Angular 2 の `this` と `setTimeout` の関係
Angular 2 での setTimeout
内での this
の扱い
Angular 2 で setTimeout
を使用して非同期処理を行う際に、this
のスコープが適切に扱われるように注意が必要です。JavaScript の this
は実行コンテキストによって動的に決まるため、直接使用すると予期しない結果が生じることがあります。
問題点
- this の誤解
this
がsetTimeout
内で想定したオブジェクトを指さない可能性があります。 - スコープの変化
setTimeout
は非同期処理であるため、その内部のコードが実行される時点では、元の関数のスコープとは異なるスコープで実行されます。
解決方法
アロー関数を使用
- アロー関数 (
=>
) はthis
をレキシカルスコープから取得するため、元の関数のスコープを保持します。 - 以下のように、
setTimeout
のコールバック関数にアロー関数を使用します:
setTimeout(() => { // `this` は元の関数のスコープを指します console.log(this.name); }, 1000);
- アロー関数 (
bind メソッドを使用
bind
メソッドを使用して、this
の値を固定します。
setTimeout(function() { // `this` は元の関数のスコープを指します console.log(this.name); }.bind(this), 1000);
例
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
setTimeout(() => {
console.log(this.name); // 出力: John
}, 1000);
}
}
Angular 2 での this
と setTimeout
の関係: 実践例
アロー関数を使用する例
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
setTimeout(() => {
console.log(this.name); // 出力: John
}, 1000);
}
}
- 解説
ngOnInit
ライフサイクルフック内でsetTimeout
を使用して、1秒後にconsole.log
を実行します。- アロー関数
() => {...}
を使用することで、this
がMyComponent
インスタンスを指すようにしています。 - 1秒後にコンソールに
John
が出力されます。
bind メソッドを使用する例
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
setTimeout(function() {
console.log(this.name); // 出力: John
}.bind(this), 1000);
}
}
間違った使用例 (アロー関数を使用しない)
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
setTimeout(function() {
console.log(this.name); // 出力: undefined
}, 1000);
}
}
- 解説
- アロー関数を使用していないため、
this
はsetTimeout
の実行コンテキスト (グローバルオブジェクト) を指します。 name
プロパティがグローバルスコープに存在しないため、undefined
が出力されます。
- アロー関数を使用していないため、
クラスフィールドを使用する
Angular 2 のクラスフィールドを使用することで、this
を直接参照せずに変数に値を保存し、setTimeout
内で使用することができます。
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
const that = this;
setTimeout(function() {
console.log(that.name); // 出力: John
}, 1000);
}
}
- 解説
that
という変数を宣言し、this
の値を保存します。setTimeout
内でthat
を使用することで、元の関数のスコープを指すようになります。
ES6 の let や const を使用する
ES6 のブロックスコープキーワードである let
や const
を使用して、変数を宣言することで、this
を直接参照せずに変数に値を保存することができます。
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
let that = this;
setTimeout(function() {
console.log(that.name); // 出力: John
}, 1000);
}
}
- 解説
let
を使用してthat
変数を宣言することで、ブロックスコープ内で有効となります。
arrow 関数をネストして使用
アロー関数をネストして使用することで、外側の関数のスコープを継承することができます。
class MyComponent {
name: string = 'John';
ngOnInit() {
setTimeout(() => {
const that = this;
setTimeout(() => {
console.log(that.name); // 出力: John
}, 500);
}, 1000);
}
}
- 解説
javascript angular scope