【超解説】TypeScriptにおけるグローバル型:メリット、注意点、サンプルコードまで

2024-07-27

TypeScriptにおけるグローバル型

グローバル型を定義するには、主に以下の2つの方法があります。

宣言ファイル(*.d.ts)を使用する

宣言ファイルは、.d.ts という拡張子のテキストファイルで、型定義のみを含むものです。宣言ファイルを使用すると、既存のライブラリやグローバル変数に対して型情報を提供することができます。

例:

// declare.d.ts
declare global {
  interface Window {
    myGlobalFunction: (message: string) => void;
  }
}

この例では、Window インターフェースに myGlobalFunction という新しいプロパティを宣言しています。このプロパティは、文字列を受け取り、何も返さない関数を表します。

宣言ファイルをプロジェクトに含めることで、TypeScriptコンパイラは myGlobalFunction 関数の型情報を知ることができ、その関数がどのように使用されているかをチェックすることができます。

declare キーワードを使用する

declare キーワードを使用して、個々の変数や関数の型をグローバルスコープで宣言することもできます。

declare var $: JQuery; // JQuery ライブラリの型を宣言
declare function myGlobalFunction(message: string): void;

この例では、まず $ 変数に JQuery ライブラリの型を宣言しています。次に、myGlobalFunction 関数の型を宣言しています。この関数は、文字列を受け取り、何も返さない関数であることが示されています。

declare キーワードを使用する場合は、宣言する型が既に存在していることを確認する必要があります。そうでない場合は、コンパイルエラーが発生します。

グローバル型の利点

グローバル型を使用する利点は次のとおりです。

  • コードの一貫性: プロジェクト全体のコードで一貫した型システムを維持することができます。
  • コードの読みやすさ: 型情報がコードに直接埋め込まれているため、コードが読みやすくなります。
  • 保守性の向上: 型情報が明確に定義されているため、コードを保守しやすくなります。
  • 開発ツールのサポート: 多くの開発ツールは、グローバル型を認識して、コード分析や補完機能を提供することができます。

グローバル型を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 名前の衝突: グローバル型はグローバルスコープで宣言されるため、他のライブラリやモジュールによって定義された型と名前が衝突する可能性があります。
  • 循環参照: 互いに依存するグローバル型を定義すると、循環参照が発生する可能性があります。
  • オーバーキル: すべての変数や関数をグローバル型として宣言する必要はありません。必要なものだけを宣言するようにしましょう。



この例では、jQuery ライブラリの型を宣言するグローバルな宣言ファイルを作成します。

// declare.d.ts
declare global {
  interface JQuery {
    (selector: string): JQuery;
    fn: {
      append(this: JQuery, content: any): JQuery;
    };
  }
}

この宣言ファイルを作成したら、プロジェクトに含める必要があります。通常、宣言ファイルは @types ディレクトリに配置されます。

次に、TypeScript コードで jQuery ライブラリを使用することができます。

// main.ts
$(document).ready(function() {
  $("body").append("<p>Hello, world!</p>");
});

このコードは、まず jQuery 関数を使用して DOM ドキュメントを取得します。次に、append メソッドを使用して、body 要素に段落要素を追加します。

TypeScript コンパイラは、declare.d.ts ファイルで宣言された jQuery インターフェースに基づいて、このコードを型チェックします。

例2:declare キーワードを使用したグローバル型

この例では、Math オブジェクトの random 関数に対して、独自の型情報を提供するグローバル型を宣言します。

// main.ts
declare function random(min: number, max: number): number;

const randomNumber = random(0, 10);
console.log(randomNumber);

このコードでは、まず random 関数の型を宣言します。この関数は、2つの数値を受け取り、その範囲内のランダムな数値を返します。

次に、random 関数を使用してランダムな数値を生成し、コンソールにログ出力します。




環境変数ファイルを使用して、グローバル型の構成情報を提供することができます。これは、異なる環境間でグローバル型の動作を変更する場合に役立ちます。

// .env
GLOBAL_TYPE=number
// main.ts
declare global {
  let globalValue: number;
}

if (process.env.GLOBAL_TYPE === 'number') {
  globalValue = 10;
} else {
  globalValue = 'Hello';
}

console.log(globalValue);

この例では、.env ファイルを使用して GLOBAL_TYPE という環境変数を定義しています。この変数の値に基づいて、globalValue というグローバル変数の型を決定します。

ローカルな宣言ファイルをインポートする

ローカルな宣言ファイルをインポートすることで、特定のモジュールやスコープ内でのみグローバル型を定義することができます。これは、グローバル型のスコープを制限したい場合に役立ちます。

