非同期処理の違い: Promise.all() vs 複数のawait
JavaScriptのawait Promise.all()
と複数のawait
の違い
await Promise.all()
と複数のawait
は、どちらもJavaScriptの非同期処理において複数のPromiseを待機する手法ですが、その挙動は異なります。
await Promise.all()
- 最初の拒否
複数のPromiseのうち一つでも拒否された場合、Promise.all()
はすぐに拒否され、他のPromiseはキャンセルされます。 - 結果の配列
すべてのPromiseが解決された場合、Promise.all()
はそれぞれのPromiseの解決値を要素とする配列を返します。 - 並列実行
Promise.all()
は、複数のPromiseを同時に実行し、すべてのPromiseが解決または拒否されるまで待機します。
async function example1() {
const promise1 = Promise.resolve('Hello');
const promise2 = Promise.resolve('World');
const results = await Promise.all([promise1, promise2]);
console.log(results); // Output: ['Hello', 'World']
}
複数のawait
- エラー処理
各await
は個別にエラーを処理できるため、特定のPromiseが拒否されても他のPromiseは実行されます。 - 逐次実行
複数のawait
を使用すると、各Promiseが解決されるのを順番に待機します。
async function example2() {
const promise1 = Promise.resolve('Hello');
const promise2 = Promise.resolve('World');
const result1 = await promise1;
const result2 = await promise2;
console.log(result1, result2); // Output: Hello World
}
いつどちらを使うべきか
- エラー処理が必要な場合
複数のawait
を使用すると、個々のPromiseのエラーを適切に処理できます。 - 並列処理が必要な場合
await Promise.all()
を使用すると、複数のPromiseを同時に実行して効率的に処理できます。
async function fetchData() {
// 複数のAPIへのリクエストを同時に実行
const [response1, response2] = await Promise.all([
fetch('https://api.example.com/data1'),
fetch('https://api.example.com/data2')
]);
const data1 = await response1.json();
const data2 = await response2.jso n();
return { data1, data2 };
}
解説
- JSONへの変換
各レスポンスをJSON形式に変換しています。 - デストラクチャリング
Promise.all
の戻り値である配列を、[response1, response2]
のように一度に変数に代入しています。 - 並列処理
fetch
で複数のAPIに同時にリクエストを送信し、両方のレスポンスが返ってくるまで待機します。
async function fetchDataSequentially() {
const response1 = await fetch('https://api.example.com/data1');
const data1 = await response1.json();
const response2 = await fetch('https://api.example.com/data2');
const data2 = await response2.json();
return { data1, dat a2 };
}
- エラー処理
各await
でエラー処理を個別に記述できます。例えば、try...catch
ブロックでエラーをキャッチすることができます。 - 逐次処理
各リクエストを順番に実行し、一つ前のリクエストが完了してから次のリクエストを送信します。
特徴 | await Promise.all() | 複数のawait |
---|---|---|
実行順序 | 並列 | 逐次 |
戻り値 | Promiseの解決値の配列 | 各Promiseの解決値 |
エラー処理 | 全てのPromiseが解決されるまで待機し、一つでも拒否されると全体の処理が中断 | 各await で個別にエラー処理が可能 |
使用場面 | 複数の非同期処理を同時に実行したい場合 | 各非同期処理の結果を順番に処理したい場合、エラー処理を細かくしたい場合 |
- 逐次処理
前の処理の結果に基づいて次の処理を実行したい場合、またはエラー処理を細かくしたい場合は、複数のawait
が適しています。 - 並列処理
複数のAPIへのリクエストや、ファイルの読み込みなど、並行して処理したい場合はPromise.all()
が適しています。
- Promise
非同期処理を表すオブジェクト。 - async/await
非同期処理を同期的に記述するための構文糖衣。 - Promise.race()
複数のPromiseのうち、最初に解決または拒否されたPromiseの結果を返す。
非同期処理の違い: Promise.all()
vs 複数のawait
- 複数のawait
各Promiseを順番に実行します。逐次処理や、エラー処理を細かくしたい場合に適しています。 - Promise.all()
複数のPromiseを同時に実行し、すべてのPromiseが完了するまで待機します。並列処理に適しています。
どちらを使うかは、処理の要件やコードの可読性などを考慮して決定しましょう。
async/await
は、非同期処理をより直感的に記述できるため、現代のJavaScript開発では広く利用されています。- 上記の例はシンプルなものですが、実際の開発では、エラー処理、例外処理、パフォーマンスチューニングなど、より複雑な状況に対応する必要があります。
await Promise.all()
と複数のawait
の代替方法
await Promise.all()
と複数のawait
は、非同期処理を扱う上で非常に一般的なパターンですが、これ以外にも様々なアプローチが存在します。
Promise.race()
- 複数のAPIリクエストのうち、最初にレスポンスが返ってきたものだけを使う場合などに有効
Promise.race([promise1, promise2, promise3])
.then(result => {
// 最初に解決したPromiseの結果
})
.catch(error => {
// 最初に拒否されたPromiseのエラー
});
async/awaitとforループの組み合わせ
- 各Promiseの結果を順番に処理したい場合などに有効
- Promiseの配列をループで処理し、逐次的に
await
する
async function processPromises(promises) {
for (const promise of promises) {
const result = await promise;
// resultを使って何か処理をする
}
}
async/awaitとPromise.resolve()
- 複数の値をPromiseに変換して、
Promise.all()
で並列処理したい場合などに有効 - Promiseの配列を生成し、
Promise.all()
で一括処理する
async function processValues(values) {
const promises = values.map(value => Promise.resolve(value * 2));
const results = await Promise.all(promises);
// resultsは、valuesの各要素を2倍した値の配列
}
RxJS
- concatMap
逐次的にPromiseを処理する - forkJoin
Promise.all()
と似たような機能を提供 - 複数の非同期処理を組み合わせたり、イベントストリームを扱う場合に強力
- 非同期処理を扱うためのライブラリ
import { from, forkJoin } from 'rxjs';
const promises = [promise1, promise2, promise3];
from(promises)
.pipe(forkJoin())
.subscribe(results => {
// resultsは、Promiseの解決値の配列
});
コールバック関数
- 現代では、
Promise
やasync/await
が推奨される Promise
やasync/await
が登場する以前から使用されていた- 古いJavaScriptスタイル
どの方法を選ぶべきか?
- ライブラリとの連携
使用しているライブラリが提供する機能との連携 - 可読性
コードの可読性も考慮する - エラー処理
try...catch
ブロック、Promise.catch()
- 逐次処理
複数のawait
、async/awaitとforループの組み合わせ、RxJSのconcatMap
- 並列処理
Promise.all()
、Promise.race()
、RxJSのforkJoin
選ぶ際のポイント
- パフォーマンス
処理速度が重要か - コードの可読性
他の開発者が理解しやすいコードか - エラー処理
どのようにエラーを扱いたいのか - 処理の順序
並列か逐次か
- Co
async/await
が登場する前に非同期処理を同期的に記述するためのライブラリ - Generator関数
async/await
の基となった機能
javascript async-await