Jestによる単体テスト解説

2024-08-25

「Jestで単一のファイルをテストする方法」を日本語で解説

Jestは、Node.jsのテストフレームワークです。単一のファイルをテストするには、以下の手順に従います。

テストファイルの作成

  • テストするファイルと同じディレクトリに、テストファイルを作成します。通常、テストファイルは .test.js または .spec.js という拡張子で命名されます。

テストの記述

  • it ブロックは、個々のテストケースのタイトルとテストの実行コードを指定します。
  • describe ブロックは、テストスイートのタイトルを指定します。
  • テストファイル内で、describeit ブロックを使用してテストケースを定義します。

モックの利用(必要に応じて)

  • テスト対象のファイルが他のモジュールに依存している場合は、jest.mock を使用してモックを作成し、テストを独立させることができます。

テストの実行

  • ターミナルで、プロジェクトのルートディレクトリに移動して、以下のコマンドを実行します。
jest filename.test.js


// filename.js
function add(a, b) {
  return a + b;
}

// filename.test.js
const add = require('./filename');

describe('add function', () => {
  it('should add two numbers correctly', () => {
    expect(add(2, 3)).toBe(5);
  });
});

この例では、filename.jsadd 関数をテストしています。テストケースは、add(2, 3)5 を返すことを確認しています。

注意

  • モックは、テスト対象のモジュールの依存関係を制御し、テストを独立させるために使用されます。
  • テストケースは、独立していて、他のテストケースに依存しないように設計する必要があります。
  • expect は Jest のアサーションライブラリで、テスト結果を検証するために使用されます。



Jestによる単体テストのコード例解説

コード例1:基本的なテストケース

// sum.js
function sum(a, b) {
  return a + b;
}

// sum.test.js
const sum = require('./sum');

describe('sum function', () => {
  it('should add two numbers correctly', () => {
    expect(sum(2, 3)).toBe(5);
  });
});

解説

  • sum.test.js
    sum.jsの関数をテストするファイルです。
    • describe('sum function', () => { ... }): テストスイートを定義します。このブロック内の全てのテストは、「sum function」に関するテストであることを示します。
    • it('should add two numbers correctly', () => { ... }): 個々のテストケースを定義します。このテストケースでは、sum関数が2つの数を正しく足し算できるかを確認します。
    • expect(sum(2, 3)).toBe(5);: 実際の計算結果と期待する結果を比較します。expectはJestのアサーション関数で、toBeは厳密な等価性を比較するマッチャーです。
  • sum.js
    足し算を行うシンプルな関数です。

コード例2:モックを用いたテスト

// fetchData.js
const axios = require('axios');

async function fetchData(url) {
  const response = await axios.get(url);
  return response.data;
}

// fetchData.test.js
jest.mock('axios');

const fetchData = require('./fetchData');

describe('fetchData function', () => {
  it('should fetch data from the specified URL', async () => {
    const mockData = { message: 'Hello, world!' };
    axios.get.mockResolvedValue({ data: mockData });

    const result = await fetchData('https://api.example.com');
    expect(result).toBe(mockData);
  });
});
  • fetchData.test.js
    • jest.mock('axios');: axiosモジュールをモック化します。これにより、実際のネットワークリクエストを送信せずに、テスト内でaxiosの挙動を制御できます。
    • axios.get.mockResolvedValue({ data: mockData });: axios.getメソッドの戻り値を事前に決めておきます。この例では、mockDataというオブジェクトを返すように設定しています。
    • const result = await fetchData('https://api.example.com');: fetchData関数を呼び出し、結果をresult変数に格納します。
    • expect(result).toBe(mockData);: 実際の戻り値が期待するmockDataと一致するかを確認します。
  • fetchData.js
    axiosライブラリを使って外部APIからデータを取得する関数です。

