Angular2でモジュール設計をマスター:CoreModuleとSharedModuleを使いこなすためのチュートリアル

2024-04-29

Angular2におけるCoreModuleとSharedModuleは、モジュール設計において重要な役割を果たす概念です。それぞれ異なる目的を持ち、適切な使い分けがアプリケーションの構造性と保守性を高めます。本記事では、CoreModuleとSharedModuleの詳細な違いを解説し、それぞれの役割と使い分けについて分かりやすく説明します。

CoreModuleは、アプリケーション全体で共有されるサービスを登録するモジュールです。主に以下の役割を担います。

  • シングルトンサービスの提供: アプリケーション全体で唯一のインスタンスとして使用されるサービスを登録します。例えば、認証サービスやロギングサービスなどが該当します。
  • 依存関係の定義: アプリケーション全体で必要な依存関係を定義します。これにより、各コンポーネントやサービスが必要なリソースを容易に取得できます。
  • ブートストラップ処理: アプリケーション起動時に実行されるブートストラップ処理を定義します。ルーティングやインターセプターの設定などが含まれます。

CoreModuleは通常、アプリケーションのルートモジュールであるAppModuleにのみインポートされます。これは、CoreModule内のサービスがアプリケーション全体で共有されるためです。

SharedModule:共通コンポーネントとディレクティブの共有

  • 共通コンポーネントの提供: ボタン、ヘッダー、フッターなどの共通コンポーネントを登録します。これらのコンポーネントは、アプリケーション内の様々なモジュールで再利用できます。
  • 共通ディレクティブの提供: 日付書式化、入力検証などの共通ディレクティブを登録します。これらのディレクティブは、コンポーネントのテンプレートで再利用できます。
  • スタイルの共有: アプリケーション全体で共通するスタイルを定義します。これにより、アプリケーション全体のデザインの一貫性を保ちやすくなります。

SharedModuleは、共通コンポーネントやディレクティブを必要とするすべてのモジュールにインポートされます。複数回のインポートでも問題ありません。

CoreModuleとSharedModuleは、以下の点で使い分けられます。

項目CoreModuleSharedModule
目的サービスの登録コンポーネントとディレクティブの共有
対象アプリケーション全体共通コンポーネント/ディレクティブを使用するモジュール
インポートAppModuleのみ共通コンポーネント/ディレクティブを使用するモジュールすべて
内容シングルトンサービス、依存関係、ブートストラップ処理ボタン、ヘッダー、フッター、共通ディレクティブ、スタイル

CoreModuleとSharedModuleは、Angular2におけるモジュール設計において重要な役割を果たす概念です。それぞれの役割と使い分けを理解することで、アプリケーションの構造性と保守性を高めることができます。

補足

  • CoreModuleとSharedModuleは、必ずしも必要ではありません。アプリケーションの規模や複雑性に応じて、適切なモジュール設計を選択してください。
  • 近年では、Angular CLIなどのツールを使用することで、CoreModuleとSharedModuleの自動生成が可能になっています。



Angular2におけるCoreModuleとSharedModule:サンプルコード

CoreModule

import { NgModule } from '@angular/core';
import { AuthService } from './auth.service';
import { LoggingService } from './logging.service';

@NgModule({
  providers: [
    AuthService,
    LoggingService
  ]
})
export class CoreModule {}
import { NgModule } from '@angular/core';
import { CommonButtonComponent } from './common-button.component';
import { DateFormatterDirective } from './date-formatter.directive';

@NgModule({
  declarations: [
    CommonButtonComponent,
    DateFormatterDirective
  ],
  exports: [
    CommonButtonComponent,
    DateFormatterDirective
  ]
})
export class SharedModule {}

AppModule

import { NgModule } from '@angular/core';
import { BrowserModule } from '@angular/platform-browser';
import { AppComponent } from './app.component';
import { FeatureModule } from './feature.module';
import { CoreModule } from './core.module';
import { SharedModule } from './shared.module';

@NgModule({
  imports: [
    BrowserModule,
    FeatureModule,
    CoreModule,
    SharedModule
  ],
  declarations: [
    AppComponent
  ],
  providers: [],
  bootstrap: [AppComponent]
})
export class AppModule {}

