アロー関数と通常の関数の違い

2024-10-07

JavaScriptにおける「Arrow Functions」と「Functions」の比較

日本語訳

JavaScriptにおいて、「Arrow Functions」(アロー関数)と「Functions」(通常の関数)は、その構文や挙動においていくつかの違いがあります。

Arrow Functions

  • superキーワードを使用できない。
  • argumentsオブジェクトへのアクセスが制限される。
  • thisキーワードの束縛が異なる。
  • 簡潔な構文で記述できる。

Functions

  • thisキーワードの束縛は呼び出しコンテキストによって決まる。
  • 伝統的な関数の構文を使用する。

等価性と互換性

多くの場合、Arrow Functionsと通常のFunctionsは互換的に使用できます。しかし、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • superキーワードの使用
    Arrow Functionsはsuperキーワードを使用できないため、クラスメソッドでsuperを使用する必要がある場合は、通常の関数を使用する必要があります。
  • argumentsオブジェクトの使用
    Arrow Functionsはargumentsオブジェクトにアクセスできないため、関数内で引数の情報を取得する必要がある場合は、通常の関数を使用する必要があります。
  • thisキーワードの挙動
    Arrow Functionsは、外側のスコープのthisを継承するため、thisの値が重要である場合、通常の関数を使用する必要があります。



アロー関数と通常の関数の違い:具体的なコード例で解説

thisの束縛の違い

// 通常の関数
const obj = {
    name: 'Taro',
    sayHello: function() {
        console.log('Hello, my name is ' + this.name);
    }
};
obj.sayHello(); // 出力: Hello, my name is Taro

// アロー関数
const obj2 = {
    name: 'Jiro',
    sayHello: () => {
        console.log('Hello, my name is ' + this.name);
    }
};
obj2.sayHello(); // 出力: Hello, my name is undefined (またはグローバルオブジェクトのnameプロパティ)
  • 解説
    • 通常の関数では、thisは関数を呼び出したオブジェクトを指します。

argumentsオブジェクトへのアクセス

// 通常の関数
function sum() {
    let total = 0;
    for (let i = 0; i < arguments.length; i++) {
        total += arguments[i];
    }
    return total;
}
console.log(sum(1, 2, 3)); // 出力: 6

// アロー関数
const sumArrow = () => {
    // argumentsは使用できない
};
  • 解説
    • 通常の関数では、argumentsオブジェクトを使って、関数に渡された全ての引数にアクセスできます。
    • アロー関数では、argumentsオブジェクトは使用できません。代わりに、残余引数(...args)を使って、全ての引数を配列として受け取ることができます。

newキーワードの使用

// 通常の関数
function Person(name) {
    this.name = name;
}
const person = new Person('Hanako'); // これは可能

// アロー関数
const PersonArrow = (name) => {
    this.name = name;
};
const personArrow = new PersonArrow('Hanako'); // これはエラー
  • 解説
    • 通常の関数はnewキーワードを使って、新しいオブジェクトを作成することができます(コンストラクタとして使用)。
    • アロー関数はnewキーワードと一緒に使用することはできません。

superキーワードの使用

class Animal {
    constructor(name) {
        this.name = name;
    }
}

class Dog extends Animal {
    constructor(name, breed) {
        super(name);
        this.breed = breed;
    }
    bark = () => {
        console   .log(`${this.name} says Woof!`); // thisはDogではなく、グローバルオブジェクトを指す
    }
}
  • 解説
  • superキーワード
    アロー関数では、superキーワードは使用できません。
  • newキーワード
    アロー関数では、newキーワードと一緒に使用できません。
  • argumentsオブジェクト
    アロー関数では、argumentsオブジェクトは使用できません。
  • thisの束縛
    アロー関数は、thisが外側のスコープを指すという特徴があります。

どちらを選ぶべきか

  • 柔軟性
    通常の関数は、thisの束縛を自由に制御したり、argumentsオブジェクトを利用したりするなど、より柔軟な記述が可能です。
  • 簡潔な記述
    アロー関数は、thisの束縛が不要な場合や、短い関数を記述したい場合に便利です。

どちらを使うべきかは、コードの文脈や、thisargumentsなどの機能をどのように利用したいかによって決まります。

  • ECMAScript 2022からは、classフィールドの初期化子でアロー関数を使用できるようになりました。
  • アロー関数と通常の関数、どちらが良いかという一概な答えはありません。それぞれの特性を理解し、適切な場面で使い分けることが重要です。



アロー関数と通常の関数の代替方法と使い分け

アロー関数と通常の関数には、それぞれ特徴と得意な分野があります。どちらを使うべきか迷った場合は、以下の点を考慮して、適切な方法を選択しましょう。

thisの束縛が重要な場合


  • イベントハンドラー、オブジェクト指向プログラミングなど
  • 通常の関数
    thisの値を明示的に制御したい場合、通常の関数を使用します。bindメソッドなどを活用することで、thisの値を固定できます。

  • 可変長引数の関数
  • 通常の関数
    全ての引数にアクセスしたい場合、argumentsオブジェクトを使用できる通常の関数を使用します。

コンストラクタとして使用する場合


  • クラスの作成
  • 通常の関数
    newキーワードを使ってインスタンスを作成したい場合は、通常の関数(コンストラクタ)を使用します。

簡潔な記述をしたい場合


  • 配列の要素を別の配列に変換する処理など
  • アロー関数
    短い関数や、thisの束縛が問題にならない場合は、アロー関数を使用することでコードを簡潔に記述できます。

thisの束縛を固定したい場合


  • イベントハンドラーで、thisが別のオブジェクトを指すようにしたい場合
  • bindメソッド
    通常の関数のbindメソッドを使うことで、thisの値を固定できます。

残余引数(Rest parameter)

  • アロー関数、通常の関数
    ...argsのように記述することで、残りの引数を配列として受け取ることができます。
  • 通常の関数
    thisの制御、argumentsオブジェクトの利用、コンストラクタとして使用する場合に適しています。
  • アロー関数
    簡潔な記述、thisの束縛がシンプルな場合に適しています。
  • 関数の役割
  • 引数の扱い方
  • thisの束縛
  • コードの可読性

などを考慮して、適切な方法を選択しましょう。

コード例

// thisの束縛
const obj = {
    name: 'Taro',
    // 通常の関数
    sayHello: function() {
        console.log(this.name);
    },
    // アロー関数 (thisはobjを指さない)
    sayHelloArrow: () => {
        console.log(this.name);
    }
};

// argumentsオブジェクト
function sum() {
    let total = 0;
    for (let i = 0; i < arguments.length; i++) {
        total += arguments[i];
    }
    return total;
}

// 残余引数
const sumArrow = (...args) => {
    return args.reduce((acc, cur) => acc + cur, 0);
};

// コンストラクタ
function Person(name) {
    this.name = name;
}
  • アロー関数は、newキーワードでインスタンスを作成することはできません。
  • アロー関数は、thisの束縛が異なるため、クラスメソッド内でsuperを使うことはできません。

javascript ecmascript-6 arrow-functions



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