ステートレスコンポーネントへの ref の渡し方
React では、通常、ref は状態を持つクラスコンポーネントにアタッチされます。しかし、関数型コンポーネント(ステートレスコンポーネント)にも ref をアタッチする方法はあります。
方法 1: Callback Ref
-
useRef Hook
import { useRef, useCallback } from 'react'; function MyStatelessComponent(props) { const ref = useRef(null); const handleRef = useCallback((node) => { ref.current = node; }, []); return <div ref={handleRef}>{/* ... */}</div>; }
-
親コンポーネントでのアクセス
function ParentComponent() { const myRef = useRef(null); return ( <div> <MyStatelessComponent ref={myRef} /> {/* Access the DOM node: myRef.current */} </div> ); }
方法 2: ForwardRef
-
ForwardRef を使用したコンポーネントの定義
const MyForwardRefComponent = React.forwardRef((props, ref) => { return <div ref={ref}>{/* ... */}</div>; });
注意
- 可能であれば、状態やプロップの管理を通じて、ref の使用を最小限に抑えることを目指しましょう。
- ref は、フォームのフォーカス制御、アニメーションのトリガー、サードパーティライブラリとの統合など、特定のシナリオで有用です。
- ref は DOM ノードや React 要素への参照を取得するためのものです。不必要な場合は使用を避けてください。
ステートレスコンポーネントへの ref のアタッチメント:コード解説
なぜ ref をステートレスコンポーネントにアタッチしたいのか?
通常、ref は状態を持つクラスコンポーネントにアタッチして、DOM ノードへの直接的なアクセスを得ることが多いです。しかし、関数型コンポーネント(ステートレスコンポーネント)にも ref をアタッチしたいケースがあります。例えば、
- サードパーティライブラリと連携したい
- アニメーションをトリガーしたい
- フォーカスを制御したい
といった場合です。
具体的な方法
方法 1: Callback Ref (useRef Hook)
import { useRef, useCallback } from 'react';
function MyStatelessComponent(props) {
const ref = useRef(null);
// useCallback を使って、ref の値を更新する関数をメモ化
const handleRef = useCallback((node) => {
ref.current = node;
}, []);
return <div ref={handleRef}>{/* ... */}</div>;
}
- useCallback
handleRef
関数をメモ化することで、不必要な再レンダリングを防ぎ、パフォーマンスを向上させます。 - callbackRef
ref
プロパティに直接渡すのではなく、関数を渡します。この関数に、レンダリングされた DOM ノードが渡されます。 - useRef Hook
ref を作成します。current
プロパティに、ref が指す DOM ノードが格納されます。
<!-- end list -->
function ParentComponent() {
const myRef = useRef(null);
return (
<div>
<MyStatelessComponent ref={myRef} />
{/* myRef.current で DOM ノードにアクセス */}
</div>
);
}
const MyForwardRefComponent = React.forwardRef((props, ref) => {
return <div ref={ref}>{/* ... */}</div>;
});
- props, ref
コンポーネントに渡される props と、外部から渡される ref を受け取ります。 - forwardRef
関数型コンポーネントに ref を渡すための高階関数です。
function ParentComponent() {
const myRef = useRef(null);
return (
<div>
<MyForwardRefComponent ref={myRef} />
{/* myRef.current で DOM ノードにアクセス */}
</div>
);
}
どちらの方法を選ぶべきか?
- 複雑なコンポーネントで、再利用性が高い
ForwardRef - シンプルで、DOM ノードへのアクセスが目的
useCallback Ref
注意点
- ref は、状態管理の代替ではありません。状態を管理したい場合は、useState や useReducer を使用してください。
- ref は、DOM ノードへの直接的なアクセスを提供するため、誤った使い方をすると、意図しない副作用を引き起こす可能性があります。
- ref は、React の宣言的なスタイルからは少し外れる概念です。過度な使用は避けるべきです。
ステートレスコンポーネントに ref をアタッチすることで、DOM ノードへの直接的なアクセスが可能になります。callback Ref と ForwardRef のどちらを使うかは、状況に応じて判断しましょう。
- カスタムフック: useRef と useCallback を組み合わせたカスタムフックを作成することで、コードの再利用性を高めることができます。
- TypeScript での型定義:
のように、interface MyRefObject { current: HTMLDivElement | null; }
ref.current
の型を定義することで、より安全なコードを書くことができます。
カスタムフックによる抽象化
- 例
- メリット
- ref のロジックを再利用可能にする
- コードの可読性を向上させる
import { useRef, useCallback } from 'react';
function useMyRef() {
const ref = useRef(null);
const setRef = useCallback((node) => {
ref.current = node;
}, []);
return [ref, setRef];
}
function MyComponent() {
const [myRef, setMyRef] = useMyRef();
return <div ref={setMyRef}>{/* ... */}</div>;
}
- 解説
- カスタムフック
useMyRef
で ref の作成と更新のロジックをカプセル化します。
- 他のコンポーネントでも
useMyRef
を呼び出すことで、同じ ref のロジックを共有できます。
- カスタムフック
Context API を利用した ref の共有
- メリット
- 深くネストされたコンポーネント間で ref を共有できる
- グローバルな状態管理に似た形で ref を管理できる
import { createContext, useContext, useRef } from 'react';
const MyRefContext = createContext(null);
function MyComponent() {
const myRef = useRef(null);
return (
<MyRefContext.Provider value={myRef}>
{/* ... */}
</MyRefContext.Provider>
);
}
function ChildComponent() {
const myRef = useContext(MyRefContext);
return <div ref={myRef}>{/* ... */}</div>;
}
- 解説
MyRefContext
という Context を作成し、ref をその値として共有します。- 子コンポーネントで
useContext
を使って ref にアクセスします。
レンダープロップ (Render Props)
- メリット
- 柔軟なコンポーネントの構成が可能
- 高度なカスタマイズに適している
function MyInputWithRef({ render }) {
const ref = useRef(null);
return render({ ref });
}
function MyComponent() {
return (
<MyInputWithRef
render={({ ref }) => <input ref={ref} />}
/>
);
}
- 解説
MyInputWithRef
コンポーネントが ref を持ち、render
プロップを通じて子コンポーネントに ref を渡します。- 子コンポーネントは、
render
プロップで受け取ったref
を自由に利用できます。
- 高度なカスタマイズが必要で、柔軟な構成をしたい
render props - 深い階層で ref を共有したい
Context API - 再利用性と可読性を高めたい
カスタムフック - シンプルで、コンポーネント内で完結する
callback ref
選択のポイント
- 柔軟性
render props は、非常に柔軟なコンポーネントの構成を可能にします。 - 共有範囲
Context API は、グローバルな状態のように ref を共有したい場合に適しています。 - 再利用性
カスタムフックは、ref のロジックを再利用したい場合に便利です。 - コードの複雑さ
カスタムフックや Context API は、コードの複雑さを増す可能性があります。
ステートレスコンポーネントに ref をアタッチする方法には、様々な選択肢があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
- TypeScript
TypeScript を使用することで、ref の型を安全に定義できます。 - React Hooks
useRef
以外にも、useImperativeHandle
など、ref に関連する Hook があります。
reactjs typescript jsx