JavaScriptの奇妙な計算の解明

2024-10-10

JavaScriptの謎: ++[[]][+[]]+[+[]] が "10" を返す理由

問題
JavaScriptのコード ++[[]][+[]]+[+[]] は、なぜ文字列 "10" を返しますか?

解説

このコードは、JavaScriptの配列、演算子、および型変換の複雑な相互作用を明らかにしています。

ステップごとの分解:

  1. 空配列の生成
    [[]] は、空の配列を生成します。
  2. 要素の取得
    [+[]] は、空配列の最初の要素を取得します。しかし、配列は空なので、undefined が返されます。
  3. undefined を数値に変換
    + 演算子は、オペランドを数値に変換します。undefined は数値に変換できないため、NaN (Not a Number) になります。
  4. NaN にインクリメント
    ++ 演算子は、オペランドをインクリメントします。NaN にインクリメントしても、結果は依然として NaN です。
  5. NaN を配列の要素として使用
    [NaN][NaN] は、2つの要素が NaN の配列を生成します。
  6. undefined を数値に変換
    + 演算子は、undefinedNaN に変換します。
  7. NaN にインクリメント
    ++ 演算子は、NaN をインクリメントし、再び NaN になります。
  8. NaN と NaN を加算
    + 演算子は、NaNNaN を加算し、結果として NaN が返されます。

ここで、なぜ文字列 "10" が返されるのでしょうか?

実は、上記のステップはすべて間違っています。JavaScriptの解釈器は、このコードを評価する際に、いくつかの非標準的な解釈を行っています。

  1. ++[[]][+[]]+[+[]] の評価
    JavaScriptの解釈器は、このコードを ++[NaN][NaN] として解釈します。これは、配列のインデックスとして NaN を使用したためです。
  2. NaN のインデックスアクセス
    JavaScriptは、配列のインデックスとして NaN を使用した場合、その配列の最後の要素を取得します。
  3. 最後の要素の取得
    [NaN][NaN] の最後の要素は、NaN です。

しかし、ここでJavaScriptの型変換の奇妙な挙動が働きます。

  1. NaN を文字列に変換
    JavaScriptは、NaN を文字列に変換すると、 "NaN" になります。
  2. "NaN" を数値に変換
    ここで、JavaScriptは "NaN" を数値に変換しようとする際に、奇妙な挙動を示します。"NaN" は数値ではないため、変換は失敗するはずですが、JavaScriptは代わりに "NaN" を整数に変換します。
  3. 整数の加算
    そして、JavaScriptは、"NaN" を整数として解釈し、NaNNaN を加算します。このとき、JavaScriptは、NaN を 0 として扱います。そのため、0 + 0 の結果として、0 が得られます。
  4. 0 を文字列に変換
    最後に、JavaScriptは、0 を文字列に変換し、"0" が返されます。



コードの分解と解説

++[[]][+[]]+[+[]]

このコードは、一見すると意味不明ですが、JavaScriptの型変換や配列の扱いに関する深い知識がないと、その挙動を理解するのは難しいでしょう。

空配列の生成と undefined の取得

[[]]
  • 空の配列を生成します。
[+[]]
  • + 演算子は数値に変換しようとするため、undefinedNaN (Not a Number) になります。
  • 空配列の最初の要素を取得しようとしますが、要素がないため undefined が返されます。

NaN を使った配列のインデックスアクセス

[[]][NaN]
  • しかし、この配列は空なので、やはり undefined が返されます。
  • NaN を配列のインデックスとして使用するのは通常はエラーになりますが、JavaScriptでは最後の要素が返されます。

NaN のインクリメントと加算

++[[]][NaN] + [+[]]
  • + 演算子は、NaNNaN を加算しようとしますが、結果は NaN のままです。
  • ++ 演算子は NaN をインクリメントしようとしますが、NaN にはインクリメントの概念がないため、結果は依然として NaN です。

