Socket.IO と WebSocket の比較

2024-09-29

WebSocket とは

WebSocket は、双方向通信 (リアルタイム) を可能にするプロトコルです。HTTP とは異なり、一度接続が確立されると、サーバーとクライアント間で双方向にデータを送受信できます。低遅延でリアルタイムな通信が必要なチャットやオンラインゲームなどによく用いられます。

Socket.IO とは

Socket.IO は、WebSocket を抽象化し、より簡単に双方向通信を実装できるライブラリです。WebSocket を直接利用するよりも、開発が容易になります。具体的には、次のような機能を提供します。

  • 名前空間: 複数の通信チャネルを作成でき、メッセージを適切にルーティングできます。
  • 自動フォールバック: ブラウザが WebSocket をサポートしていない場合、Socket.IO は他の互換性のある通信方式 (ポーリングなど) に自動的に切り替えます。
  • イベントベースの通信: データを送受信する際に、イベント名を使って明示的にやり取りできます。

Socket.IO と WebSockets の違い

機能WebSocketsSocket.IO
プロトコル低レベル高レベル (WebSocket を抽象化)
難易度開発がやや複雑開発が簡単
機能基本的な双方向通信イベント、自動フォールバック、名前空間など
ブラウザ互換性基本的に全ブラウザで動作古いブラウザでは互換性レイヤーが必要

要約

WebSocket はリアルタイム通信を実現する基本的なプロトコルです。Socket.IO は WebSocket をより使いやすくするためのライブラリであり、イベントや自動フォールバックなどの機能を提供します。開発のしやすさを優先する場合は Socket.IO が、より低レベルな制御が必要な場合は WebSocket が適しています。




Node.js での Socket.IO と WebSockets の比較 - コード例

Socket.IO と WebSockets の違いを理解するために、シンプルなチャットアプリケーションのサーバーサイドのコード例を見てみましょう。

WebSocket による実装

const WebSocket = require('ws');

const wss = new WebSocket.Server({ port: 8080 });

wss.on('connection', (ws) => {
  console.log('クライアントが接続されました');

  ws.on('message', (message) => {
    console.log('クライアントからメッセージを受信:', message);
    wss.clients.forEach((client) => {
      if (client !== ws && client.readyState === WebSocket.OPEN) {
        client.send(message); // 全クライアントにブロードキャスト
      }
    });
  });

  ws.on('close', () => {
    console.log('クライアントが切断されました');
  });
});

console.log('サーバーを起動しました (ポート: 8080)');

説明

  • メッセージ受信時には、全クライアントにブロードキャスト送信を行います。
  • クライアント接続時に connection イベントが発生し、メッセージ受信や切断処理を実装します。
  • WebSocket モジュールを使い、サーバーソケット (wss) を作成します。

Socket.IO による実装

const express = require('express');
const app = express();
const server = require('http').createServer(app);
const io = require('socket.io')(server);

a   pp.get('/', (req, res) => {
  res.sendFile(__dirname + '/index.   html'); // クライアント側の HTML ファイルを提供
});

io.on('connection', (socket) => {
  console.log('クライアントが接続されました');

  socket.on('chat message', (msg) => {
    console.log('クライアントからメッセージを受信:', msg);
    io.emit('chat message', msg); // 全クライアントにブロードキャスト
  });

  socket.on('disconnect', () => {
    console.log('クライアントが切断されました');
  });
});

server.listen(3000, () => {
  console.log('サーバーを起動しました (ポート: 3000)');
});
  • io.emit でイベント名とメッセージを指定し、全クライアントにブロードキャスト送信を行います。
  • socket.on でイベント名 (chat message) を指定し、メッセージ受信処理を定義します。
  • socket.io モジュールを使い、Socket.IO サーバー (io) を作成します。
  • express モジュールを使い、HTTP サーバーと Express アプリケーションを作成します。

比較ポイント

  • Socket.IO は自動フォールバック機能を持ち、WebSocket をサポートしていないブラウザでもポーリングなどを使って通信できます (今回省略)。
  • Socket.IO はイベントベースで動作し、メッセージ送信や受信時にイベント名を使います。
  • WebSocket はより低レベルなプロトコルで、直接メッセージの送受信を行う必要があります。

クライアント側のコード (共通)

以下のコードはどちらの実装でも使用可能な基本的なクライアント側のコードです。

<!DOCTYPE html>
<html lang="en">
<head>
  <meta charset="UTF-8">
  <title>チャット</title>
  <script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/socket.io/4.5.1/socket.io.js"></script>
</head>
<body>
  <h1>チャット</h1>
  <input type="text" id="message" placeholder="メッセージを入力">
  <button id="send">送信</button>
  <ul id="chat-messages"></ul>
  <script>
    const socket = io(); // (WebSocket の場合は URL を指定)
    const messageInput = document.getElementById('message');
    const sendMessageButton = document.getElementById('send');
    const chatMessages = document.getElementById('chat-messages');

    sendMessageButton.addEventListener('click', () => {
      const message = messageInput.value;
      messageInput.value = '';
      socket.emit('chat message', message); // イベント名を使って送信
    });

    socket.on('chat message', (message) => {
      const li = document.createElement('li');
      li.textContent = message;
      chatMessages.appendChild



Server-Sent Events (SSE)

  • 双方向通信には向かないため、チャットなど双方向のやり取りが必要な場合は別の手段が必要です。
  • 軽量で、比較的古いブラウザでもサポートされています。
  • クライアントはサーバーからのイベントを購読し、データを受信します。
  • シンプルな一方通行通信 (サーバーからクライアントへ) に適しています。

WebRTC (Web Real-Time Communication)

  • API が複雑で、開発にはある程度の知識が必要です。
  • 音声・ビデオ通話や P2P ファイル共有など、より複雑なリアルタイムアプリケーションに適しています。
  • 直接ピア同士 (P2P) 接続や、サーバーを介したリアルタイム通信を実現します。

MQTT (Message Queuing Telemetry Transport)

  • Node.js では様々なライブラリが利用可能ですが、Socket.IO や WebSockets と比べると学習コストがかかる場合があります。
  • リアルタイム性だけでなく、メッセージの信頼性やセキュリティ面も重視されています。
  • IoT (Internet of Things) デバイスでの通信に広く採用されています。
  • メッセージブローカーを介してデバイス間で通信を行うプロトコルです。
代替手段双方向通信メッセージ形式複雑性適した用途
Server-Sent Events (SSE)×テキスト一方通行通信 (サーバーからクライアントへ)
WebRTCバイナリ (音声・ビデオなど)音声・ビデオ通話、P2P ファイル共有
MQTTテキストIoT デバイス間通信

Socket.IO と WebSockets は汎用性の高いリアルタイム通信手段ですが、アプリケーションの要件に応じて代わりの選択肢も検討できます。

  • IoT デバイス間通信なら MQTT が適しているかもしれません。
  • 音声・ビデオ通話など複雑な機能が必要なら WebRTC が、
  • シンプルな一方通行通信なら SSE が、

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