Jestを用いた単体テストでは、describeitを使ってテストスイートとテストケースを定義し、expectを使って実際の結果と期待する結果を比較します。モックを利用することで、外部の依存性を切り離し、テストをより制御しやすくすることができます。

ポイント

  • 必要に応じてモックを利用して外部依存性を制御する
  • 明確な名前のテストケースとテストスイートを作成する
  • 各テストケースは、一つの機能または振る舞いのみを検証する
  • テストケースは、独立して実行できるよう設計する
  • カバレッジ
    テストがコードのどの部分をカバーしているかを計測することで、テストの網羅性を確認できます。
  • snapshotテスト
    UIコンポーネントのレンダリング結果をスナップショットとして保存し、次回のテストで比較することで、意図しない変更を検出することができます。

より詳しく知りたい場合は、以下のキーワードで検索してみてください。

  • Jest カバレッジ
  • Jest スナップショットテスト
  • Jest モック
  • Node.js 単体テスト
  • Jest テスト



Jest以外の単体テスト方法と比較

JestはNode.js環境で広く利用されている単体テストフレームワークですが、他にも様々なテストフレームワークが存在します。それぞれのフレームワークには特徴や得意とする領域があります。ここでは、Jest以外の代表的なテストフレームワークと、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

Mocha

  • デメリット
    • 設定が複雑になる場合がある
    • Jestに比べると機能が限定的である場合がある
  • メリット
    • Jestよりも自由度が高く、カスタマイズしやすい
    • 古くから存在するため、多くのコミュニティサポートがある
  • 特徴
    • フレキシブルで、様々なアサーションライブラリと組み合わせられる
    • 非同期テストを扱いやすい
    • BDDスタイル(Behavior Driven Development)のテスト記述に適している

Jasmine

  • デメリット
    • 機能が限定的である場合がある
    • Jestに比べるとコミュニティの活気がやや劣る
  • メリット
    • 学習コストが低い
    • BDDスタイルのテストを書きやすい
  • 特徴
    • BDDスタイルのテスト記述に特化している
    • ブラウザ環境でも動作する
    • Node.jsだけでなく、AngularやReactなどのフロントエンドフレームワークのテストにも利用できる

AVA

  • デメリット
    • コミュニティがまだ小さい
  • メリット
    • テスト実行が高速
    • TypeScriptプロジェクトとの相性がいい
  • 特徴
    • 並列実行による高速なテスト実行
    • TypeScriptをサポート
    • シンプルなAPI

Jestとの比較

特徴JestMochaJasmineAVA
人気度高い高い中程度中程度
機能豊富フレキシブルBDDに特化シンプル
スピード速い中程度中程度速い
エコシステム充実充実中程度小さい
TypeScriptサポート良い良い良い良い

どのテストフレームワークを選ぶかは、プロジェクトの規模、チームのスキル、求める機能などによって異なります。

  • AVA
    高速なテスト実行とTypeScriptサポートが特徴です。
  • Jasmine
    BDDスタイルのテストに特化しており、学習コストが低い点が魅力です。
  • Mocha
    自由度が高く、様々なプロジェクトに適用できます。
  • Jest
    幅広い機能と高いパフォーマンス、活発なコミュニティを持つため、多くのプロジェクトで採用されています。

どのフレームワークを選ぶべきか迷った場合は、以下の点を考慮してみてください。

  • 求める機能
    並列実行、カバレッジ計測、スナップショットテストなど、必要な機能が揃っているか
  • プロジェクトの規模
    小規模なプロジェクトであればシンプルなフレームワーク、大規模なプロジェクトであれば豊富な機能を持つフレームワーク
  • チームのスキル
    チームメンバーがどのフレームワークに慣れているか
  • テストダブル
    テスト対象の依存関係をモックやスタブで置き換えることで、テストを独立させ、テスト対象のコードに集中できます。
  • カスタムマッチャー
    各フレームワークでは、カスタムマッチャーを作成することで、独自の検証ロジックを実装できます。

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