライブラリであり、JavaScriptでよく行う操作を簡略化するためのツールを提供します。jQueryを学ぶ場所...


JavaScriptにおける未定義オブジェクトプロパティ検出のコード例解説

JavaScriptでは、オブジェクトのプロパティが定義されていない場合、そのプロパティへのアクセスはundefinedを返します。この現象を検出して適切な処理を行うことが重要です。最も単純な方法は、プロパティの値を直接undefinedと比較することです。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



JavaScript、HTML、CSSでWebフォントを検出する方法

CSS font-family プロパティを使用するCSS font-family プロパティは、要素に適用されるフォントファミリーを指定するために使用されます。このプロパティを使用して、Webページで使用されているフォントのリストを取得できます。


JavaScript、HTML、およびポップアップを使用したブラウザのポップアップブロック検出方法

window. open 関数は、新しいウィンドウまたはタブを開きます。ブラウザがポップアップをブロックしている場合、この関数はエラーを生成します。このエラーを処理して、ポップアップがブロックされているかどうかを判断できます。window


JavaScriptを使用してHTML要素の背景色をCSSプロパティで設定する方法

このチュートリアルでは、JavaScriptを使用してHTML要素の背景色をCSSプロパティで設定する方法について説明します。方法HTML要素の背景色を設定するには、以下の3つの方法があります。style属性HTML要素のstyle属性を使用して、直接CSSプロパティを指定できます。


JavaScript オブジェクトの長さを取得する代替的な方法

JavaScriptにおけるオブジェクトは、プロパティとメソッドを持つデータ構造です。プロパティはデータの値を保持し、メソッドはオブジェクトに対して実行できる関数です。JavaScriptの標準的なオブジェクトには、一般的に「長さ」という概念はありません。これは、配列のようなインデックスベースのデータ構造ではないためです。


JavaScriptグラフ可視化ライブラリのコード例解説

JavaScriptは、ウェブブラウザ上で動作するプログラミング言語です。その中で、グラフの可視化を行うためのライブラリが数多く存在します。これらのライブラリは、データ構造やアルゴリズムを視覚的に表現することで、理解を深める助けとなります。