Angular変更検出メソッド解説
AngularにおけるmarkForCheck()
とdetectChanges()
の違い
Angularのコンポーネントの変更検出メカニズムにおいて、markForCheck()
とdetectChanges()
は、変更を検出してレンダリングをトリガーするための重要なメソッドです。
markForCheck()
- 例
import { Component, ChangeDetectorRef } from '@angular/core'; @Component({ selector: 'my-component', template: ` <p>{{ value }}</p> ` }) export class MyComponent { value: number = 0; constructor(private changeDetectorRef: ChangeDetectorRef) {} updateValue() { this.value++; this.changeDetectorRef.markForCheck(); } }
- 副作用
コンポーネントとその子コンポーネントが次の変更検出サイクルでチェックされるようになります。 - タイミング
通常、コンポーネントのロジック内で、変更が発生した後に呼び出されます。 - 機能
コンポーネントとその子コンポーネントを変更検出サイクルに登録します。
detectChanges()
- 副作用
コンポーネントとその子コンポーネントが即座にレンダリングされます。 - タイミング
一般的に、コンポーネントのロジック内で、変更が発生した後に、すぐにレンダリングが必要な場合に呼び出されます。 - 機能
コンポーネントとその子コンポーネントに対して、即座に変更検出を実行し、レンダリングをトリガーします。
detectChanges()
は、即座に変更検出を実行し、レンダリングをトリガーします。markForCheck()
は、変更を検出サイクルに登録し、次の変更検出サイクルでレンダリングをトリガーします。
import { Component, ChangeDetectorRef } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'my-component',
template: `
<p>{{ value }}</p>
`
})
export class MyComponent {
value: number = 0;
constructor(private changeDetectorRef: ChangeDetectorRef) {}
updateValue() {
this.value++;
this.changeDetectorRef.markForCheck();
}
}
- 説明
updateValue()
メソッド内で、value
プロパティの値をインクリメントします。markForCheck()
メソッドを呼び出すことで、コンポーネントとその子コンポーネントを次の変更検出サイクルに登録します。- 次の変更検出サイクルで、
value
プロパティの変更が検出され、テンプレートが更新されます。
import { Component, ChangeDetectorRef } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'my-component',
template: `
<p>{{ value }}</p>
`
})
export class MyComponent {
value: number = 0;
constructor(private changeDetectorRef: ChangeDetectorRef) {}
updateValue() {
this.value++;
this.changeDetectorRef.detectChanges();
}
}
- 説明
detectChanges()
メソッドを呼び出すことで、コンポーネントとその子コンポーネントに対して、即座に変更検出を実行し、テンプレートを更新します。
OnPush 変更検出戦略
- 注意点
コンポーネント内部で直接DOMを操作する場合や、外部のライブラリを使用する場合など、OnPush戦略がうまく機能しないケースもあります。 - メリット
不要な変更検出を減らし、パフォーマンスを向上させることができます。
@Component({
selector: 'my-component',
template: `
<p>{{ value }}</p>
`,
changeDetection: ChangeDetectionStrategy.OnPush
})
export class MyComponent {
// ...
}
AsyncPipe
- 注意点
複雑なロジックには適さない場合があります。 - メリット
ObservableやPromiseから得られるデータを簡単にバインドできます。
<p>{{ myObservable$ | async }}</p>
Immutability Helpers
- 注意点
既存のコードとの整合性を考慮する必要があります。 - メリット
変更検出のオーバーヘッドを減らすことができます。
import { ImmutableArray } from '@angular/core';
const originalArray = [1, 2, 3];
const newArray = [...originalArray, 4]; // 新しい配列を作成
ViewChild/ContentChild
- 注意点
過度に使用すると、コンポーネント間の結合度が高くなってしまいます。 - メリット
親コンポーネントから子コンポーネントの状態を制御できます。
@ViewChild('myChild') myChild: MyChildComponent;
NgZone
- 注意点
誤った使い方をすると、パフォーマンス問題を引き起こす可能性があります。 - メリット
Angularの外側のコードから変更検出をトリガーできます。
import { NgZone } from '@angular/core';
constructor(private ngZone: NgZone) {}
runOutsideAngular(() => {
// Angularの変更検出ゾーンの外で実行
});
カスタム変更検出戦略
- 注意点
実装が複雑になる可能性があります。 - メリット
特殊なケースに対応した変更検出戦略を構築できます。
パフォーマンスチューニング
- 具体例
*ngIf
や*ngFor
ディレクティブの最適化- OnPush戦略の活用
- PurePipeの使用
- ChangeDetectionStrategy.OnPushとの組み合わせ
Angularの変更検出は、アプリケーションのパフォーマンスに大きく影響するため、適切な方法を選択することが重要です。上記の方法は、状況に応じて使い分けることで、より効率的な変更検出を実現することができます。
選択のポイント
- 複雑さ
カスタム変更検出戦略は、複雑なロジックに対応する場合に有効ですが、実装難易度が高いです。 - パフォーマンス
OnPush戦略やパフォーマンスチューニングは、パフォーマンスを重視する場合に有効です。 - 変更の頻度
頻繁に変更されるデータには、AsyncPipeやImmutability Helpersが有効です。
- プロジェクトの規模
プロジェクトの規模や複雑さによって、最適な方法が異なります。 - Angularのバージョン
Angularのバージョンによって、変更検出の挙動が異なる場合があります。
注意
markForCheck()
は、OnPush戦略を使用している場合に有効ですが、誤った使い方をすると無限ループに陥る可能性があります。detectChanges()
は、頻繁に呼び出すとパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。
angular angular2-changedetection