Angular2でインメモリキャッシュ、Web Storage、IndexedDBを使ったキャッシュの実装
Angular2 HTTPサービスで結果をキャッシュする方法
キャッシュの必要性
HTTPリクエストは、ネットワーク帯域幅やサーバーリソースを消費するため、パフォーマンスとコストに影響を与えます。特に、同じデータを何度もリクエストする場合、パフォーマンスの低下やコストの増加につながります。
そこで、HTTPサービスのレスポンスをキャッシュすることで、これらの問題を解決することができます。キャッシュとは、一度取得したデータを保存しておき、次回以降はサーバーにリクエストせずに直接利用できる仕組みです。
キャッシュの実装方法
Angular2でHTTPサービスのレスポンスをキャッシュするには、いくつかの方法があります。
In-memory キャッシュ
最も簡単な方法は、インメモリキャッシュを使用することです。インメモリキャッシュは、アプリケーションメモリ内にデータを保存します。この方法は、アクセス速度が速く、実装も簡単ですが、アプリケーションが再起動されるとキャッシュが失われます。
Web Storage
Web Storageは、ブラウザのローカルストレージを使用してデータを保存します。インメモリキャッシュよりも永続性がありますが、ストレージ容量に制限があります。
IndexedDB
IndexedDBは、ブラウザのデータベースを使用してデータを保存します。Web Storageよりも多くのデータを保存でき、構造化されたデータを保存することができます。
サードパーティライブラリ
Angular2でキャッシュを処理するためのサードパーティライブラリもいくつかあります。これらのライブラリは、より高度な機能を提供しますが、実装が複雑になる場合があります。
キャッシュの利点と欠点
利点
- オフラインアクセス:キャッシュされたデータをオフラインで使用することができます。
- コスト削減:ネットワーク帯域幅とサーバーリソースの使用量が減るため、コストが削減されます。
- パフォーマンスの向上:サーバーへのリクエスト回数が減るため、パフォーマンスが向上します。
欠点
- キャッシュの管理:キャッシュの有効期限や更新方法を管理する必要があります。
- データの非同期性:キャッシュされたデータは古くなっている可能性があります。
import { Injectable } from '@angular/core';
import { HttpClient } from '@angular/common/http';
@Injectable()
export class DataService {
private cache: any = {};
constructor(private http: HttpClient) { }
getData(url: string) {
if (this.cache[url]) {
return Promise.resolve(this.cache[url]);
} else {
return this.http.get(url)
.toPromise()
.then(response => {
this.cache[url] = response;
return response;
});
}
}
}
このコードでは、DataService
というサービスクラスを作成しています。このクラスには、getData()
というメソッドがあり、指定されたURLからデータを取得します。
getData()
メソッドは、まずキャッシュにデータが存在するかどうかを確認します。存在する場合は、キャッシュからデータを返します。存在しない場合は、HTTPリクエストを実行してデータを取得し、キャッシュに保存してから返します。
import { Injectable } from '@angular/core';
import { HttpClient } from '@angular/common/http';
@Injectable()
export class DataService {
private storageKey = 'my-data';
constructor(private http: HttpClient) { }
getData(url: string) {
const data = localStorage.getItem(this.storageKey);
if (data) {
return Promise.resolve(JSON.parse(data));
} else {
return this.http.get(url)
.toPromise()
.then(response => {
localStorage.setItem(this.storageKey, JSON.stringify(response));
return response;
});
}
}
}
このコードは、Web Storage
を使用してデータを保存します。storageKey
という変数で、保存するデータのキーを定義しています。
getData()
メソッドは、まずlocalStorage
からデータを取得します。取得できた場合は、JSON形式でパースして返します。取得できなかった場合は、HTTPリクエストを実行してデータを取得し、JSON形式でlocalStorage
に保存してから返します。
import { Injectable } from '@angular/core';
import { HttpClient } from '@angular/common/http';
import { indexedDB } from 'indexeddb';
@Injectable()
export class DataService {
private dbName = 'my-data';
private storeName = 'data';
constructor(private http: HttpClient) { }
getData(url: string) {
const idb = indexedDB.open(this.dbName);
idb.onupgradeneeded = (event: IDBUpgradeRequest) => {
const db = event.target.result.database;
if (!db.objectStoreNames.contains(this.storeName)) {
db.createObjectStore(this.storeName);
}
};
idb.onsuccess = (event: IDBSuccessEvent) => {
const db = event.target.result;
const transaction = db.transaction([this.storeName], 'readwrite');
const objectStore = transaction.objectStore(this.storeName);
const request = objectStore.get(url);
request.onsuccess = (event: IDBSuccessEvent) => {
const data = event.target.result;
if (data) {
return Promise.resolve(data);
} else {
this.http.get(url)
.toPromise()
.then(response => {
objectStore.put(url, response);
return response;
});
}
};
};
}
}
このコードは、IndexedDB
を使用してデータを保存します。dbName
とstoreName
という変数で、データベースの名前とストレージの名前を定義しています。
getData()
メソッドは、まずindexedDB
を使用してデータベースを開きます。データベースが存在しない場合は、新しいデータベースを作成します。
HTTPインターセプターを使用する
HTTPインターセプターは、HTTPリクエストとレスポンスを処理するための特別なクラスです。インターセプターを使用して、キャッシュロジックを実装することができます。
import { Injectable } from '@angular/core';
import { HttpRequest, HttpResponse, HttpHandler, HttpEvent } from '@angular/common/http';
@Injectable()
export class CacheInterceptor implements HttpInterceptor {
private cache: any = {};
intercept(req: HttpRequest<any>, next: HttpHandler): Observable<HttpEvent<any>> {
if (req.method === 'GET' && this.cache[req.url]) {
return Observable.of(new HttpResponse({ body: this.cache[req.url] }));
}
return next.handle(req)
.pipe(
tap((event: HttpEvent<any>) => {
if (event instanceof HttpResponse && event.status === 200) {
this.cache[req.url] = event.body;
}
})
);
}
}
このコードでは、CacheInterceptor
というインターセプターを作成しています。このインターセプターは、intercept()
メソッドを実装しており、このメソッドはすべてのHTTPリクエストとレスポンスを処理します。
intercept()
メソッドは、まずリクエストのメソッドとURLを確認します。GETリクエストで、かつURLがキャッシュに存在する場合は、キャッシュからレスポンスを返します。
存在しない場合は、リクエストをそのまま処理し、レスポンスを取得します。レスポンスのステータスコードが200の場合は、レスポンスボディをキャッシュに保存してから返します。
RxJSを使用する
RxJSは、非同期処理を処理するためのライブラリです。RxJSを使用して、キャッシュロジックを実装することができます。
import { Injectable } from '@angular/core';
import { HttpClient } from '@angular/common/http';
import { Observable, of } from 'rxjs';
@Injectable()
export class DataService {
private cache: any = {};
constructor(private http: HttpClient) { }
getData(url: string): Observable<any> {
if (this.cache[url]) {
return of(this.cache[url]);
} else {
return this.http.get(url)
.pipe(
tap(response => this.cache[url] = response),
catchError(error => of(error))
);
}
}
}
getData()
メソッドは、まずキャッシュにデータが存在するかどうかを確認します。存在する場合は、Observableを使用してキャッシュされたデータを返します。
存在しない場合は、HTTPリクエストを実行してデータを取得し、キャッシュに保存してからObservableを使用してデータを返します。
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