@types/package で型定義をインストールする方法
TypeScript における @types/package でインストールされた誤った型定義のオーバーライド方法
独自型定義ファイルの作成・修正方法
-
対象となる型定義ファイルを特定する:
- 誤っている型定義がインストールされているライブラリパッケージを特定します。
- 通常、型定義ファイルは
node_modules/@types/<package-name>/
ディレクトリに配置されます。
-
- 既存の型定義ファイルをコピーするか、新規ファイルを作成します。
- 必要に応じて、インターフェース、型エイリアス、関数シグネチャなどを修正・追加します。
- 型定義ファイルの書き方に誤りがないことを確認するために、
tsc
コマンドでコンパイルを行います。
-
独自型定義ファイルをプロジェクトに含める:
- 作成・修正した型定義ファイルをプロジェクトの
typings/
ディレクトリに配置します。 typings/
ディレクトリが存在しない場合は、新規に作成する必要があります。tsconfig.json
ファイルのinclude
プロパティに、独自型定義ファイルへのパスを追加します。
- 作成・修正した型定義ファイルをプロジェクトの
具体的な例
以下は、@types/jquery
パッケージでインストールされた jQuery の型定義を修正する例です。
node_modules/@types/jquery/index.d.ts
ファイルをコピーして、プロジェクトのtypings/jquery.d.ts
に保存します。jquery.d.ts
ファイルを開き、修正が必要な型定義を特定します。- 例として、
jQuery.ajax
関数の型定義が誤っている場合、修正後のコードは以下のようになります。
interface JQueryAjaxSettings<TData = any, TStatus = any, TError = any> {
// ...省略
success?: (data: TData, textStatus: JQuery textStatus, jqXHR: JQueryXHR<TData>) => void;
error?: (jqXHR: JQueryXHR<any>, textStatus: JQuery textStatus, errorThrown: string) => void;
}
function ajax<TData = any, TStatus = any, TError = any>(settings: JQueryAjaxSettings<TData, TStatus, TError>): JQueryXHR<TData>;
tsconfig.json
ファイルのinclude
プロパティに、typings/jquery.d.ts
へのパスを追加します。
{
"compilerOptions": {
// ...省略
"include": [
"typings/jquery.d.ts"
]
}
}
- プロジェクトをコンパイルすると、
@types/jquery
パッケージでインストールされた誤った型定義ではなく、独自に作成・修正した型定義が使用されます。
注意事項
- 独自型定義ファイルは、プロジェクト内にのみ有効です。他の開発者と共有したい場合は、DefinitelyTyped リポジトリに pull request を送信することを検討してください。
- 独自型定義ファイルを作成・修正する前に、ライブラリの公式ドキュメントを確認し、最新の情報に基づいて行うようにしてください。
// typings/jquery.d.ts
interface JQueryAjaxSettings<TData = any, TStatus = any, TError = any> {
// ...省略
success?: (data: TData, textStatus: JQuery textStatus, jqXHR: JQueryXHR<TData>) => void;
error?: (jqXHR: JQueryXHR<any>, textStatus: JQuery textStatus, errorThrown: string) => void;
}
function ajax<TData = any, TStatus = any, TError = any>(settings: JQueryAjaxSettings<TData, TStatus, TError>): JQueryXHR<TData>;
tsconfig.json ファイルの編集
{
"compilerOptions": {
// ...省略
"include": [
"typings/jquery.d.ts"
]
}
}
import * as $ from 'jquery';
$(document).ready(function() {
$.ajax({
url: '/data.json',
success: function(data) {
console.log(data);
},
error: function(jqXHR, textStatus, errorThrown) {
console.error('エラーが発生しました:', textStatus, errorThrown);
}
});
});
説明
typings/jquery.d.ts
ファイルに、jQuery.ajax
関数の修正された型定義を記述します。
- これにより、@types/package でインストールされた型定義よりも詳細な型情報を提供することができます。
- 型パラメーターを使用して、関数の引数や戻り値の型をより具体的に制約することができます。
function ajax<T extends object>(url: string, settings?: JQueryAjaxSettings<T>): JQueryXHR<T> {
// ...
}
型エイリアスを使用する
- 型エイリアスを使用して、型定義の一部を修正したり、新しいプロパティを追加したりすることができます。
- 既存の型を基に、新しい型エイリアスを定義することができます。
type MyJQueryAjaxSettings<TData = any> = JQueryAjaxSettings<TData> & {
customSuccess?: (data: TData) => void;
};
function ajax<TData = any>(url: string, settings?: MyJQueryAjaxSettings<TData>): JQueryXHR<TData> {
// ...
if (settings?.customSuccess) {
settings.success = function(data) {
settings.customSuccess(data);
};
}
// ...
}
ダウンキャストを使用する
- ただし、ダウンキャストは安全ではない場合があるため、注意して使用する必要があります。
- 特定の型にダウンキャストすることで、より具体的な型情報を取得することができます。
const xhr: JQueryXHR<any> = $.ajax({
url: '/data.json',
success: function(data) {
const jsonData: MyData = data as MyData; // ダウンキャスト
console.log(jsonData.property1, jsonData.property2);
},
// ...
});
型アサーションを使用する
- 型アサーションは、ダウンキャストよりも安全ですが、コンパイラが型の整合性を検証できない場合があります。
- 型アサーションを使用して、変数に特定の型を割り当てることができます。
const xhr: JQueryXHR<MyData> = $.ajax({
url: '/data.json',
success: function(data) {
const jsonData: MyData = <MyData>data; // 型アサーション
console.log(jsonData.property1, jsonData.property2);
},
// ...
});
- 複雑な型定義を修正する場合は、独自型定義ファイルを作成する方法が最も適切な場合があります。
- 上記のアプローチは、状況に応じて使い分ける必要があります。
typescript