TypeScript クラス内列挙型解説

2024-10-27

基本的な構文

class MyClass {
    enum MyEnum {
        Value1,
        Value2,
        Value3
    }
}

アクセス方法

クラス内の列挙型にアクセスするには、クラス名と列挙型名をドットで繋いで使用します。

let value1 = MyClass.MyEnum.Value1;

定義ファイルでの使用

TypeScript 定義ファイル(.d.ts ファイル)では、クラス内の列挙型を次のように定義します。

declare class MyClass {
    enum MyEnum {
        Value1,
        Value2,
        Value3
    }
}

注意

  • 定義ファイルで列挙型を定義する場合、そのクラスが実際に実装されているかどうかは関係ありません。
  • 列挙型のメンバーは、デフォルトでは数値でインデックス付けされます。数値以外の値を割り当てることもできます。
  • TypeScript の列挙型は、JavaScript にコンパイルされた際には、ただのオブジェクトになります。そのため、ランタイムでの型チェックは行われません。

// 定義ファイル (MyClass.d.ts)
declare class MyClass {
    enum Color {
        Red,
        Green,
        Blue
    }
}

// 実装ファイル (MyClass.ts)
class MyClass {
    enum Color {
        Red = 1,
        Green = 2,
        Blue = 3
    }
}

この例では、MyClass クラス内に Color という列挙型を定義しています。この列挙型は、RedGreenBlue の 3 つの値を持ちます。




TypeScript クラス内列挙型解説とコード例

クラス内列挙型とは?

メリット

  • コードの再利用
    クラス内で定義された列挙型は、そのクラスのメソッド内で再利用できます。
  • 型安全
    列挙型の値しか代入できないため、誤った値の代入を防ぎ、バグを減らすことができます。
  • コードの可読性向上
    定数を意味のある名前で定義することで、コードの意図を明確にできます。
class MyClass {
    enum MyEnum {
        Value1,
        Value2,
        Value3
    }

    // MyEnum を使用するメソッド
    myMethod(value: MyEnum) {
        // ...
    }
}

コード例解説

例1: 色を表す列挙型

class Shape {
    enum Color {
        Red,
        Green,
        Blue
    }

    draw(color: Color) {
        // 色に応じて図形を描く処理
        console.log(`Drawing a shape in ${Color[color]} color.`);
    }
}

let shape = new Shape();
shape.draw(Shape.Color.Red); // 出力: Drawing a shape in Red color.
  • Shape.Color.Red のように、クラス名と列挙型名をドットで繋いでアクセスする。
  • draw メソッドで Color 型のパラメータを受け取り、色に応じた処理を行う。
  • Shape クラス内に Color という列挙型を定義。
class Order {
    enum Status {
        Pending,
        Processing,
        Completed,
        Canceled
    }

    status: Status;

    // ...
}
  • status プロパティに Status 型の値を割り当てる。
  • Order クラス内に Status という列挙型を定義。

例3: 定義ファイルでの定義

// 定義ファイル (MyClass.d.ts)
declare class MyClass {
    enum MyEnum {
        Value1,
        Value2,
        Value3
    }
}
  • 実装ファイルで具体的な実装を行う。
  • 定義ファイルでは、クラスと列挙型の構造を定義する。

さらに詳しく

  • JavaScriptとの関係
    JavaScript には列挙型はありませんが、TypeScript の列挙型は JavaScript のオブジェクトにコンパイルされます。
  • 継承
    列挙型は継承できません。
  • const enum
    コンパイル時に定数に置き換えられる列挙型。
  • 数値以外の値
    文字列やオブジェクトを値として割り当てることもできます。

TypeScript のクラス内列挙型は、定数を管理し、コードの可読性と保守性を高めるための強力なツールです。特に、状態を表す値や、限られた選択肢しかない値を扱う場合に有効です。

ポイント

  • 定義ファイルで定義することで、他のファイルから利用できる。
  • 型安全で、誤った値の代入を防ぐことができる。
  • クラス内で定義することで、そのクラスに固有の定数を管理できる。

活用例

  • 設定値
  • エラーコード
  • イベントの種類
  • 状態管理 (e.g., 注文状態、ユーザー状態)

キーワード
TypeScript, クラス内列挙型, enum, 定義ファイル, 型安全, コードの可読性




const assertion

  • デメリット
    • 型の安全性は列挙型に比べて低い。
    • 定数の管理が散らばる可能性がある。
  • メリット
    • シンプルで柔軟性が高い。
    • 列挙型のように厳密な構造を必要としない場合に適している。
  • 特徴
    • 任意の値を定数として扱う。
    • 型アサーションを用いて、その値の型を制限する。
class MyClass {
  private readonly COLOR_RED = 'red' as const;
  private readonly COLOR_GREEN = 'green' as const;
  // ...
}

型別ユニオン

  • デメリット
    • 型の定義が複雑になる可能性がある。
  • メリット
    • 型の安全性が高い。
    • より柔軟な表現が可能。
  • 特徴
    • 複数の型を一つの型として扱う。
    • 列挙型の値を文字列や数値で表現する。
class MyClass {
  type Color = 'red' | 'green' | 'blue';

  private color: Color;
  // ...
}

文字列リテラル型

  • デメリット
    • 柔軟性がやや低い。
  • メリット
    • 可読性も良い。
  • 特徴
    • 特定の文字列値のみを許容する型。
    • 型別ユニオンと似ているが、より簡潔な表現が可能。
class MyClass {
  private color: 'red' | 'green' | 'blue';
  // ...
}

マッピング型

  • デメリット
    • 初期学習コストが高い。
  • メリット
    • 複雑な型の変換に役立つ。
  • 特徴
    • 既存の型から新しい型を生成する。
    • オブジェクト型のキーと値の関係を定義する。
type ColorMap = {
  RED: 'red';
  GREEN: 'green';
  BLUE: 'blue';
};

class MyClass {
  private color: keyof ColorMap;
  // ...
}

定数インターフェース

  • 特徴
    • インターフェースを使って定数を定義する。
    • 型の安全性と可読性を両立できる。
interface Color {
  readonly RED: 'red';
  readonly GREEN: 'green';
  readonly BLUE: 'blue';
}

class MyClass {
  private color: Color['RED'];
  // ...
}

どの方法を選ぶべきか?

  • 拡張性
    マッピング型定数インターフェース は拡張性が高い。
  • 可読性
    列挙型定数インターフェース は可読性が高いが、冗長になる可能性がある。
  • 型安全性
    型別ユニオンマッピング型 は型安全性が高いが、複雑な場合がある。
  • シンプルさ
    const assertion文字列リテラル型 はシンプルだが、型安全性は低い。

選ぶ際のポイント

  • 拡張性
    将来的に定数を追加する可能性がある場合は マッピング型定数インターフェース を検討。
  • 可読性
    コードの可読性を重視する場合は 列挙型定数インターフェース を検討。
  • 型安全性
    高い型安全性が必要であれば 型別ユニオンマッピング型 を検討。
  • 定数の数
    少数の定数であれば const assertion文字列リテラル型 で十分。

クラス内列挙型以外の選択肢は、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。プロジェクトの規模や要件に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。

  • TypeScript のバージョンによっては、より新しい機能や改善が加わっている可能性があります。
  • 上記以外にも、JavaScript の Object.freeze を利用する方法や、サードパーティライブラリを利用する方法など、様々な選択肢があります。

typescript definition



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