TypeScript で型システムを強化するスマートな方法: 相互排他的型で実現する堅牢なコード

2024-07-27

TypeScript における相互排他的型

この機能は、型システムの厳格性を高め、コードの明確性と信頼性を向上させるために役立ちます。

相互排他的型の構文

相互排他的型の構文は以下の通りです。

type MyType = Type1 | Type2 | ... | TypeN;

ここで、Type1, Type2, ..., TypeN は、相互排他的型を構成する型候補を表します。

以下に、相互排他的型の具体的な例を示します。

type Shape = Circle | Rectangle | Triangle;

function getArea(shape: Shape): number {
  switch (shape) {
    case "circle":
      return Math.PI * shape.radius * shape.radius;
    case "rectangle":
      return shape.width * shape.height;
    case "triangle":
      return (shape.base * shape.height) / 2;
    default:
      throw new Error("Invalid shape type");
  }
}

この例では、Shape 型は、Circle, Rectangle, Triangle のいずれかの型であることを意味します。getArea 関数は、shape 引数を受け取り、その形状に基づいて面積を計算します。shapeCircle, Rectangle, Triangle 以外の型である場合、エラーがスローされます。

  • コンパイラによるエラーチェックを強化する: コンパイラは、相互排他的型の違反を検出して、開発者に警告することができます。
  • コードの明確性と信頼性を向上させる: コードの意図を明確に伝え、実行時のエラーを減らします。
  • 型システムの厳格性を高める: ある変数に対して、矛盾する型を割り当てることを防ぎます。
  • 複雑な型定義になる場合がある: 多くの型候補を扱う場合、型定義が複雑になり、可読性が低下する可能性があります。
  • すべての型候補を網羅する必要がある: すべての潜在的な型候補を網羅しないと、コンパイルエラーが発生する可能性があります。

相互排他的型は、TypeScript における強力な型システム機能です。この機能を活用することで、コードの型安全性と信頼性を向上させることができます。




type FileType = "image" | "video" | "document";

function getFileSize(file: FileType, size: number): string {
  switch (file) {
    case "image":
      return `${size}KB (Image file)`;
    case "video":
      return `${size}MB (Video file)`;
    case "document":
      return `${size}KB (Document file)`;
    default:
      throw new Error("Invalid file type");
  }
}

const imageFile: FileType = "image";
const imageSize = 1024;
console.log(getFileSize(imageFile, imageSize)); // Output: 1024KB (Image file)

const videoFile: FileType = "video";
const videoSize = 51200;
console.log(getFileSize(videoFile, videoSize)); // Output: 50MB (Video file)

const documentFile: FileType = "document";
const documentSize = 4096;
console.log(getFileSize(documentFile, documentSize)); // Output: 4096KB (Document file)

この例では、FileType 型は、image, video, document のいずれかのファイルの種類を表します。getFileSize 関数は、ファイルの種類とサイズを受け取り、ファイルサイズの情報を返します。

例 2: 値の範囲を表現する型

type TemperatureRange = "cold" | [number, number]; // 温度範囲を表現

function adjustTemperature(temperature: TemperatureRange, adjustment: number): TemperatureRange {
  if (typeof temperature === "string") {
    return temperature; // 温度範囲が文字列の場合はそのまま返す
  } else {
    const [lower, upper] = temperature;
    const newLower = Math.max(lower + adjustment, 0);
    const newUpper = Math.min(upper + adjustment, 100);
    return [newLower, newUpper]; // 温度範囲を調整して返す
  }
}

const coldTemperature: TemperatureRange = "cold";
console.log(adjustTemperature(coldTemperature, 10)); // Output: cold (温度範囲が文字列の場合はそのまま返す)

const moderateTemperature: TemperatureRange = [20, 25];
console.log(adjustTemperature(moderateTemperature, 5)); // Output: [25, 30] (温度範囲を調整して返す)

