TypeScriptでモジュールを効率的にインポート:個別インポートと名前空間インポートの使い分け

2024-06-29

TypeScriptにおける import と import {...} の違い

import には2つの構文があります。

  1. 個別インポート: 特定の名前の変数、関数、クラスを個別にインポートします。
    import { 〇〇, △△, □□ } from 'モジュールパス';
    
  2. 名前空間インポート: モジュール全体を名前空間にインポートし、そのモジュール内の要素をドット記法で参照します。
    import * as モジュール名 from 'モジュールパス';
    

個別インポート名前空間インポート の主な違いは以下の通りです。

可読性

  • 個別インポート: 使用する要素のみをインポートするため、コードがより読みやすくなり、意図が明確になります。
  • 名前空間インポート: モジュール全体をインポートするため、コードが冗長になり、何がインポートされているのか分かりにくくなる可能性があります。

メンテナンス性

  • 個別インポート: モジュールが変更された場合、影響を受ける箇所が明確で、変更箇所を追跡しやすくなります。
  • 名前空間インポート: モジュールが変更された場合、影響を受ける箇所が分かりにくく、変更箇所を見つけるのに時間がかかる可能性があります。

ネームスペースの衝突

  • 個別インポート: 異なるモジュールで同じ名前の要素をエクスポートしていても、それぞれ個別インポートすることで衝突を回避できます。
  • 名前空間インポート: 異なるモジュールで同じ名前の要素をエクスポートしている場合、どちらか一方しかインポートできず、名前の衝突が発生する可能性があります。

一般的に、個別インポート名前空間インポート よりも優先的に使用することが推奨されます。




TypeScript サンプルコード

個別インポート

// モジュール math.ts を作成し、以下の内容を記述します。
export function add(a: number, b: number): number {
  return a + b;
}

export function subtract(a: number, b: number): number {
  return a - b;
}
// モジュール index.ts を作成し、以下の内容を記述します。
import { add, subtract } from './math';

const sum = add(10, 20);
console.log(sum);  // 30

const difference = subtract(20, 10);
console.log(difference); // 10

名前空間インポート

// モジュール math.ts を作成し、以下の内容を記述します。
export function add(a: number, b: number): number {
  return a + b;
}

export function subtract(a: number, b: number): number {
  return a - b;
}
// モジュール index.ts を作成し、以下の内容を記述します。
import * as math from './math';

const sum = math.add(10, 20);
console.log(sum);  // 30

const difference = math.subtract(20, 10);
console.log(difference); // 10

説明

上記の例では、math という名前のモジュールを作成し、addsubtract という2つの関数をエクスポートします。

  • 個別インポートの場合、addsubtract 関数のみを math モジュールからインポートします。
  • 名前空間インポートの場合、math モジュール全体をインポートし、そのモジュール内の要素を math. 接頭辞を使用して参照します。

この例からも分かるように、個別インポートの方がコードが簡潔で読みやすく、メンテナンス性も高くなります。

以下は、importimport {...} を使用するその他の例です。

  • デフォルトエクスポートのインポート
// モジュール math.ts を作成し、以下の内容を記述します。
export default function add(a: number, b: number): number {
  return a + b;
}
// モジュール index.ts を作成し、以下の内容を記述します。
import add from './math';

const sum = add(10, 20);
console.log(sum);  // 30
  • エイリアスの使用
// モジュール math.ts を作成し、以下の内容を記述します。
export function add(a: number, b: number): number {
  return a + b;
}

export function subtract(a: number, b: number): number {
  return a - b;
}
// モジュール index.ts を作成し、以下の内容を記述します。
import { add as myAdd, subtract as mySubtract } from './math';

const sum = myAdd(10, 20);
console.log(sum);  // 30

const difference = mySubtract(20, 10);
console.log(difference); // 10

これらの例はほんの一例であり、importimport {...} を使用してモジュールをインポートする方法は他にもたくさんあります。 状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。




TypeScriptにおけるその他のインポート方法

import() 関数を使用して、非同期にモジュールをインポートできます。 これにより、必要なモジュールのみをロードし、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。

const loadModule = async () => {
  const { default: module } = await import('./myModule');
  console.log(module);
};

loadModule();

型のみのインポート

import type キーワードを使用して、型情報のみをインポートできます。 これにより、コンパイラが型チェックを行い、潜在的なエラーを検出することができますが、実際に実行時にモジュールがロードされるわけではありません。

import type { MyInterface } from './myModule';

function processData(data: MyInterface) {
  // ...
}

CommonJS の互換性

require() 関数を使用して、CommonJS 互換のモジュールをインポートできます。 これは、Node.js などのサーバーサイド環境でTypeScriptを使用する場合に役立ちます。

const module = require('./myModule');
console.log(module);

AMD の互換性

define() 関数を使用して、AMD 互換のモジュールをインポートできます。 これは、RequireJS などのモジュールローダーを使用する場合に役立ちます。

define(['./myModule'], function (module) {
  console.log(module);
});

URL のインポート

import() 関数を使用して、URL から JavaScript または TypeScript モジュールを直接インポートできます。 これにより、外部ライブラリや CDN からコードを簡単に読み込むことができます。

import('./path/to/myModule.js');

これらの方法は、それぞれ異なるユースケースに適しています。状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

TypeScript には、モジュールをインポートするための様々な方法があります。 それぞれの方法を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。


typescript import


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