ES8 async/awaitとストリームの連携
JavaScriptにおけるES8 async/awaitとストリームの活用
ES8で導入されたasync
とawait
キーワードは、非同期操作を同期的なコードのように記述できる便利な機能です。この機能をストリーム処理に活用することで、より直感的かつ効率的なコードを書くことができます。
ストリームとは?
ストリームは、データのシーケンスを逐次的に処理するための抽象化です。ファイルやネットワーク接続などのデータソースから読み込んだデータを、ブロック単位で処理することができます。
async/awaitとストリームの組み合わせ
-
ストリームの読み込み
fs.createReadStream()
などの関数を使用してストリームを作成します。
const fs = require('fs'); const readableStream = fs.createReadStream('myFile.txt');
-
ストリームの処理
readableStream.on('data', chunk => { ... })
などのイベントリスナーを使用して、ストリームからデータを読み込みます。async
関数内でawait
を使用して、非同期操作を同期的に処理します。
const asyncProcessData = async (chunk) => { // ここに非同期処理を記述 const result = await someAsyncOperation(chunk); return result; }; readableStream.on('data', async (chunk) => { const result = await asyncProcessData(chunk); console.log(result); });
例: ストリームからファイルを圧縮する
const fs = require('fs');
const zlib = require('zlib');
const readableStream = fs.createReadStream('myFile.txt');
const gzip = zlib.createGzip();
const writableStream = fs.createWriteStream('myFile.txt.gz');
readableStream.pipe(gzip).pipe(writableStream);
ポイント
- ストリームのパイプラインを活用することで、複数の処理を連結して効率的に実行できます。
- ストリームは非同期操作であるため、
async/await
と組み合わせると自然な流れで処理できます。 async/await
を使用することで、ストリームの処理をより読みやすく、理解しやすいコードにできます。
注意
- ストリームのバックプレッシャーを考慮し、過負荷を防ぐための対策が必要です。
- ストリームの処理は非同期であるため、適切なエラー処理が必要です。
ES8 async/awaitとストリームの連携:コード解説
コード例1:ファイルの読み込みと処理
const fs = require('fs');
const asyncProcessData = async (chunk) => {
// ここに非同期処理を記述
const result = await someAsyncOperation(chunk);
return result;
};
const readableStream = fs.createReadStream('myFile.txt');
readableStream.on('data', async (chunk) => {
const result = await asyncProcessData(chunk);
console.log(result);
});
解説
- asyncProcessData() を呼び出し、await で結果を待つ
各チャンクに対して非同期処理を行い、その結果をconsole.log()
で出力します。 - readableStream.on('data', ...)
ストリームからデータが読み込まれるたびに実行されるイベントリスナーです。 - asyncProcessData()
各チャンクに対して行う非同期処理を定義します。await
キーワードを使って、someAsyncOperation()
の結果を待ちます。 - fs.createReadStream()
ファイルmyFile.txt
から読み込むストリームを作成します。
コード例2:ファイルの圧縮
const fs = require('fs');
const zlib = require('zlib');
const readableStream = fs.createReadStream('myFile.txt');
const gzip = zlib.createGzip();
const writableStream = fs.createWriteStream('myFile.txt.gz');
readableStream.pipe(gzip).pipe(writableStream);
- pipe() メソッド
ストリームを連結し、データのフローを作成します。 - fs.createWriteStream()
圧縮後のファイルを書き込むストリームを作成します。 - zlib.createGzip()
Gzip 圧縮を行うストリームを作成します。
async/await を直接使用していない理由
この例では、async/await
を明示的に使用していませんが、pipe()
メソッドは内部的に非同期処理を行っています。pipe()
は、データが読み込まれるたびに自動的に次のストリームに渡すため、on('data')
イベントリスナーを個別に設定する必要がありません。
コード例1と2の違い
- コード例2
ストリームを連結し、一連の処理をパイプラインとして実行する。 - コード例1
各チャンクごとに非同期処理を行い、その結果を個別に処理する。
どちらのコードを使用するべきか
- 複数の処理を連続して実行したい場合
コード例2 - 個々のチャンクに対して異なる処理を行いたい場合
コード例1
async/await
を使用することで、ストリーム処理をより同期的なコードのように記述でき、可読性を向上させることができます。また、pipe()
メソッドを活用することで、複数のストリームを連結し、複雑な処理を簡潔に表現することができます。
pipe()
メソッドは強力なツールですが、誤った使い方をすると予期せぬ結果になる可能性があります。- ストリームは非同期なため、エラー処理やバックプレッシャー対策を適切に行う必要があります。
async/await
は Promise をベースとしているため、非同期処理を扱う際には Promise について理解しておくことが重要です。
これらのポイントを踏まえ、async/await
とストリームを効果的に活用することで、より効率的で可読性の高い JavaScript コードを作成することができます。
さらに詳しく知りたい場合は、以下のキーワードで検索してみてください
- Promise
- バックプレッシャー
- pipe
- async/await
- Node.js ストリーム
コールバック関数
async/await
が登場する以前から使用されてきた伝統的な方法です。
readableStream.on('data', (chunk) => {
// ここに処理を記述
someAsyncOperation(chunk, (err, result) => {
if (err) {
// エラー処理
} else {
console.log(result);
}
});
});
メリット
- 長く使われているため、多くのライブラリがコールバック方式に対応している
- シンプルで理解しやすい
- エラー処理が煩雑になる
- ネストが深くなりやすく、コードが複雑になりがち
async/await
の基盤となる技術です。
readableStream.on('data', (chunk) => {
someAsyncOperation(chunk)
.then(result => {
console.log(result);
})
.catch(err => {
// エラー処理
});
});
- コールバック関数よりも少し読みやすい
async/await
の基礎となるため、理解しておくと良い
.then()
や.catch()
が連鎖すると、コードが長くなる場合がある
Generator関数
async/await
と似たような非同期処理の書き方ができますが、少し複雑です。
function* processData() {
const readableStream = fs.createReadStream('myFile.txt');
for await (const chunk of readableStream) {
const result = yield someAsyncOperation(chunk);
console.log(result);
}
}
const iterator = processData();
iterator.next();
- より細かい制御が可能
async/await
と似たような書き方ができる
async/await
が主流のため、あまり使用されない- 理解が少し難しい
RxJS
リアクティブプログラミングのライブラリで、ストリーム処理を強力にサポートします。
const { from } = require('rxjs');
const { map } = require('rxjs/operators');
from(readableStream)
.pipe(
map(chunk => someAsyncOperation(chunk))
)
.subscribe(result => console.log(result));
- 大規模なアプリケーションで威力を発揮する
- 非同期処理を直感的に表現できる
- ストリーム処理に特化しており、非常に強力な機能を提供する
- 小規模なプロジェクトではオーバースペックになる場合がある
- 学習コストが高い
どの方法を選ぶかは、プロジェクトの規模、チームのスキル、個人的な好みによって異なります。
- 大規模で複雑なストリーム処理
RxJS - より細かい制御が必要
Generator関数 - async/await の基礎を学びたい
Promise - シンプルな処理
コールバック関数
async/await
は、現代のJavaScriptにおいて最も一般的な非同期処理の方法であり、ストリーム処理においても非常に強力なツールです。しかし、他の方法にもそれぞれメリットがありますので、状況に合わせて適切な方法を選択することが重要です。
重要なポイント
- 可読性
コードの可読性を高めるために、適切な命名規則やコメントを使用しましょう。 - パフォーマンス
大量のデータを処理する場合、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。 - エラー処理
どの方法でも、エラー処理はしっかりと行う必要があります。
javascript node.js async-await