TypeScriptでvarとletを使い分ける極意:スコープ、再宣言、テンプレートリテラルまで

2024-05-24

TypeScriptにおける var と let の違い

スコープ

  • var: 関数スコープを持ちます。これは、変数が関数ブロック内で宣言された場合、その関数内でのみ有効となることを意味します。一方、グローバルスコープで宣言された var 変数は、プログラム全体でアクセス可能です。
function exampleVar() {
  var varVariable = "varスコープ";
  console.log(varVariable); // "varスコープ"を出力
}

console.log(varVariable); // エラー: varVariableは定義されていません
  • let: ブロックスコープを持ちます。これは、変数がブロック {} で囲まれた領域内で宣言された場合、そのブロック内でのみ有効となることを意味します。関数スコープとは異なり、グローバルスコープの影響を受けません。
function exampleLet() {
  let letVariable = "letスコープ";
  console.log(letVariable); // "letスコープ"を出力
}

console.log(letVariable); // エラー: letVariableは定義されていません

再宣言

  • var: 同じスコープ内で同じ名前の変数を再宣言することができます。これは、意図せぬ変数の書き換えや予期しない動作の原因となる可能性があります。
function exampleVarRedeclare() {
  var varVariable = "初期値";
  varVariable = "再代入値";
  console.log(varVariable); // "再代入値"を出力

  var varVariable = "別の変数"; // 再宣言
  console.log(varVariable); // "別の変数"を出力
}

exampleVarRedeclare();
  • let: 同じスコープ内で同じ名前の変数を再宣言することはできません。再宣言しようとすると、コンパイラエラーが発生します。これは、変数の重複を防ぎ、コードの読みやすさとメンテナンス性を向上させるために設計されています。
function exampleLetRedeclare() {
  let letVariable = "初期値";
  letVariable = "再代入値";
  console.log(letVariable); // "再代入値"を出力

  let letVariable = "別の変数"; // エラー: 'letVariable'はすでに宣言されています
}

exampleLetRedeclare();

その他

使い分け

一般的に、以下の要件に基づいて varlet を使い分けることを推奨します。

  • ブロック内で宣言される変数: let を使用します。これは、ブロックスコープにより変数のスコープを明確に定義し、意図せぬ変数の書き換えを防ぐことができます。
  • グローバルスコープで宣言される変数: どうしてもグローバルスコープで変数を宣言する必要がある場合は、var を使用します。ただし、グローバル変数の使用は極力控え、必要な場合のみ使用するように心がけましょう。
  • 再宣言の可能性がある変数: let を使用します。let は再宣言できないため、意図せぬ変数の書き換えを防ぐことができます。

まとめ

varlet は、それぞれ異なるスコープと再宣言の挙動を持つ変数宣言キーワードです。これらの違いを理解し、適切に使い分けることで、コードの読みやすさ、メンテナンス性、および信頼性を向上させることができます。

近年では、ほとんどの場合 let を使用する方が一般的です。これは、let の方が安全で、コードの意図を明確に表現できるためです。

上記に加えて、TypeScript には const キーワードも存在します。これは、再代入できない定数変数を宣言するために使用されます。

const constVariable = "定数値



例 1: スコープの違い

function exampleScope() {
  var varVariable = "グローバル変数"; // グローバルスコープで宣言
  console.log(varVariable); // "グローバル変数"を出力

  let letVariable = "ブロック変数"; // ブロックスコープで宣言
  console.log(letVariable); // "ブロック変数"を出力
}

console.log(varVariable); // "グローバル変数"を出力
console.log(letVariable); // エラー: letVariableは定義されていません

解説:

  • この例では、varVariable はグローバルスコープで宣言され、letVariable はブロックスコープで宣言されています。
  • varVariable はプログラム全体でアクセス可能ですが、letVariable は関数 exampleScope 内でのみ有効です。

例 2: 再宣言の可否

function exampleRedeclare() {
  var varVariable = "初期値";
  console.log(varVariable); // "初期値"を出力

  varVariable = "再代入値";
  console.log(varVariable); // "再代入値"を出力

  let letVariable = "初期値";
  console.log(letVariable); // "初期値"を出力

  // letVariable = "再代入値"; // エラー: 'letVariable'はすでに宣言されています
}

exampleRedeclare();
  • この例では、varVariable は再宣言され、letVariable は再宣言しようとするとエラーが発生します。
  • var は同じスコープ内で同じ名前の変数を再宣言できますが、let は再宣言できません。

例 3: デフォルト値

function exampleDefaultValue() {
  console.log(varVariable); // "undefined"を出力
  console.log(letVariable); // エラー: letVariableは初期化されていません

  var varVariable = "初期値";
  let letVariable = "初期値";

  console.log(varVariable); // "初期値"を出力
  console.log(letVariable); // "初期値"を出力
}

// exampleDefaultValue(); // エラー: varVariableは宣言されていません

    これらのサンプルコードを通して、varlet の違いをより深く理解し、適切な使い分けを身につけることができるでしょう。




    その他の JavaScript で var と let を使い分ける方法

    テンプレートリテラルを使用する場合、let を使用する方が一般的です。これは、let のブロックスコープにより、テンプレートリテラル内の変数がスコープ内に明確に保持されるためです。

    function exampleTemplateLiteral() {
      const name = "山田";
      const age = 30;
    
      // var を使用すると、age 変数がテンプレートリテラルの外で再宣言されると、予期しない結果になる可能性があります
      var message = `私の名前は ${name} で、年齢は ${age} 歳です。`;
      console.log(message); // "私の名前は 山田 で、年齢は 30 歳です。"
    
      // let を使用すると、age 変数がテンプレートリテラル内でのみ有効になり、安全に使用できます
      let message2 = `私の名前は ${name} で、年齢は ${age} 歳です。`;
      console.log(message2); // "私の名前は 山田 で、年齢は 30 歳です。"
    }
    
    exampleTemplateLiteral();
    
    function exampleForLoop() {
      for (var i = 0; i < 3; i++) {
        console.log(i); // 0, 1, 2を出力
      }
    
      console.log(i); // 3を出力 (予期しない動作)
    
      for (let j = 0; j < 3; j++) {
        console.log(j); // 0, 1, 2を出力
      }
    
      // console.log(j); // エラー: jは定義されていません
    }
    
    exampleForLoop();
    

    即時実行関数 (IIFE) 内で変数を宣言する場合、let を使用する方が一般的です。これは、let のブロックスコープにより、IIFE 内の変数がグローバルスコープに影響を与えないためです。

    (function() {
      var varVariable = "IIFE内の変数";
      console.log(varVariable); // "IIFE内の変数"を出力
    })();
    
    console.log(varVariable); // エラー: varVariableは定義されていません
    
    (function() {
      let letVariable = "IIFE内の変数";
      console.log(letVariable); // "IIFE内の変数"を出力
    })();
    
    console.log(letVariable); // エラー: letVariableは定義されていません
    

    上記のように、varlet にはそれぞれ異なる特性があり、状況に応じて使い分けることが重要です。近年では、ほとんどの場合 let を使用する方が一般的です。これは、let の方が安全で、コードの意図を明確に表現できるためです。

    これらのガイドラインを参考に、状況に応じて適切なキーワードを選択し、より読みやすく、保守しやすいコードを書くように心がけましょう。


    typescript


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