文字列からストリーム作成 (Node.js)
Node.jsで文字列からストリームを作成する
Node.jsでは、文字列をストリームに変換して、非同期処理やパイプライン処理を活用することができます。以下に、文字列からストリームを作成する方法を解説します。
Readableストリームの作成
Readable
ストリームは、データを読み込むためのストリームです。文字列から Readable
ストリームを作成するには、stream
モジュールの Readable
クラスを使用します。
const { Readable } = require('stream');
const string = 'This is a sample string.';
const readableStream = new Readable({
read(size) {
// 文字列をチャンクごとに読み込む
const chunk = this.push(string.slice(0, size));
// 文字列が読み込まれたら終了
if (!chunk) this.push(null);
}
});
作成した Readable
ストリームは、他のストリームや処理関数にパイプライン処理を適用することができます。
readableStream.pipe(process.stdout); // ストリームを標準出力にパイプ
Readable
ストリームは、以下のイベントを発行します。
error
: エラーが発生したときend
: ストリームが終了したときdata
: データが読み込まれたとき
これらのイベントを使用して、ストリームの処理を制御することができます。
例: 文字列をファイルに書き込む
const fs = require('fs');
readableStream.pipe(fs.createWriteStream('output.txt'));
コードの解説
const { Readable } = require('stream');
const string = 'This is a sample string.';
const readableStream = new Readable({
read(size) {
// 文字列をチャンクごとに読み込む
const chunk = this.push(string.slice(0, size));
// 文字列が読み込まれたら終了
if (!chunk) this.push(null);
}
});
コードの各部分の説明
-
read(size)関数
- この関数は、ストリームからデータが要求されたときに呼び出されます。
size
引数は、要求されたデータのサイズを表します。this.push(string.slice(0, size))
で、文字列の一部をチャンクとしてストリームにプッシュします。slice
メソッドを使用して、指定されたサイズ分の文字列を切り出します。this.push(null)
で、全てのデータが読み込まれたことを示し、ストリームを終了します。
-
const readableStream = new Readable({ ... });
Readable
クラスの新しいインスタンスを作成し、readableStream
変数に代入します。オブジェクト引数には、ストリームの動作をカスタマイズするためのオプションを渡します。
-
const string = 'This is a sample string.';
- ストリームに変換したい文字列を定義します。
-
const { Readable } = require('stream');
stream
モジュールからReadable
クラスをインポートします。Readable
クラスは読み込み可能なストリームを作成するために使用されます。
コードの動作
- ストリームの作成
上記のコードを実行すると、string
変数の文字列をデータとするReadable
ストリームが作成されます。 - データの読み込み
ストリームからデータを読み込む処理(例えば、パイプライン処理など)が実行されると、read(size)
関数が呼び出されます。 - チャンクの生成
read(size)
関数内で、指定されたサイズ分の文字列がチャンクとして生成され、ストリームにプッシュされます。 - ストリームの終了
全てのデータがプッシュされると、this.push(null)
が呼び出され、ストリームが終了します。
ストリームの利用例
readableStream.pipe(process.stdout); // ストリームを標準出力にパイプ
pipe
メソッドを使用して、readableStream
をprocess.stdout
(標準出力)にパイプします。これにより、ストリームから読み込まれたデータがコンソールに出力されます。
Node.jsで文字列からストリームを作成することで、非同期処理やパイプライン処理を柔軟に行うことができます。Readable
クラスのread
メソッドをオーバーライドすることで、様々な種類のストリームを作成することができます。
ポイント
- パイプライン処理によって、複数のストリームを連結し、複雑なデータ処理を実現することができます。
- ストリームは、一度に全てのデータをメモリに読み込むのではなく、必要に応じて少しずつデータを読み込むため、大規模なデータ処理に適しています。
応用例
- データの変換やフィルタリングを行う
- HTTPリクエストのレスポンスを処理する
- ファイルからデータを読み込む
fromメソッドを利用する
Node.js v10以降では、stream
モジュールにfrom
メソッドが追加されました。このメソッドは、IterableやAsyncIteratorからReadable
ストリームを簡単に作成できる便利な方法です。
const { from } = require('stream');
const string = 'This is a sample string.';
const readableStream = from(string);
この方法は、従来のReadable
クラスを継承して_read
メソッドを実装するよりも簡潔に記述できます。
サードパーティライブラリを利用する
- resumer
resumer
は、文字列やバッファを簡単にReadable
ストリームに変換するための小さなライブラリです。- 一行でストリームを作成できる簡潔さが特徴です。
const resumer = require('resumer');
const readableStream = resumer(string);
- streamify
streamify
は、様々なオブジェクトをストリームに変換するための汎用的なライブラリです。- 文字列だけでなく、関数やPromiseなど、様々なオブジェクトをストリームに変換できます。
const streamify = require('streamify');
const readableStream = streamify(string);
カスタムストリームを作成する
より高度なカスタマイズが必要な場合は、Readable
クラスを継承して、_read
メソッドをオーバーライドすることで、独自のストリームを作成することも可能です。
const { Readable } = require('stream');
class CustomReadable extends Readable {
constructor(string) {
super();
this.string = string;
}
_read(size) {
// 独自のロジックでデータを読み込む
const chunk = this.string.slice(0, size);
this.push(chunk);
if (chunk.length < size) this.push(null);
}
}
const readableStream = new CustomReadable(string);
各方法の比較
方法 | 特徴 | 適しているケース |
---|---|---|
Readable クラスを継承 | 自由度が高い | 複雑なロジックが必要な場合 |
from メソッド | 簡潔 | IterableやAsyncIteratorからストリームを作成する場合 |
resumer | 簡潔 | 文字列をストリームに変換する場合 |
streamify | 汎用的 | 様々なオブジェクトをストリームに変換する場合 |
Node.jsで文字列からストリームを作成する方法は、様々な選択肢があります。どの方法を選ぶかは、プロジェクトの要件や開発者の好みによって異なります。
- 汎用的な変換
streamify
がおすすめです。 - 高度なカスタマイズ
Readable
クラスを継承する方法がおすすめです。 - シンプルなケース
from
メソッドやresumer
がおすすめです。
これらの方法を理解することで、より柔軟なストリーム処理が可能になります。
- 大量のデータを処理する際には、ストリームを使うことでメモリ使用量を抑えることができます。
- ストリームは、非同期処理やパイプライン処理において非常に強力なツールです。
- 上記以外にも、様々なライブラリや手法が存在します。
注意点
- ストリームのエラー処理は適切に行う必要があります。
- ストリームは、一度読み込んだデータは破棄されるため、何度も読み込む必要がある場合は、バッファにデータを保存する必要があります。
javascript string node.js