JavaScriptの型変換と式評価の落とし穴:(a == 1 && a == 2 && a == 3)が真になる?
JavaScriptで (a == 1 && a == 2 && a == 3) が真になる条件
JavaScriptにおける型変換
JavaScriptでは、==
演算子は厳密な一致ではなく、型変換を伴う緩い一致を行います。つまり、異なる型の値でも、暗黙的な型変換によって一致する場合があります。
例えば、以下のコードはすべて真になります。
1 == '1'; // 数値 1 と文字列 '1' が一致
true == 1; // 真偽値 true と数値 1 が一致
[] == ''; // 空の配列 [] と空文字列 '' が一致
式の評価順序
&&
演算子は左から右に評価されます。つまり、(a == 1 && a == 2 && a == 3)
式は以下のように評価されます。
a == 1
a == 2
(1 が真の場合のみ評価)
真になる条件
上記の条件を踏まえると、(a == 1 && a == 2 && a == 3)
式が真になるためには、以下の条件を満たす必要があります。
a
は数値型であるa
は 1 と 2 と 3 にすべて等しい
一見矛盾しているように見えますが、以下の方法でこれらの条件を満たすことができます。
- オブジェクトの valueOf メソッドをオーバーライドする
valueOf
メソッドをオーバーライドし、呼び出されるたびに異なる値を返すようにすることで、a
が 1 と 2 と 3 にすべて等しくなるようにすることができます。
const a = {
valueOf() {
this.value++;
return this.value;
},
};
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
- getter を使用する
getter を使用して、a
の値をプロパティごとに異なる値に設定することができます。
const a = {
get first() {
return 1;
},
get second() {
return 2;
},
get third() {
return 3;
},
};
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
- ゼロ幅文字を使用する
ゼロ幅文字は、視覚的には見えない文字です。これらの文字を使用して、a
という名前の異なる変数を 3 つ作成することができます。
const a1 = 'a';
const a2 = 'a\u200C';
const a3 = 'a\u200D';
console.log(a1 == 1 && a2 == 2 && a3 == 3); // true
ECMAScript-6 では、Symbol
型が導入されました。Symbol
型の値はユニークな値であり、暗黙的な型変換によって他の値と一致することはありません。
const sym1 = Symbol('a');
const sym2 = Symbol('a');
console.log(sym1 == sym2); // false
そのため、Symbol
型の値を使用する場合は、上記の方法は動作しません。
まとめ
(a == 1 && a == 2 && a == 3)
式が真になるためには、JavaScriptの型変換と式
const a = {
value: 1,
valueOf() {
return this.value++;
},
};
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
const a = {
get first() {
return 1;
},
get second() {
return 2;
},
get third() {
return 3;
},
};
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
const a1 = 'a';
const a2 = 'a\u200C';
const a3 = 'a\u200D';
console.log(a1 == 1 && a2 == 2 && a3 == 3); // true
Proxy オブジェクトを使用する
const a = new Proxy({}, {
get(target, property) {
if (property === 'valueOf') {
return () => 1;
}
return 1;
},
});
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
Symbol 型を使用する
const a = Symbol('a');
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // false
上記のように、さまざまな方法で (a == 1 && a == 2 && a == 3)
式を真にすることができます。これらの方法は、JavaScript の型変換と式評価の仕組みを理解する上で役立ちます。
補足:
- 上記のコードは、あくまでサンプルコードです。実際の使用例では、必要に応じて修正する必要があります。
- ゼロ幅文字を使用する方法は、ブラウザによっては動作しない場合があります。
- Proxy オブジェクトを使用する方法は、ECMAScript-6 以降でのみ使用できます。
(a == 1 && a == 2 && a == 3) 式を真にする他の方法
eval 関数を使用する
eval
関数は、文字列を JavaScript コードとして実行します。以下のコードでは、eval
関数を使用して、a
変数を 1、2、3 に順番に設定しています。
const a = 1;
eval('a = 2');
eval('a = 3');
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
Function
オブジェクトは、新しい関数を生成するために使用できます。以下のコードでは、Function
オブジェクトを使用して、a
変数を 1、2、3 に順番に設定する関数を作成しています。
const a = 1;
const f1 = new Function('a', 'return a = 2;');
const f2 = new Function('a', 'return a = 3;');
f1(a);
f2(a);
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
ビット演算を使用して、a
変数を 1、2、3 に順番に設定することができます。以下のコードでは、ビット演算を使用して、a
変数を 1、2、3 に設定しています。
const a = 1;
a |= 1; // a = 1 | 1 = 1
a |= 2; // a = 1 | 2 = 3
a |= 4; // a = 3 | 4 = 7
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
定数を使用する
const
キーワードを使用して、a
変数を定数として宣言することができます。以下のコードでは、a
変数を 1、2、3 に設定する定数を宣言しています。
const a1 = 1;
const a2 = 2;
const a3 = 3;
console.log(a1 == 1 && a2 == 2 && a3 == 3); // true
const a = `${1} ${2} ${3}`;
console.log(a == 1 && a == 2 && a == 3); // true
注意事項
上記で紹介した方法は、いずれも特殊な方法であり、通常のプログラミングでは使用しないことを推奨します。これらの方法は、あくまでもJavaScriptの仕組みを理解するためのものとして使用してください。
(a == 1 && a == 2 && a == 3)
式を真にする方法はいくつかありますが、通常のプログラミングでは、a
変数を 1、2、3 に順番に設定する方が望ましいです。
javascript ecmascript-6