TypeScript の Event.target 型について

2024-10-05

TypeScript でイベントリスナーを扱うとき、Event.targetElement 型ではないことに疑問を持つかもしれません。その理由は、すべてのイベントターゲットが要素 (Element) であるとは限らないからです。

EventTarget インターフェースは、イベントが発生する可能性のあるオブジェクトの基盤となるものです。Element (要素)、document (ドキュメントオブジェクト)、window (ウィンドウオブジェクト) などがイベントターゲットの例ですが、他にも XMLHttpRequestAudioNode などもイベントを発生させることができます。

TypeScript は型安全性のために、Event.target をより汎用的な EventTarget 型として定義しています。これにより、イベントが発生したオブジェクトの種類を正確に把握できない場合でも、イベントリスナー関数を定義することができます。

Event.targetElement 型として使いたい場合

もし、イベントリスナー関数が確実に Element を対象としていることが分かっているなら、次のような方法で型を絞ることができます。

  1. アサーション (Type Assertion)
function handleClick(event: Event) {
  const targetElement = event.target as HTMLElement; // アサーションを使って `Element` 型にキャスト
  console.log(targetElement.id); // id プロパティにアクセス可能
}
  1. 型チェック
function handleClick(event: Event) {
  if (event.target instanceof HTMLElement) {
    const targetElement = event.target;
    console.log(targetElement.id);
  } else {
    // 対象が Element でない場合の処理
  }
}
  • 確実に Element を対象としている場合は、アサーションや型チェックで型を絞ることができる。
  • Event.target はすべてのイベントターゲットを網羅するため、EventTarget 型になっている。



イベントリスナーで Event.target を使用すると、Element 型ではないことに気づくかもしれません。これは、すべてのイベントが要素 (Element) を発生源とするわけではないからです。

  1. Event.target の型が EventTarget であること

次のコードは、ボタンクリックイベントに対するリスナー関数です。Event.target の型は EventTarget であり、要素のプロパティ (例えば、id) には直接アクセスできません。

const button = document.getElementById('myButton');

button.addEventListener('click', (event: Event) => {
  console.log(event.target); // EventTarget 型
});

イベントリスナー関数が確実に Element を対象としていることが分かっている場合は、アサーション を使って型を絞ることができます。アサーションは、コンパイラーに "本当は Element 型のはず" と伝える記法です。

const button = document.getElementById('myButton');

button.addEventListener('click', (event: Event) => {
  const targetElement = event.target as HTMLElement; // アサーションを使って Element 型にキャスト
  console.log(targetElement.id); // id プロパティにアクセス可能
});
  1. 型チェックによる Element 型の絞り込み

型チェック を使って、event.targetElement 型かどうかを確認してからアクセスすることもできます。

const button = document.getElementById('myButton');

button.addEventListener('click', (event: Event) => {
  if (event.target instanceof HTMLElement) {
    const targetElement = event.target;
    console.log(targetElement.id);
  } else {
    // 対象が Element でない場合の処理
  }
});
  • イベントリスナーの対象が確実に Element であることが分かっている場合は、アサーションや型チェックで型を絞ることができます。



TypeScript の Event.target 型と、型を絞る方法 (代替案)

イベントリスナーで Event.target の型を Element に絞る方法として、アサーションと型チェックを紹介しましたが、他にも選択肢があります。

カスタムイベントを使用した型指定

DOM イベント以外にも、自分で作成したイベントオブジェクト (カスタムイベント) を利用することができます。カスタムイベントでは、イベントオブジェクトのプロパティの型を自由に定義できます。

interface ButtonClickEvent extends CustomEvent {
  detail: {
    buttonElement: HTMLButtonElement;
  };
}

const button = document.getElementById('myButton');

button.addEventListener('buttonClick', (event: ButtonClickEvent) => {
  const clickedButton = event.detail.buttonElement;
  console.log(clickedButton.id); // 型が保証されているので、安心して id プロパティにアクセスできる
});

// イベント発行時
button.dispatchEvent(new CustomEvent('buttonClick', {
  detail: {
    buttonElement: button,
  },
}));

