JavaScript オブジェクト クローン 解説
JavaScript オブジェクトの正しいクローン方法
JavaScript では、オブジェクトをコピー(クローン)する方法はいくつかありますが、それぞれ異なる挙動をします。オブジェクトの構造や深さを考慮して適切な方法を選択する必要があります。
浅いコピー (Shallow Copy)
浅いコピーは、オブジェクトのトップレベルのプロパティを新しいオブジェクトにコピーしますが、ネストされたオブジェクトや配列は元のオブジェクトを参照し続けます。
const originalObject = {
name: '田中 太郎',
age: 30,
address: {
city: '東京',
street: '渋谷区'
}
};
// 浅いコピー
const shallowCopy = Object.assign({}, originalObject);
この場合、shallowCopy
の name
と age
プロパティは元のオブジェクトとは別の値を持ちますが、address
プロパティは元のオブジェクトの address
オブジェクトを参照しています。そのため、shallowCopy.address
を変更すると、元のオブジェクトの address
も変更されます。
深いコピー (Deep Copy)
深いコピーは、オブジェクトとその中のすべてのネストされたオブジェクトは完全に独立しています。
const originalObject = {
name: '田中 太郎',
age: 30,
address: {
city: '東京',
street: '渋谷区'
}
};
// 深いコピー (JSON を使用)
const deepCopy = JSON.parse(JSON.stringify(originalObject));
JSON.stringify() はオブジェクトを JSON 文字列に変換し、JSON.parse() はその JSON 文字列を新しいオブジェクトに変換します。この方法では、は完全に独立しています。
注意
JSON.stringify() は関数やシンボルなどのオブジェクトを処理できないため、深いコピーには適さない場合があります。
structuredClone()
API (実験的な機能) を使用することもできますが、ブラウザのサポート状況に注意が必要です。lodash
やunderscore
などのライブラリを使用すると、より柔軟なクローン方法が提供されます。
###や配列を含まない場合は、浅いコピーで十分です。や配列を含む場合は、深いコピーを使用する必要があります。
- パフォーマンスが重要な場合は、浅いコピーの方が一般的に高速です。
JavaScript オブジェクトのクローンには、浅いコピーと深いコピーの2つの主要な方法があります。オブジェクトの構造や深さ、パフォーマンス要件に応じて適切な方法を選択してください。
JavaScript オブジェクトのクローン: より詳細なコード例と解説
Object.assign() を使った浅いコピー
const originalObject = {
name: '田中 太郎',
age: 30,
address: {
city: '東京',
street: '渋谷区'
}
};
// 空のオブジェクトに originalObject のプロパティをコピー
const shallowCopy = Object.assign({}, originalObject);
// shallowCopy の address プロパティを変更
shallowCopy.address.city = '大阪';
console.log(originalObject); // { name: '田中 太郎', age: 30, address: { city: '大阪', street: '渋谷区' } }
console.log(shallowCopy); // { name: '田中 太郎', age: 30, address: { city: '大阪', street: '渋谷区' } }
解説
shallowCopy
のaddress
プロパティを変更すると、originalObject
のaddress
プロパティも変更されます。これは、address
がオブジェクトであり、その参照がコピーされたためです。- この例では、
originalObject
の全てのプロパティが空のオブジェクトにコピーされます。 Object.assign()
は、全ての列挙可能な自身のプロパティの値を、一つ以上のコピー元オブジェクトからコピー先オブジェクトにコピーします。
スプレッド構文を使った浅いコピー
const originalObject = { ... }; // 上記と同じオブジェクト
const shallowCopy = { ...originalObject };
Object.assign()
と同様、浅いコピーになります。- スプレッド構文は、イテラブルなオブジェクトのプロパティを展開する際に使用されます。
JSON を使った深いコピー
const originalObject = { ... }; // 上記と同じオブジェクト
const deepCopy = JSON.parse(JSON.stringify(originalObject));
// deepCopy の address プロパティを変更
deepCopy.address.city = '大阪';
console.log(originalObject); // { name: '田中 太郎', age: 30, address: { city: '東京', street: '渋谷区' } }
console.log(deepCopy); // { name: '田中 太郎', age: 30, address: { city: '大阪', street: '渋谷区' } }
deepCopy
のaddress
プロパティを変更しても、originalObject
のaddress
プロパティは変更されません。- この過程で、オブジェクトは完全に複製されます。
JSON.parse()
は、JSON 文字列を JavaScript のオブジェクトに変換します。JSON.stringify()
は、JavaScript のオブジェクトを JSON 文字列に変換します。
lodash の _.cloneDeep() を使った深いコピー
const _ = require('lodash');
const originalObject = { ... }; // 上記と同じオブジェクト
const deepCopy = _.cloneDeep(originalObject);
- JSON を使った方法よりも柔軟で、より複雑なオブジェクトに対応できます。
_.cloneDeep()
は、オブジェクトとそのすべてのネストされたオブジェクトを再帰的に複製します。- lodash は、JavaScript のユーティリティライブラリです。
どちらを使うべきか?