文字列への変換と数値への再変換

"" + NaN
  • "" + NaN の結果は "NaN" という文字列ですが、JavaScriptはこれを数値に変換しようとする際に、NaN の文字列部分を切り捨てて、0として扱います。
  • NaN を文字列に変換すると "NaN" になります。

最後の計算

0 + 0
  • しかし、このコード全体は文脈の中で使用されているため、0 が数値として扱われるか、文字列 "0" として扱われるかは、周囲のコードによって異なります。
  • 最終的に、0 + 0 の計算が行われ、結果は 0 となります。

このコードが「10」を返すわけではありませんが、なぜこのような結果になるのかを理解するためには、JavaScriptの型変換の仕組み、特に NaN の扱いや、配列のインデックスアクセスにおける特殊な挙動を深く理解する必要があります。

JavaScriptの型変換は、プログラマーを混乱させることがあるため、意図しない結果を防ぐために、型変換の仕組みをしっかりと理解しておくことが重要です。

  • 可読性
    コードは、自分自身だけでなく、他の開発者も理解できるように、可能な限りシンプルかつ明確に書くべきです。
  • セキュリティリスク
    このようなコードは、読み解くのが難しいため、セキュリティリスクを高める可能性があります。
  • JavaScriptFuscation
    このようなコードは、JavaScriptFuscationと呼ばれる、コードを意図的に読みにくくする手法の一例です。

より深く学ぶために

  • デバッガー
    ブラウザのデバッガーを使って、コードの各ステップで何が起こっているのかをステップ実行で確認することができます。
  • 型変換
    JavaScriptの型変換のルールを網羅的に学ぶことで、このような奇妙な挙動の原因を理解することができます。



JavaScriptの奇妙な計算を避けるための代替方法

先ほどのコードは、JavaScriptの型変換や配列操作の特殊な挙動を利用したもので、意図的に複雑化されています。このようなコードは、可読性が低く、バグの原因になりやすいため、実際の開発では避けるべきです。

代替方法

よりシンプルでわかりやすいコードを書くために、以下の方法を検討しましょう。

明示的な型変換

  • parseInt() 関数
    文字列の先頭から数値部分を取り出す場合は、parseInt() 関数を使用します。
  • Number() 関数
    文字列を数値に変換する場合は、Number() 関数を使用します。
// 例:
let str = "10";
let num = Number(str); // numは数値の10になる

配列の操作

  • 配列の長さ
    length プロパティを使用して、配列の長さを取得します。
  • 配列の要素へのアクセス
    配列の要素にアクセスする際は、有効なインデックスを使用します。
// 例:
let arr = [1, 2, 3];
let firstElement = arr[0]; // firstElementは1になる

条件分岐

  • switch文
    複数の条件を評価する場合は、switch 文を使用します。
  • if文
    条件に応じて処理を分岐させる場合は、if 文を使用します。
// 例:
let value = 10;
if (value > 5) {
  console.log("valueは5より大きいです");
}

関数の利用

  • 組み込み関数
    JavaScriptには、様々な組み込み関数が用意されています。これらの関数を利用することで、複雑な処理を簡潔に記述できます。
  • 自作関数
    よく使う処理を関数として定義し、再利用することでコードの可読性を高めます。
// 例:
function add(a, b) {
  return a + b;
}

let result = add(3, 4); // resultは7になる
  • コーディング規約
    チームで開発する場合は、統一されたコーディング規約を定めることで、コードの品質を維持することができます。
  • Lintツール
    ESLintなどのLintツールを使用することで、コードの品質を向上させることができます。
  • コメント
    コードの説明をコメントとして記述することで、他の開発者や将来の自分がコードを読み解きやすくなります。

JavaScriptの奇妙な計算は、JavaScriptの柔軟性と裏腹に、誤解を招きやすい部分でもあります。可読性が高く、保守性の高いコードを書くためには、基本的な文法をしっかりと理解し、適切な方法でコードを記述することが重要です。

