JavaScriptの厳格モード解説
JavaScriptのuse strict
について
use strict
の役割
JavaScriptのuse strict
ディレクティブは、コードの実行モードを厳格モード(strict mode)に設定します。このモードでは、JavaScriptのエラー処理がより厳密になり、潜在的な問題を早期に検出することができます。
厳格モードは、次の理由で導入されました:
- エラー検出の強化
厳格モードでは、JavaScriptの仕様に準拠していないコードがエラーとして扱われます。これにより、潜在的なバグを早期に発見し、修正することができます。 - コードの保守性向上
厳格モードでは、コードの構造がより整頓され、読みやすくなります。これにより、コードの保守性が向上します。 - パフォーマンスの改善
厳格モードでは、JavaScriptエンジンの最適化がより効果的に行われることがあります。
'use strict';
// 厳格モードでのエラー例
function myFunction() {
x = 10; // 参照エラーが発生します
}
myFunction();
上記のコードでは、x
が宣言されていないため、厳格モードでは参照エラーが発生します。通常のモードでは、x
がグローバル変数として暗黙的に宣言されるため、エラーは発生しません。
JSLintとuse strict
JSLintは、JavaScriptのコード品質チェックツールです。JSLintは、コードのエラーやスタイル違反を検出し、修正を提案します。JSLintは、厳格モードの使用を推奨しており、コードの品質向上に役立ちます。
JavaScriptの厳格モード解説:コード例
厳格モードの有効化
'use strict';
このコード行をスクリプトの先頭に配置することで、そのスクリプト全体で厳格モードが有効になります。
厳格モードでのエラー例
宣言されていない変数の使用
'use strict';
x = 10; // ReferenceError: x is not defined
厳格モードでは、宣言されていない変数を使用すると参照エラーが発生します。
重複する変数の宣言
'use strict';
var x = 10;
var x = 20; // SyntaxError: Duplicate declaration "x"
厳格モードでは、同じスコープ内で同じ変数を複数回宣言することはできません。
オブジェクトのプロパティの削除
'use strict';
var obj = { x: 10 };
delete obj.x; // SyntaxError: Cannot delete property 'x' of object
厳格モードでは、オブジェクトのプロパティを削除することはできません。
厳格モードでの機能の違い
this
キーワード
'use strict';
function myFunction() {
console.log(this); // ログにはグローバルオブジェクトが表示される
}
myFunction();
厳格モードでは、関数内のthis
キーワードは、呼び出し元のオブジェクトではなく、グローバルオブジェクトを参照します。
arguments
オブジェクト
'use strict';
function myFunction(a, b) {
arguments[0] = 100;
console.log(a); // ログには100が表示される
}
myFunction(10);
厳格モードでは、arguments
オブジェクトの要素を変更すると、対応する関数のパラメータも変更されます。
デフォルトパラメータ
'use strict';
function myFunction(x = 10) {
console.log(x); // ログには10が表示される
}
myFunction();
ESLintやJSHintの使用
ESLintやJSHintなどのJavaScriptのコードリンターを使用することで、厳格モードに準拠したコーディングスタイルを強制することができます。これらのツールは、コードのエラーやスタイル違反を検出し、修正を提案します。
命名規則の遵守
適切な命名規則に従うことで、コードの可読性と保守性を向上させることができます。これにより、潜在的なエラーを減らすことができます。
TypeScriptの使用
TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットであり、静的型付けをサポートします。TypeScriptを使用することで、コンパイル時にエラーを検出することができます。
コードレビュー
コードレビューを実施することで、他の開発者からフィードバックを受け取り、コードの品質を向上させることができます。
テスト駆動開発(TDD)
TDDの原則に従って開発することで、コードの品質とテストカバレッジを向上させることができます。
継続的インテグレーション(CI)
CIツールを使用して、コードのビルド、テスト、デプロイを自動化することで、エラーを早期に検出することができます。
経験と知識の蓄積
JavaScriptのベストプラクティスや最新の仕様を学び、経験を積むことで、エラーを回避し、高品質なコードを開発することができます。
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