Angular2 テスト:DebugElement と NativeElement の役割と使い分けをわかりやすく解説

2024-06-27

Angular2 テストにおける DebugElement と NativeElement オブジェクトの違い

コンポーネント内の要素にアクセスするには、DebugElementNativeElement という2つの方法があります。それぞれ異なる役割と特性を持つため、状況に応じて適切なものを選択する必要があります。

DebugElement は、Angular によってラッピングされた DOM 要素を表します。以下の操作に使用できます。

  • コンポーネントテンプレート内の要素を階層的に取得する
  • ディレクティブやコンポーネントインスタンスにアクセスする
  • 要素のプロパティや属性を取得・設定する
  • イベントをトリガーする
  • 要素を検出する

例:

const debugElement = fixture.debugElement;
const component = debugElement.componentInstance;
const button = debugElement.query(By.css('button'));

button.triggerEventHandler('click', {});
expect(component.count).toBe(1);

NativeElement は、ブラウザのネイティブ DOM 要素そのものを表します。以下の操作に使用できます。

  • DOM 操作を行う
  • 要素のスタイルを取得・設定する
  • 要素のレイアウト情報を取得する
const nativeElement = fixture.nativeElement;
const button = nativeElement.querySelector('button');

button.click();
expect(component.count).toBe(1);

DebugElement と NativeElement の違い

項目DebugElementNativeElement
役割Angular によってラッピングされた DOM 要素ブラウザのネイティブ DOM 要素
操作コンポーネント内部へのアクセス、イベント処理などDOM 操作、スタイル設定など
利点コンポーネントの動作や状態を詳細に検証できるシンプルで分かりやすい
欠点ネイティブ DOM 操作には不向きコンポーネント内部へのアクセスには不向き
  • DebugElement は、コンポーネント内部の動作や状態を検証するのに適しています。
  • NativeElement は、DOM 操作やスタイル設定を行うのに適しています。
  • 状況に応じて適切な方法を選択しましょう。

補足

  • テンプレート内の特定の要素にアクセスするには、query() メソッドを使用します。
  • イベントをトリガーするには、triggerEventHandler() メソッドを使用します。
  • 要素を検出するには、detectChanges() メソッドを使用します。

これらの詳細は、Angular 公式ドキュメントを参照してください。




    Angular2 テストにおける DebugElement と NativeElement の使い分け例

    app.component.ts

    import { Component, OnInit } from '@angular/core';
    
    @Component({
      selector: 'app-root',
      templateUrl: './app.component.html',
      styleUrls: ['./app.component.css']
    })
    export class AppComponent implements OnInit {
      count = 0;
    
      ngOnInit() {
      }
    
      increment() {
        this.count++;
      }
    }
    
    <button (click)="increment()">ボタン</button>
    <span>カウント: {{ count }}</span>
    
    import { ComponentFixture, TestBed } from '@angular/core/testing';
    import { AppComponent } from './app.component';
    
    describe('AppComponent', () => {
      let fixture: ComponentFixture<AppComponent>;
      let component: AppComponent;
    
      beforeEach(() => {
        TestBed.configureTestingModule({
          declarations: [AppComponent]
        });
    
        fixture = TestBed.createComponent(AppComponent);
        component = fixture.componentInstance;
      });
    
      it('should increment count when button is clicked', () => {
        // DebugElement を使ってボタン要素を取得
        const buttonDebugElement = fixture.debugElement.query(By.css('button'));
    
        // ネイティブ DOM 要素を取得
        const buttonNativeElement = buttonDebugElement.nativeElement;
    
        // ボタンをクリック
        buttonNativeElement.click();
    
        // コンポーネントの count プロパティが更新されていることを検証
        expect(component.count).toBe(1);
      });
    });
    

    この例では、以下の手順で DebugElementNativeElement を使い分けています。

    1. DebugElement を使ってボタン要素を取得します。
    2. DebugElement から nativeElement プロパティでネイティブ DOM 要素を取得します。
    3. ネイティブ DOM 要素の click() メソッドを呼び出して、ボタンをクリックします。
    4. コンポーネントの count プロパティが更新されていることを検証します。

    このように、DebugElementNativeElement を使い分けることで、コンポーネントの動作を詳細に検証することができます。

    • この例では、ボタン要素を By.css セレクタで取得しています。他のセレクタやクエリ方法も同様に使用できます。
    • テスト対象のコンポーネントやロジックが複雑な場合は、より詳細なテストコードが必要になる場合があります。



    Angular2 テストにおける DebugElement と NativeElement 以外の方法

    ComponentFixture API は、コンポーネントインスタンス、テンプレート、DOM に直接アクセスするためのさまざまなメソッドを提供します。

    • detectChanges(): コンポーネントの変更検出をトリガーします。
    • createComponentInstance(): コンポーネントインスタンスを作成します。
    • destroy():コンポーネントインスタンスを破棄します。
    • isComponentInstance(): 指定されたオブジェクトがコンポーネントインスタンスかどうかを判定します。
    • ViewChildContentChild デコレータ: テンプレート内の子コンポーネントインスタンスにアクセスします。
    const fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
    fixture.detectChanges();
    
    const componentInstance = fixture.componentInstance;
    expect(componentInstance.count).toBe(1);
    

    TestBed モジュールは、テスト対象のコンポーネントに必要なモジュールやサービスをモック化するための機能を提供します。

    • configureTestingModule(): テスト環境を設定します。
    • overrideTemplate(): テンプレートをモック化します。
    • overrideProvider(): サービスをモック化します。
    TestBed.configureTestingModule({
      declarations: [MyComponent],
      providers: [{ provide: MyService, useValue: mockMyService }]
    });
    
    const fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
    fixture.detectChanges();
    
    const componentInstance = fixture.componentInstance;
    expect(componentInstance.count).toBe(2); // モックされたサービスの値が返される
    

    Jasmine モックは、テスト対象のオブジェクトの動作をモック化するための機能を提供します。

    • spy() メソッド: オブジェクトのメソッドをスパイします。
    • when() メソッド: モックされたオブジェクトのメソッドの戻り値を指定します。
    const myService = jasmine.createSpyObj('MyService', ['getMyData']);
    when(myService.getMyData()).thenReturn([1, 2, 3]);
    
    TestBed.configureTestingModule({
      declarations: [MyComponent],
      providers: [{ provide: MyService, useValue: myService }]
    });
    
    const fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
    fixture.detectChanges();
    
    const componentInstance = fixture.componentInstance;
    expect(componentInstance.data).toEqual([1, 2, 3]); // モックされたデータが返される
    

    非同期テスト

    非同期処理を含むテストを行う場合は、done() 関数や async/await 構文を使用する必要があります。

    it('should load data after async operation', async () => {
      const fixture = TestBed.createComponent(MyComponent);
      fixture.detectChanges();
    
      // 非同期処理を実行
      componentInstance.loadData();
    
      // 非同期処理が完了するまで待機
      await fixture.whenStable();
    
      expect(componentInstance.data).toEqual([1, 2, 3]);
    });
    

    DebugElementNativeElement 以外にも、Angular2 コンポーネントをテストする方法はいくつかあります。それぞれの方法の特徴と利点を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。


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