具体的なコード例

// 不適切な例
let result = ++[[]][+[]]+[+[]];

// より良い例
let num1 = 1;
let num2 = 0;
let sum = num1 + num2;
console.log(sum); // 1

ポイント

  • 組み込み関数やライブラリを活用する
  • コメントで説明を加える
  • 明確な変数名を使用する
  • シンプルなコードを心がける

さらに詳しく知りたい方へ

  • MDN Web Docs
    JavaScriptの公式リファレンスです。

javascript syntax jsfuck



テキストエリア自動サイズ調整 (Prototype.js)

Prototype. js を使用してテキストエリアのサイズを自動調整する方法について説明します。Prototype. js を読み込みます。window. onload イベントを使用して、ページの読み込み後にスクリプトを実行します。$('myTextarea') でテキストエリアの要素を取得します。...


JavaScript数値検証 IsNumeric() 解説

JavaScriptでは、入力された値が数値であるかどうかを検証する際に、isNaN()関数やNumber. isInteger()関数などを利用することが一般的です。しかし、これらの関数では小数点を含む数値を適切に検出できない場合があります。そこで、小数点を含む数値も正しく検証するために、IsNumeric()関数を実装することが有効です。...


jQueryによるHTMLエスケープ解説

JavaScriptやjQueryでHTMLページに動的にコンテンツを追加する際、HTMLの特殊文字(<, >, &, など)をそのまま使用すると、意図しないHTML要素が生成される可能性があります。これを防ぐために、HTML文字列をエスケープする必要があります。...


JavaScriptフレームワーク:React vs Vue.js

JavaScriptは、Webページに動的な機能を追加するために使用されるプログラミング言語です。一方、jQueryはJavaScriptライブラリであり、JavaScriptでよく行う操作を簡略化するためのツールを提供します。jQueryを学ぶ場所...


JavaScriptオブジェクトプロパティの未定義検出方法

JavaScriptでは、オブジェクトのプロパティが定義されていない場合、そのプロパティへのアクセスはundefinedを返します。この現象を検出して適切な処理を行うことが重要です。最も単純な方法は、プロパティの値を直接undefinedと比較することです。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



JavaScript、HTML、CSSでWebフォントを検出する方法

CSS font-family プロパティを使用するCSS font-family プロパティは、要素に適用されるフォントファミリーを指定するために使用されます。このプロパティを使用して、Webページで使用されているフォントのリストを取得できます。


ポップアップブロック検知とJavaScript

ポップアップブロックを検知する目的ポップアップブロックはユーザーのプライバシーやセキュリティを保護するためにブラウザに組み込まれている機能です。そのため、ポップアップブロックが有効になっている場合、ポップアップを表示することができません。この状況を検知し、適切な対策を講じるために、JavaScriptを使用することができます。


HTML要素の背景色をJavaScriptでCSSプロパティを使用して設定する方法

JavaScriptを使用すると、CSSプロパティを動的に変更して、HTML要素の背景色を制御できます。この方法により、ユーザーの入力やページの状況に応じて、背景色をカスタマイズすることができます。HTML要素の参照を取得HTML要素の参照を取得


JavaScript オブジェクトの長さについて

JavaScriptにおけるオブジェクトは、プロパティとメソッドを持つデータ構造です。プロパティはデータの値を保持し、メソッドはオブジェクトに対して実行できる関数です。JavaScriptの標準的なオブジェクトには、一般的に「長さ」という概念はありません。これは、配列のようなインデックスベースのデータ構造ではないためです。


JavaScriptグラフ可視化ライブラリ解説

JavaScriptは、ウェブブラウザ上で動作するプログラミング言語です。その中で、グラフの可視化を行うためのライブラリが数多く存在します。これらのライブラリは、データ構造やアルゴリズムを視覚的に表現することで、理解を深める助けとなります。