CSSにおけるmax-device-widthとmax-widthの使い分け:モバイルWebデザインで迷わないために

2024-06-16

CSSにおけるmax-device-widthとmax-widthの違い:モバイルWebにおける使い分け

近年、スマートフォンやタブレット端末の普及により、Webサイトの閲覧環境は多様化しています。そのため、あらゆるデバイスで最適な表示を可能にする「レスポンシブWebデザイン」が重要視されています。

レスポンシブWebデザインを実現する上で、重要な役割を果たすのがCSSメディアクエリです。メディアクエリを用いることで、デバイスの画面サイズや解像度に応じて異なるスタイルを適用することができます。

今回取り上げるmax-device-widthmax-widthも、メディアクエリで使用されるプロパティですが、それぞれ微妙な違いがあります。モバイルWebサイトにおける適切な使い分けを理解するために、それぞれの定義と具体的な例を交えて解説していきます。

max-device-widthとは?

max-device-widthは、デバイスの物理的な画面サイズを基準とした最大幅を指定します。つまり、デバイスのベゼルやステータスバーなどを含めた、画面全体における最大幅を指します。

例えば、iPhone 13 Pro Maxの場合、max-device-width896pxとなります。これは、デバイスの物理的な幅が896pxであることを意味します。

一方、max-widthは、ブラウザウィンドウの幅を基準とした最大幅を指定します。つまり、デバイスの画面サイズではなく、実際に表示されているWebページの幅を指します。

例えば、上記と同じiPhone 13 Pro Maxで、Webページを全画面表示している場合、max-width896pxとなります。しかし、ブラウザウィンドウを縮小した場合、max-widthの値も小さくなります。

具体的な使い分け

それぞれの違いを踏まえ、具体的な使い分けの例をいくつか紹介します。

例1:ヘッダーメニューの表示・非表示

  • スマートフォンでは、画面サイズが小さいことから、ヘッダーメニューをハンバーガーメニューのように非表示にして、必要なときにのみ表示したい場合があります。
  • この場合、max-device-widthを使用して、デバイスの画面サイズに応じてヘッダーメニューの表示・非表示を切り替えることができます。
@media (max-device-width: 768px) {
  #header-menu {
    display: none;
  }
  #header-menu-button {
    display: block;
  }
}

例2:カラムレイアウトの切り替え

  • タブレット端末では、スマートフォンよりも画面サイズが大きくなるため、2カラムレイアウトを採用したい場合があります。
@media (max-device-width: 992px) {
  #content {
    width: 100%;
  }
}

@media (min-device-width: 993px) and (max-device-width: 1200px) {
  #content {
    width: 50%;
    float: left;
  }
  #sidebar {
    width: 50%;
    float: right;
  }
}

まとめ

  • max-device-widthは、デバイスの物理的な画面サイズを基準とした最大幅を指定します。
  • max-widthは、ブラウザウィンドウの幅を基準とした最大幅を指定します。
  • デバイスの画面サイズに応じてスタイルを柔軟に変更したい場合は、max-device-widthmax-widthを適切に使い分けることが重要です。

補足

  • 近年では、max-device-widthmax-widthの区別をあまり意識せず、min-widthと組み合わせてブレイクポイントを設定する方法も一般的になっています。
  • 具体的な使い分けは、Webサイトのデザインやレイアウトによって異なるため、状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。



前回の説明で、max-device-widthmax-widthの違いと具体的な使い分けについて解説しました。

今回は、それぞれのプロパティを使用したサンプルコードを紹介します。

/* デフォルトのスタイル */
#header-menu {
  display: flex;
  justify-content: space-between;
}

/* スマートフォン向けスタイル */
@media (max-device-width: 768px) {
  #header-menu {
    display: none;
  }
  #header-menu-button {
    display: block;
  }
}

説明

  • デフォルトのスタイルでは、ヘッダーメニューを横並びに表示します。
  • スマートフォン向けのスタイルでは、max-device-widthを使用して、画面サイズが768px以下の場合にヘッダーメニューを非表示にし、代わりにハンバーガーメニューを表示するボタンを表示します。
/* デフォルトのスタイル */
#content {
  width: 100%;
}

/* タブレット向けスタイル */
@media (min-device-width: 768px) and (max-device-width: 992px) {
  #content {
    width: 65%;
    float: left;
  }
  #sidebar {
    width: 35%;
    float: right;
  }
}

/* デスクトップ向けスタイル */
@media (min-device-width: 993px) {
  #content {
    width: 70%;
    float: left;
  }
  #sidebar {
    width: 30%;
    float: right;
  }
}
  • デフォルトのスタイルでは、コンテンツを1カラムで表示します。
  • タブレット向けのスタイルでは、min-device-widthmax-device-widthを使用して、画面サイズが768px以上992px以下の場合にコンテンツとサイドバーを2カラムで表示します。
  • デスクトップ向けのスタイルでは、画面サイズが993px以上の場合にコンテンツとサイドバーを2カラムで表示しますが、それぞれの幅を調整しています。

その他の例

  • スマートフォンでは、フォントサイズを大きくしたり、行間を広げたりして、読みやすく表示する。
  • タブレットでは、画像を最適なサイズに縮小したり、テーブルレイアウトを調整したりする。
  • デスクトップでは、複数のカラムレイアウトを採用したり、複雑なアニメーションを使用したりする。

上記はあくまでも一例であり、実際のWebサイトでは、デザインやレイアウトに合わせて適切なメディアクエリを設定する必要があります。




今回紹介するのは、max-device-widthmax-width以外にも利用できる、レスポンシブWebデザインを実現するための方法です。

メディアクエリの種類

CSSメディアクエリには、画面サイズ以外にもさまざまな種類があります。代表的なものをいくつか紹介します。

  • min-width: 指定された最小幅以上のデバイスを対象とする。
  • orientation: デバイスの向き(縦向き/横向き)を対象とする。
  • device-aspect-ratio: デバイスのアスペクト比を対象とする。
  • resolution: デバイスの解像度を対象とする。

これらのメディアクエリを組み合わせることで、より柔軟なレスポンシブデザインを実現することができます。

viewportメタタグを用いることで、ブラウザに表示するWebページの視覚領域を定義することができます。具体的には、以下の属性を設定することができます。

  • width: 視覚領域の幅
  • height: 視覚領域の高さ
  • initial-scale: 初期表示倍率
  • maximum-scale: 最大表示倍率
  • user-scalable: ユーザーによるズーム操作の可否

これらの属性を適切に設定することで、デバイスの画面サイズに合わせた最適な表示を実現することができます。

FlexboxやGridレイアウトは、要素の配置を柔軟に制御できるレイアウト方式です。メディアクエリと組み合わせることで、デバイスの画面サイズに応じてレイアウトを自動的に調整することができます。

JavaScriptを用いることで、より高度なレスポンシブデザインを実現することができます。例えば、以下のようなことができます。

  • デバイスの画面サイズに応じて、要素の表示・非表示を切り替える。
  • デバイスの向きに応じて、レイアウトを変更する。
  • ユーザーによる操作に応じて、スタイルを動的に変更する。

max-device-widthmax-width以外にも、さまざまな方法を用いてレスポンシブWebデザインを実現することができます。それぞれの方法の特徴を理解し、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。


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