Angular 2 ルート遷移時のローディング表示
Angular 2 アプリケーションにおいて、ルート間の遷移時にローディング画面を表示することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。これにより、ページの読み込み中であることをユーザーに明確に示し、待機時間をよりスムーズに感じさせることができます。
実装手順
-
ローディングコンポーネントの作成
- 新しいコンポーネントを作成します。
- このコンポーネントのテンプレートには、ローディングインジケーター(例えば、スピナーやプログレスバー)を表示する HTML を記述します。
- CSS を使用して、ローディングインジケーターのスタイルを調整します。
-
ルーティングモジュールの設定
RouterModule
を使用して、アプリケーションのルートを定義します。- 各ルートに
resolve
ガードを追加します。このガードは、ルートに遷移する前に必要なデータを取得するための非同期処理を実行します。 resolve
ガードが完了するまで、ローディングコンポーネントを表示します。
-
Router
サービスを使用して、ルーティングイベントを購読します。NavigationStart
イベントが発生したときに、ローディングコンポーネントを表示します。NavigationEnd
、NavigationCancel
、またはNavigationError
イベントが発生したときに、ローディングコンポーネントを非表示にします。
コード例
ローディングコンポーネント (loading.component.ts)
import { Component } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'app-loading',
template: `
<div class="loading-container">
<div class="loading-spinner"></div>
</div>
`,
style s: [
`
.loading-container {
// ... ローディングコンテナのスタイル
}
.loading-spinner {
// ... ローディングスピナーのスタイル
}
`
]
})
export class LoadingComponent {}
ルートモジュール (app-routing.module.ts)
import { NgModule } from '@angular/core';
import { RouterModule, Routes, Resolve } from '@angular/router';
import { YourComponent } from './your.component';
import { YourResolver } from './your.resolver';
const routes: Routes = [
{
path: 'your-route',
component: YourComponent,
resolve: {
data: YourResolver
}
}
];
@NgModule({
imports: [RouterModule.forRoot(routes)],
exports: [RouterModule]
})
export class AppRoutingModule {}
ルートモジュール (app.component.ts)
import { Component } from '@angular/core';
import { Router, Event as RouterEvent, NavigationStart, NavigationEnd, NavigationCancel, NavigationError } from '@angular/router';
@Component({
selector: 'app-root',
templateUrl: './app.component.html',
styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
public showLoading = false;
constructor(private router: Router) {
this.router.events.subscribe((event: RouterEvent) => {
if (event instanceof NavigationStart) {
thi s.showLoading = true;
} else if (event instanceof NavigationEnd ||
event instanceof NavigationCancel ||
event instanceof NavigationError) {
this.showLoadi ng = false;
}
});
}
}
HTML テンプレート
<app-loading *ngIf="showLoading"></app-loading>
注意
- ルーティングイベントの購読とローディングコンポーネントの表示制御を適切に実装してください。
resolve
ガードを使用して非同期データの取得を管理することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。- ローディングインジケーターのデザインは、アプリケーションのスタイルに合わせてカスタマイズしてください。
コードの全体的な流れ
- ローディングコンポーネントの作成
- ローディング画面のデザインを定義するコンポーネントを作成します。
- HTML でローディングインジケーター(スピナーなど)を表示し、CSS でスタイリングします。
- ローディング状態の管理
Router
サービスのイベントを購読し、ルート遷移の開始・終了を検知します。- 遷移開始時にローディングを表示し、終了時に非表示にします。
コード解説
import { Component } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'app-loading',
template: `
<div class="loading-container">
<div class="loading-spinner"></div>
</div>
`,
style s: [
`
.loading-container {
// ローディングコンテナのスタイル
}
.loading-spinner {
// ローディングスピナーのスタイル
}
`
]
})
export class LoadingComponent {}
- styles
ローディング画面の CSS スタイルを定義します。 - template
ローディング画面の HTML 構造を定義します。 - selector
このコンポーネントを呼び出すためのセレクター名です。
import { NgModule } from '@angular/core';
import { RouterModule, Routes, Resolve } from '@angular/router';
import { YourComponent } from './your.component';
import { YourResolver } from './your.resolver';
const routes: Routes = [
{
path: 'your-route',
component: YourComponent,
resolve: {
data: YourResolver
}
}
];
@NgModule({
imports: [RouterModule.forRoot(routes)],
exports: [RouterModule]
})
export class AppRoutingModule {}
- resolve
ルートに遷移する前に実行されるリゾルバーを指定します。リゾルバーは、データのフェッチなどの非同期処理を行います。 - routes
アプリケーションのルートを配列で定義します。
import { Component } from '@angular/core';
import { Router, Event as RouterEvent, NavigationStart, NavigationEnd, NavigationCancel, NavigationError } from '@angular/rout er';
@Component({
selector: 'app-root',
templateUrl: './app.component.html',
styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
