【徹底解説】Angular2マルチプロバイダー:仕組み、ユースケース、サンプルコード
Angular2におけるマルチプロバイダーとは?
Angular2におけるマルチプロバイダーは、同じトークンに対して複数のプロバイダーを登録することを可能にする機能です。これにより、アプリケーションのモジュール間でサービスの依存関係を柔軟に管理することができます。
具体的な仕組み
マルチプロバイダーを使用するには、@Injectable()
デコレータに multi: true
オプションを指定する必要があります。このオプションを指定することで、Angularは、トークンに対して登録されたすべてのプロバイダーを配列として提供します。
以下のコード例は、LoggerService
というサービスをマルチプロバイダーとして登録する方法を示しています。
@Injectable({
providedIn: 'root',
multi: true
})
export class LoggerService {
// ...
}
ユースケース
マルチプロバイダーは、以下のユースケースで役立ちます。
- データアクセス
異なるデータソースからデータを取得したい場合 - 認証
異なる認証プロバイダーをサポートしたい場合 - ロギング
異なるコンポーネントで異なるロギングレベルを設定したい場合
例
以下のコード例は、LoggerService
と ConsoleLoggerService
という2つのロギングサービスをマルチプロバイダーとして登録し、コンポーネントでどのように使用できるかを示しています。
// logger.service.ts
@Injectable({
providedIn: 'root',
multi: true
})
export class LoggerService {
log(message: string) {
console.error(message);
}
}
@Injectable({
providedIn: 'root',
multi: true
})
export class ConsoleLoggerService {
log(message: string) {
console.log(message);
}
}
// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';
import { LoggerService } from './logger.service';
@Component({
selector: 'app-root',
template: `
<button (click)="log()">Log message</button>
`
})
export class AppComponent {
constructor(private logger: LoggerService) {}
log() {
this.logger.log('Hello from Angular2!');
}
}
このコードを実行すると、AppComponent
コンポーネントの log()
メソッドが呼び出されるたびに、ConsoleLoggerService
の log()
メソッドが呼び出されます。これは、ConsoleLoggerService
が LoggerService
トークンに対して登録された唯一のプロバイダーであるためです。
注意事項
マルチプロバイダーを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 依存関係注入 (DI) システムは、トークンに対して登録されたすべてのプロバイダーを配列として提供します。コンポーネントまたは他のサービスは、この配列を使用して、必要なプロバイダーを取得する必要があります。
- プロバイダーの順序は重要です。最初に登録されたプロバイダーが最初に使用されます。
- 同じトークンに対して登録されたプロバイダーは、すべて同じ型である必要があります。
import { Injectable } from '@angular/core';
@Injectable({
providedIn: 'root',
multi: true
})
export class LoggerService {
log(message: string) {
console.error(message);
}
}
@Injectable({
providedIn: 'root',
multi: true
})
export class ConsoleLoggerService {
log(message: string) {
console.log(message);
}
}
app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';
import { LoggerService } from './logger.service';
@Component({
selector: 'app-root',
template: `
<button (click)="log()">Log message</button>
`
})
export class AppComponent {
constructor(private logger: LoggerService) {}
log() {
this.logger.log('Hello from Angular2!');
}
}
app.module.ts
import { NgModule } from '@angular/core';
import { BrowserModule } from '@angular/platform-browser';
import { AppComponent } from './app.component';
import { LoggerService } from './logger.service';
import { ConsoleLoggerService } from './logger.service';
@NgModule({
declarations: [
AppComponent
],
imports: [
BrowserModule
],
providers: [
LoggerService,
ConsoleLoggerService
],
bootstrap: [AppComponent]
})
export class AppModule { }
説明
providers
配列には、LoggerService
とConsoleLoggerService
サービスが登録されています。AppModule
モジュールは、AppComponent
コンポーネントと、LoggerService
とConsoleLoggerService
サービスを宣言します。app.module.ts
ファイルには、AppModule
モジュールが定義されています。log()
メソッドは、logger
プロパティを使用して、Hello from Angular2!
というメッセージをログに出力します。AppComponent
コンポーネントには、log()
メソッドが定義されています。app.component.ts
ファイルには、AppComponent
コンポーネントが定義されています。ConsoleLoggerService
は、メッセージをコンソールに出力するシンプルなロギングサービスです。
実行方法
このコードを実行するには、以下の手順を実行します。
- Angular CLI を使用して、新しい Angular プロジェクトを作成します。
- 上記のコードを
src/app
ディレクトリ内の対応するファイルにコピーします。 ng serve
コマンドを実行して、アプリケーションを実行します。
マルチプロバイダーの代替方法
ファクトリープロバイダー
ファクトリープロバイダーを使用すると、依存関係のインスタンスを生成する方法をより細かく制御することができます。これは、依存関係の生成にロジックが必要な場合に役立ちます。
以下のコード例は、ファクトリープロバイダーを使用して LoggerService
サービスを登録する方法を示しています。
@Injectable({
providedIn: 'root'
})
export class AppModule {
constructor(private injector: Injector) {}
provideLogger(): LoggerService {
if (this.isProduction()) {
return new ConsoleLoggerService();
} else {
return new LoggerService();
}
}
}
このコードでは、provideLogger()
ファクトリーメソッドが定義されています。このメソッドは、実行環境に応じて、LoggerService
または ConsoleLoggerService
の新しいインスタンスを返します。
AppModule
コンポーネントのコンストラクタで、provideLogger()
メソッドを使用して logger
プロパティを初期化します。
constructor(private logger: LoggerService) {}
カスタムプロバイダー
カスタムプロバイダーを使用すると、独自の依存関係解決ロジックを実装することができます。これは、複雑な依存関係グラフを持つアプリケーションの場合に役立ちます。
import { Injectable } from '@angular/core';
@Injectable()
export class LoggerServiceProvider implements Provider {
provide(): any {
if (this.isProduction()) {
return new ConsoleLoggerService();
} else {
return new LoggerService();
}
}
}
このコードでは、LoggerServiceProvider
というカスタムプロバイダーが定義されています。このプロバイダーは、provide()
メソッドを実装しており、実行環境に応じて、LoggerService
または ConsoleLoggerService
の新しいインスタンスを返します。
AppModule
コンポーネントの providers
配列に、LoggerServiceProvider
プロバイダーを登録します。
providers: [
LoggerServiceProvider
]
第三者製のライブラリ
Angular には、依存関係の管理を容易にするために使用できる、いくつかの第三者製のライブラリがあります。
これらのライブラリは、より高度な機能と、複雑なアプリケーションでの依存関係管理を容易にするツールを提供します。
angular angular2-directives angular2-services