解説

上記のサンプルコードでは、以下のモジュールを定義しています。

  • CoreModule: AuthServiceとLoggingServiceという2つのサービスを登録します。これらのサービスは、アプリケーション全体で共有されます。
  • SharedModule: CommonButtonComponentとDateFormatterDirectiveという2つのコンポーネントとディレクティブを登録します。これらのコンポーネントとディレクティブは、アプリケーション内の様々なモジュールで再利用できます。
  • AppModule: CoreModuleとSharedModuleをインポートし、AppComponentをルートコンポーネントとして設定します。

このサンプルコードはあくまでも一例であり、アプリケーションの規模や複雑性に応じて、モジュールの構成は変更する必要があります。

  • サービスは、providersプロパティで登録します。
  • コンポーネントとディレクティブは、declarationsプロパティで登録します。
  • 登録したコンポーネントとディレクティブを他のモジュールで使用する場合は、exportsプロパティでエクスポートする必要があります。
  • モジュールをインポートする場合は、importsプロパティを使用します。



Angular2におけるCoreModuleとSharedModule以外にも、モジュール設計を整理する方法として、以下の選択肢があります。

Feature Modulesは、特定の機能に特化したモジュールです。各Feature Moduleは、その機能に必要なコンポーネント、サービス、ディレクティブなどを登録します。Feature Modulesは、アプリケーションを機能ごとに分割することで、モジュールの責任範囲を明確にし、保守性を高めることができます。

例:

// user.module.ts
import { NgModule } from '@angular/core';
import { UserListComponent } from './user-list.component';
import { UserDetailComponent } from './user-detail.component';
import { UserService } from './user.service';

@NgModule({
  declarations: [
    UserListComponent,
    UserDetailComponent
  ],
  exports: [
    UserListComponent,
    UserDetailComponent
  ],
  imports: [
    SharedModule
  ],
  providers: [
    UserService
  ]
})
export class UserModule {}

Lazy Loadingは、必要なモジュールを遅延読み込みする機能です。これにより、アプリケーションの起動時間を短縮し、パフォーマンスを向上させることができます。

// app-routing.module.ts
import { NgModule } from '@angular/core';
import { Routes, RouterModule } from '@angular/router';
import { UserModule } from './user.module';

const routes: Routes = [
  { path: 'users', loadChildren: () => import('./user.module').then(m => m.UserModule) }
];

@NgModule({
  imports: [RouterModule.forRoot(routes)],
  exports: [RouterModule]
})
export class AppRoutingModule {}

NgRxは、状態管理ライブラリです。NgRxを使用すると、アプリケーションの状態を中央集権的に管理することができます。これにより、モジュール間のデータ共有を容易にし、コードをよりシンプルにすることができます。

// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';
import { Store } from '@ngrx/store';
import { AppState } from './app.state';

@Component({
  selector: 'app-root',
  template: `
    <user-list [users]="users"></user-list>
  `
})
export class AppComponent {
  users: User[];

  constructor(private store: Store<AppState>) {
    this.store.select('users').subscribe(users => this.users = users);
  }
}

Barrel Filesは、関連するモジュールを1つのファイルにまとめる手法です。これにより、モジュールのインポートとエクスポートを簡略化することができます。

// shared/components/index.ts
export * from './common-button.component';
export * from './date-formatter.directive';

Monorepoは、複数のプロジェクトを1つのリポジトリで管理する手法です。これにより、プロジェクト間の依存関係を管理しやすくなり、開発効率を向上させることができます。

my-app/
├── apps/
│   ├── core
│   │   ├── core.module.ts
│   │   └── logging.service.ts
│   └── shared
│       ├── common-button.component.ts
│       └── date-formatter.directive.ts
├── packages/
│   └── auth
│       ├── auth.service.ts
│       └── auth.module.ts
└── nx.json

Angular2におけるモジュール設計は、アプリケーションの規模や複雑性に応じて、様々な方法があります。上記の選択肢を参考に、アプリケーションに最適な方法を選択してください。


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