- 深いコピー
ネストされたオブジェクトを独立して変更したい場合。 - 浅いコピー
ネストされたオブジェクトを変更する必要がない場合、またはパフォーマンスが重要な場合。
JavaScript でオブジェクトをクローンする方法は複数あります。それぞれの方法に特徴があり、適切な方法を選択することが重要です。
- 深いコピー
JSON を使った方法、lodash の_.cloneDeep()
- 浅いコピー
Object.assign()
、スプレッド構文
注意
structuredClone()
という API も存在しますが、まだ実験的な機能であり、全てのブラウザでサポートされているわけではありません。- JSON を使った方法は、関数やシンボルなどのオブジェクトを処理できない場合があります。
- JavaScript のオブジェクトは参照によって渡されるため、クローンを作成しないと、元のオブジェクトを変更してしまう可能性があります。
- より複雑なオブジェクトや特定のユースケースに対応するためには、カスタムのクローン関数を作成することも可能です。
- 他のライブラリを使ったクローン方法について知りたいですか?
- 具体的なコード例で説明してほしいことはありますか?
- 特定のクローン方法について、もっと詳しく知りたいことはありますか?
深いコピーの代替方法
JSON を使った深いコピーや lodash の _.cloneDeep()
以外にも、JavaScript のオブジェクトを深くコピーする方法はいくつかあります。
再帰関数による深いコピー
function deepClone(obj) {
if (typeof obj !== 'object' || obj === null) {
return obj;
}
const clone = Array.isArray(obj) ? [] : {};
for (const key in obj) {
clone[key] = deepClone(obj[key]);
}
return clone;
}
const originalObject = { ... }; // 上記と同じオブジェクト
const deepCopy = deepClone(originalObject);
- この方法では、任意の型のオブジェクトを深くコピーすることができますが、循環参照が発生した場合には無限ループに陥る可能性があります。
- オブジェクトの各プロパティに対して再帰的に
deepClone
を呼び出し、新しいオブジェクトにコピーします。 - オブジェクトの型を判定し、プリミティブ型であればそのまま返し、オブジェクト型であれば空のオブジェクトまたは配列を作成します。
structuredClone()
API
const originalObject = { ... }; // 上記と同じオブジェクト
const deepCopy = structuredClone(originalObject);
- ただし、全てのブラウザでサポートされているわけではありません。
- JSON を使った方法と異なり、関数やシンボルなどのオブジェクトもコピーできます。
structuredClone()
は、オブジェクトを深くコピーするための新しい API です。
- カスタムオブジェクト
- 循環参照
- 再帰関数による方法は、循環参照が発生した場合、無限ループに陥る可能性があります。
- この問題を解決するために、循環参照を検出して処理する必要があります。
- パフォーマンス
JSON.stringify()
とJSON.parse()
は、大きなオブジェクトを処理する場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。structuredClone()
は、比較的新しい API であり、パフォーマンス特性はブラウザによって異なる場合があります。- 再帰関数による方法は、深さが深いオブジェクトの場合、スタックオーバーフローが発生する可能性があります。
JavaScript のオブジェクトをクローンする方法は、様々なものが存在します。どの方法を選択するかは、以下の要素を考慮する必要があります。
- 循環参照の有無
循環参照が発生した場合の処理 - ブラウザのサポート
structuredClone()
のような新しい API のサポート状況 - パフォーマンス
処理速度、メモリ使用量 - コピーの深さ
浅いコピー、深いコピー - コピーしたいオブジェクトの型
プリミティブ型、オブジェクト、配列、関数など
適切な方法を選ぶためには、
- 使用するブラウザの環境を把握する
- パフォーマンス要件を考慮する
- 必要なコピーの深さを明確にする
- オブジェクトの構造を理解する
ことが重要です。
- 循環参照を処理する方法について詳しく知りたいですか?
- 特定のユースケースに合わせて、より具体的なアドバイスが欲しいですか?
javascript clone javascript-objects