オプション「target」と「lib」の詳細解説:TypeScript コンパイラをマスターするための必須知識

2024-04-12

TypeScriptコンパイラオプション「target」と「lib」の詳細解説

TypeScriptでプロジェクトを構築する場合、コンパイラオプション「target」と「lib」を適切に設定することが重要です。これらのオプションは、生成されるJavaScriptコードのバージョンと、利用可能なライブラリAPIを制御します。

「target」オプションは、生成されるJavaScriptコードのバージョンを指定します。利用可能なオプションは以下の通りです。

  • es3
  • es6 (デフォルト)
  • esnext

「lib」オプションは、TypeScriptコードで使用できるライブラリAPIを指定します。利用可能なオプションは以下の通りです。

  • dom (DOM API)
  • webworker (Web Worker API)
  • scripthost (Script Host API)
  • es5 (ES5標準ライブラリ)

「target」と「lib」の使い分け

一般的に、「target」と「lib」は一緒に設定されます。例えば、ES6コードをES5ブラウザで実行する場合、以下の設定になります。

{
  "compilerOptions": {
    "target": "es5",
    "lib": ["es5", "dom"]
  }
}

この設定では、TypeScriptコンパイラはES5コードを生成し、DOM APIとES5標準ライブラリを利用できるようにします。

「lib」オプションのみの設定

場合によっては、「lib」オプションのみを設定することもできます。例えば、ES6コードをES5ブラウザで実行する場合、以下の設定になります。

{
  "compilerOptions": {
    "target": "es6",
    "lib": ["es5", "dom", "es6.promise"]
  }
}

この設定では、TypeScriptコンパイラはES6コードを生成しますが、Promise APIはES5ブラウザで利用できないため、Promise polyfillを追加する必要があります。

「target」と「lib」オプションは、TypeScriptコンパイラで生成されるJavaScriptコードと、利用可能なライブラリAPIを制御する重要なオプションです。これらのオプションを適切に設定することで、プロジェクトを効率的に開発することができます。

補足

  • TypeScriptは、JavaScriptを静的に型付けする言語です。
  • TypeScriptコンパイラは、TypeScriptコードをJavaScriptコードに変換します。
  • JavaScriptコードは、WebブラウザやNode.jsなどの実行環境で実行できます。



TypeScript コンパイラオプション「target」と「lib」のサンプルコード

例 1: ES6 コードを ES5 ブラウザで実行する

// tsconfig.json
{
  "compilerOptions": {
    "target": "es5",
    "lib": ["es5", "dom"]
  }
}

// index.ts
function greet(name: string): string {
  return `Hello, ${name}!`;
}

console.log(greet('TypeScript'));

この例では、tsconfig.json ファイルで「target」オプションを es5 に、「lib」オプションを ["es5", "dom"] に設定しています。これにより、TypeScript コンパイラは ES5 コードを生成し、DOM API と ES5 標準ライブラリを利用できるようにします。

例 2: ES7 コードを Promise polyfill とともに実行する

// tsconfig.json
{
  "compilerOptions": {
    "target": "es6",
    "lib": ["es5", "dom", "es6.promise"]
  }
}

// index.ts
async function main() {
  const response = await fetch('https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1');
  const data = await response.json();
  console.log(data);
}

main();

例 3: 最新の ES 機能を利用する

// tsconfig.json
{
  "compilerOptions": {
    "target": "esnext",
    "lib": ["dom"]
  }
}

// index.ts
const asyncFunction = async () => {
  const response = await fetch('https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1');
  const data = await response.json();
  console.log(data);
};

asyncFunction();

これらの例は、TypeScript コンパイラオプション「target」と「lib」の使用方法を理解するための出発点として役立ちます。具体的なプロジェクトのニーズに合わせて、これらのオプションを調整する必要があります。




Targetとlib以外の代替方法

Polyfillは、古いブラウザで新しいJavaScript機能をエミュレートするために使用できるコードです。Promise polyfillのように、特定のライブラリ機能のみをエミュレートするpolyfillもあります。

Babelを使用する

Babelは、JavaScriptコードを古いブラウザと互換性のあるコードに変換できるトランスパイラです。Babelは、targetオプションと同様に、生成されるコードのバージョンを指定できます。

TypeScriptコンパイラオプションmoduleを使用する

moduleオプションは、TypeScriptコードを生成するモジュール形式を指定します。es6commonjsなどのオプションが利用可能です。

esModuleInteropオプションは、ES modulesとCommonJS modulesの相互運用を可能にします。

skipLibCheckオプションは、TypeScriptコンパイラがライブラリAPIの使用をチェックしないように指示します。これは、ライブラリのバージョンが設定されたlibオプションと互換性がない場合に役立ちます。

それぞれの方法の利点と欠点

方法利点欠点
Polyfill特定の機能のみをエミュレートできるコードが冗長になる可能性がある
Babel柔軟性が高く、多くの機能をトランスパイルできる設定が複雑になる可能性がある
moduleオプションコードをモジュールとして効率的にバンドルできる古いブラウザではサポートされていないモジュール形式がある場合がある
esModuleInteropES modulesとCommonJS modulesを簡単に相互運用できる設定が複雑になる可能性がある
skipLibCheckエラーを回避できるライブラリとの互換性の問題を見逃す可能性がある

targetlibオプションは、TypeScriptプロジェクトでライブラリとコードの互換性を管理するための一般的な方法ですが、他の方法も状況に応じて検討する必要があります。それぞれの方法の利点と欠点を理解し、プロジェクトのニーズに合った方法を選択することが重要です。


typescript


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