この例では、TemperatureRange 型は、cold という文字列または、下限と上限の温度値の配列のいずれかを表します。adjustTemperature 関数は、温度範囲と調整値を受け取り、調整された温度範囲を返します。

例 3: ユーザーの状態を表現する型

type UserState = "active" | "inactive" | "suspended";

function handleUserState(state: UserState): void {
  switch (state) {
    case "active":
      console.log("User is active");
      break;
    case "inactive":
      console.log("User is inactive");
      break;
    case "suspended":
      console.log("User is suspended");
      break;
    default:
      throw new Error("Invalid user state");
  }
}

const activeUser: UserState = "active";
handleUserState(activeUser); // Output: User is active

const inactiveUser: UserState = "inactive";
handleUserState(inactiveUser); // Output: User is inactive

const suspendedUser: UserState = "suspended";
handleUserState(suspendedUser); // Output: User is suspended

この例では、UserState 型は、active, inactive, suspended のいずれかのユーザーの状態を表します。handleUserState 関数は、ユーザーの状態を受け取り、その状態に応じて処理を行います。




discriminated unions と型ガード

discriminated unionstype guards を組み合わせることで、相互排他的型の機能をある程度再現することができます。

type FileType = {
  type: "image" | "video" | "document";
  size: number;
};

function getFileSize(file: FileType): string {
  if (file.type === "image") {
    return `${file.size}KB (Image file)`;
  } else if (file.type === "video") {
    return `${file.size}MB (Video file)`;
  } else if (file.type === "document") {
    return `${file.size}KB (Document file)`;
  } else {
    throw new Error("Invalid file type");
  }
}

const imageFile: FileType = { type: "image", size: 1024 };
console.log(getFileSize(imageFile)); // Output: 1024KB (Image file)

const videoFile: FileType = { type: "video", size: 51200 };
console.log(getFileSize(videoFile)); // Output: 50MB (Video file)

const documentFile: FileType = { type: "document", size: 4096 };
console.log(getFileSize(documentFile)); // Output: 4096KB (Document file)

この例では、FileType 型は、type プロパティと size プロパティを持つオブジェクトとして定義されています。getFileSize 関数は、file オブジェクトを受け取り、その type プロパティに基づいてファイルサイズの情報を返します。

この方法は、相互排他的型よりも柔軟性がありますが、type guards を適切に使用しないと、型エラーが発生する可能性があります。

カスタム型ガード

より複雑なロジックが必要な場合は、カスタムの型ガードを作成することができます。

例:有効な年齢範囲を表現する型

type AgeRange = {
  type: "adult" | "child";
  minAge: number;
  maxAge: number;
};

function isValidAge(age: number, ageRange: AgeRange): boolean {
  if (ageRange.type === "adult") {
    return age >= ageRange.minAge && age <= ageRange.maxAge;
  } else if (ageRange.type === "child") {
    return age >= 0 && age < ageRange.maxAge;
  } else {
    return false;
  }
}

const adultAgeRange: AgeRange = { type: "adult", minAge: 18, maxAge: 100 };
console.log(isValidAge(25, adultAgeRange)); // Output: true

const childAgeRange: AgeRange = { type: "child", maxAge: 12 };
console.log(isValidAge(10, childAgeRange)); // Output: true

console.log(isValidAge(150, adultAgeRange)); // Output: false
console.log(isValidAge(-1, childAgeRange)); // Output: false

この例では、AgeRange 型は、type プロパティ、minAge プロパティ、maxAge プロパティを持つオブジェクトとして定義されています。isValidAge 関数は、年齢と年齢範囲を受け取り、その年齢がその範囲内に収まるかどうかを判定します。

この方法は、複雑なロジックをカプセル化できるという利点がありますが、コードが煩雑になる可能性があります。

相互排他的型は、TypeScript における強力な型システム機能ですが、状況によっては、他の方法で同様の効果を実現することもできます。


typescript



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