ターゲット要素を直接取得

イベントリスナーではなく、イベント発生時にターゲット要素を DOM 操作で直接取得する方法もあります。

const button = document.getElementById('myButton');

button.addEventListener('click', () => {
  const clickedButton = button as HTMLButtonElement; // アサーションに近いですが、こちらはイベントオブジェクトではなくDOM要素に対して行います
  console.log(clickedButton.id);
});

選択のポイント

  • ターゲット要素を直接取得する方法の方がシンプルですが、型安全性が少し落ちます。確実に Element であることが分かっている場合に限って使用しましょう。
  • カスタムイベントは、イベントの種類を明確に定義でき、型安全性が向上します。ただし、イベントリスナー側でイベントオブジェクトを生成・発行する処理が必要になります。

typescript event-listener



TypeScript で enum を作る方法

TypeScriptでは、enumというキーワードを使用して、特定の値のセットを定義することができます。これは、定数や列挙型のような役割を果たします。この例では、Colorという名前のenumを定義しています。このenumは、Red、Green、Blueという3つの値を持ちます。これらの値は、数値として内部的に表現されます。...


TypeScript メソッドオーバーロード 解説

TypeScriptでは、同じ名前の関数を複数の異なるシグネチャで定義することで、メソッドオーバーロードを実現できます。これにより、入力パラメータの種類や数に応じて異なる処理を行うことができます。基本的な方法例注意点オペレータオーバーロード TypeScriptでは、C++やJavaのようなオペレータオーバーロードはサポートされていません。つまり、+、-、*などの演算子の挙動を独自に定義することはできません。...


Knockout.jsとTypeScriptでシンプルTodoアプリを作ってみよう

Knockout. js は、JavaScript フレームワークであり、DOM 操作とデータバインディングを容易にすることで、Web アプリケーション開発を簡素化します。TypeScript は、JavaScript の静的型付けスーパーセットであり、型安全性を向上させ、開発者の生産性を高めることができます。...


TypeScriptとJavaScriptの違いは?

TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットであり、JavaScriptに静的型付けの機能を追加したプログラミング言語です。つまり、TypeScriptのコードはJavaScriptのコードとしても実行できますが、TypeScriptでは変数や関数の型を明示的に指定することができます。...


JavaScriptとTypeScriptにおけるオープンエンド関数引数

この例では、sum関数は. ..numbersという引数を受け取ります。...演算子は、渡された引数を配列に変換します。そのため、numbers変数には、呼び出し時に渡されたすべての数値が格納されます。TypeScriptでは、引数の型も指定できます。この例では、sum関数はnumber型の引数のみを受け取るように定義されています。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



【徹底解説】JavaScriptとTypeScriptにおけるswitch文で同じコードを実行する2つの方法と注意点

この場合、以下の 2 つの方法で実現することができます。上記の例では、value が 1 または 3 の場合、console. log("値は 1 または 3 です"); が実行されます。同様に、value が 2 または 4 の場合、console


サンプルコードで解説! TypeScript で jQuery Autocomplete を使いこなす

jQuery の型定義ファイルの導入TypeScript で jQuery を利用するために、型定義ファイルが必要です。型定義ファイルは、jQuery の関数やプロパティの型情報を提供し、TypeScript の IntelliSense 機能でオートコンプリートやエラーチェックを有効にします。


軽量で効率的な TypeScript コード: 最小化の重要性とベストプラクティス

そこで、TypeScriptを最小化と呼ばれる手法でコンパイルすることで、コードサイズを削減し、実行速度を向上させることができます。最小化は、コメントや空白などの不要な文字列を削除し、変数名を短縮するなどの処理を行います。TypeScriptを最小化する方法


TypeScriptでHTMLElementの型アサート

TypeScriptでは、HTMLElementの型をアサートして、その要素に存在するメソッドやプロパティにアクセスすることができます。アサートは、変数に特定の型があることをコンパイラに伝えるための方法です。アサートの構文ここで、typeはアサートする型、expressionはアサートしたい値です。


TypeScript型定義ファイル作成ガイド

TypeScriptでJavaScriptライブラリを型付けするTypeScriptは、JavaScriptに静的型付け機能を追加する言語です。既存のJavaScriptライブラリをTypeScriptで使用するためには、そのライブラリの型定義ファイル(.d.tsファイル)を作成する必要があります。