public showLoading = false;
constructor(private router: Router) {
this.router.events.subscribe((event: RouterEvent) => {
if (event instanceof NavigationStart) {
thi s.showLoading = true;
} else if (event instanceof NavigationEnd ||
event instanceof NavigationCancel ||
event instanceof NavigationError) {
this.showLoadi ng = false;
}
});
}
}
- NavigationEnd, NavigationCancel, NavigationError
遷移が終了、キャンセル、エラーになったときにshowLoading
をfalse
に設定し、ローディングを非表示にします。 - NavigationStart
ルート遷移が開始されたときにshowLoading
をtrue
に設定し、ローディングを表示します。 - router.events.subscribe
Router
のイベントを購読し、ルート遷移の状態を監視します。 - showLoading
ローディング状態を表すフラグです。
<app-loading *ngIf="showLoading"></app-loading>
*ngIf
ディレクティブを使用して、showLoading
がtrue
の場合にapp-loading
コンポーネントを表示します。
各コードの役割
- HTML テンプレート
ローディングコンポーネントを表示する場所を指定します。 - app.component.ts
ルート遷移の状態を監視し、ローディング表示の制御を行います。 - app-routing.module.ts
アプリケーションのルートを定義し、各ルートに遷移する際の処理を指定します。 - loading.component.ts
ローディング画面の見た目と構造を定義します。
ポイント
- *ngIf
条件に基づいて要素の表示/非表示を切り替えることができます。 - RouterEvent
NavigationStart
,NavigationEnd
などのイベントを購読することで、ルート遷移の状態を細かく制御できます。 - resolve
データのフェッチなどの非同期処理を行う際に使用します。resolve
が完了するまでローディング表示を続けることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
- Angular Material
Angular Material のプログレスバーやスピナーなどのコンポーネントを利用すると、簡単にローディング画面を実装できます。 - CSS
ローディングインジケーターのアニメーションやデザインをカスタマイズすることができます。
Angular Material の Progress Spinner
Angular Material は、Angular 用のUIコンポーネントを提供するライブラリです。Progress Spinner というコンポーネントは、ローディング状態を視覚的に表現するのに非常に便利です。
import { Component } from '@angular/core';
import { MatProgressSpinnerModule } from '@angular/material/progress-spinner';
// ...
@Component({
selector: 'app-loading',
templateUrl: './l oading.component.html',
styleUrls: ['./loading.component.css'],
standalone: true,
imports: [MatProgressSpinnerModule]
})
export class LoadingComp onent {}
<mat-progress-spinner mode="indeterminate"></mat-progress-spinner>
Angular Material を利用することで、少ないコードでスタイリッシュなローディング画面を作成できます。
RxJS を活用したアプローチ
RxJS を使用すると、非同期処理をより柔軟に扱うことができます。BehaviorSubject
を利用してローディング状態を管理し、switchMap
を使ってルート遷移時の非同期処理を制御することができます。
import { Component, OnInit } from '@angular/core';
import { BehaviorSubject } from 'rxjs';
import { switchMap } from 'rxjs/operators';
// ...
@Componen t({
// ...
})
export class AppComponent implements OnInit {
isLoading$ = new BehaviorSubject<boolean>(false);
constructor(private router: Router) {}
ngOnInit() {
this.router.events
.pipe(
switchMap(event => {
if (event instanceof NavigationStart) {
this.isLoading$.next(true);
// 非同期処理 (例: データのフェッチ)
return of(null).pipe(delay(1000)); // 1秒後に完了をシミュレート
} else if (event instanceof NavigationEnd ||
event instanceof NavigationCancel ||
event instanceof NavigationError) {
this.isLoading$.next(fa lse);
}
return of(null);
})
)
.subscribe();
}
}
この方法では、非同期処理の完了と同時にローディング状態を更新することができます。
カスタムサービスの作成
ローディング状態を管理する専用のサービスを作成し、他のコンポーネントから共有することで、コードの再利用性を高めることができます。
import { Injectable } from '@angular/core';
import { BehaviorSubject } from 'rxjs';
@Injectable({ providedIn: 'root' })
export class LoadingService {
private isLoad ingSource = new BehaviorSubject<boolean>(false);
isLoading$ = this.isLoadingSource.asObservab le();
show() {
this.isLoadingSource.next(true);
}
hide() {
this.isLoadingSource.next(false);
}
}
他のコンポーネントでは、このサービスをインジェクトして show()
メソッドと hide()
メソッドを呼び出すことで、ローディング状態を制御できます。
- Interceptors
HTTPリクエストのインターセプターを使用して、リクエストの開始と終了時にローディング状態を更新することができます。 - NgRx
NgRx を使用して、ローディング状態をグローバルな状態管理に組み込むことができます。
どの方法を選ぶべきか
- 大規模アプリケーション
NgRx は、大規模なアプリケーションで状態管理を統一したい場合に適しています。 - 再利用性
カスタムサービスは、複数のコンポーネントでローディング状態を共有したい場合に便利です。 - 柔軟性
RxJS は非同期処理を細かく制御したい場合に適しています。 - シンプルさ
Angular Material は手軽に実装できます。
これらの方法を組み合わせることで、より複雑なローディング表示を実現することも可能です。ご自身のアプリケーションの要件に合わせて最適な方法を選択してください。
- アクセシビリティ
視覚障がいのあるユーザーにも配慮し、スクリーンリーダーに対応したローディング表示を実装しましょう。 - パフォーマンス
過剰なローディング表示は、ユーザーエクスペリエンスを低下させる可能性があります。必要な場合にのみローディング表示を行うようにしましょう。
html css angular