// modules/math/math.d.ts
declare global {
  function random(min: number, max: number): number;
}
// main.ts
import './modules/math/math.d.ts';

const randomNumber = random(0, 10);
console.log(randomNumber);

この例では、math というモジュール用の宣言ファイルを作成しています。このファイル内で、random 関数の型を宣言します。

次に、main.ts ファイルで math.d.ts ファイルをインポートします。これにより、random 関数の型情報が main.ts モジュール内で利用可能になります。

型エイリアスを使用する

型エイリアスを使用して、既存の型の新しい名前を定義することができます。これは、グローバル型にわかりやすい名前を与えたい場合に役立ちます。

declare global {
  type MyGlobalType = number;
}

let globalValue: MyGlobalType;
globalValue = 10;
console.log(globalValue);

この例では、number 型のエイリアスとして MyGlobalType という型を定義しています。次に、globalValue というグローバル変数を MyGlobalType 型として宣言します。

外部ライブラリの型定義ファイルを使用する

多くの外部ライブラリには、独自の型定義ファイルが付属しています。これらのファイルを使用して、ライブラリが提供するグローバル型を利用することができます。

// main.ts
declare global {
  const $: JQuery;
}

$(document).ready(function() {
  $("body").append("<p>Hello, world!</p>");
});

この例では、jQuery ライブラリの型定義ファイルをインポートしています。これにより、$ というグローバル変数の型情報が利用可能になります。

次に、jQuery ライブラリを使用して DOM 操作を実行します。


typescript typescript-typings



TypeScriptで列挙型のような型を作成するサンプルコード

しかし、場合によっては、列挙型のような型を作成したい場合があります。これは、列挙型のすべての機能が必要ではない場合や、より柔軟な型が必要な場合に役立ちます。TypeScriptで列挙型のような型を作成するには、いくつかの方法があります。オブジェクトリテラルを使用する...


メソッドを使い分けてスッキリ記述!TypeScriptのメソッドオーバーロードで実現するエレガントなプログラミング

メソッドオーバーロードとは、同じ名前のメソッドを複数定義し、それぞれ異なる引数や戻り値を持つようにすることで、コードの可読性と保守性を向上させる手法です。TypeScriptでは、この機能を活用して、より柔軟で型安全なコードを書くことができます。...


TypeScript と Knockout.js を使用した Todo アプリケーションのサンプルコード

Knockout. js は、JavaScript フレームワークであり、DOM 操作とデータバインディングを容易にすることで、Web アプリケーション開発を簡素化します。TypeScript は、JavaScript の静的型付けスーパーセットであり、型安全性を向上させ、開発者の生産性を高めることができます。...


TypeScriptとJavaScriptの違いと利点

TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットであり、JavaScriptに静的型付けの機能を追加したプログラミング言語です。つまり、TypeScriptのコードはJavaScriptのコードとしても実行できますが、TypeScriptでは変数や関数の型を明示的に指定することができます。...


JavaScriptとTypeScriptにおけるオープンエンド関数引数

この例では、sum関数は. ..numbersという引数を受け取ります。...演算子は、渡された引数を配列に変換します。そのため、numbers変数には、呼び出し時に渡されたすべての数値が格納されます。TypeScriptでは、引数の型も指定できます。この例では、sum関数はnumber型の引数のみを受け取るように定義されています。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



JavaScript と TypeScript における switch 文で同じコードを 2 つのケースで実行する方法

この場合、以下の 2 つの方法で実現することができます。上記の例では、value が 1 または 3 の場合、console. log("値は 1 または 3 です"); が実行されます。同様に、value が 2 または 4 の場合、console


サンプルコードで解説! TypeScript で jQuery Autocomplete を使いこなす

jQuery の型定義ファイルの導入TypeScript で jQuery を利用するために、型定義ファイルが必要です。型定義ファイルは、jQuery の関数やプロパティの型情報を提供し、TypeScript の IntelliSense 機能でオートコンプリートやエラーチェックを有効にします。


軽量で効率的な TypeScript コード: 最小化の重要性とベストプラクティス

そこで、TypeScriptを最小化と呼ばれる手法でコンパイルすることで、コードサイズを削減し、実行速度を向上させることができます。最小化は、コメントや空白などの不要な文字列を削除し、変数名を短縮するなどの処理を行います。TypeScriptを最小化する方法


TypeScriptでHTMLElementの型をアサートする:型ガード、asキーワード、型パラメーターなど

最も簡単な方法は、as キーワードを使う方法です。この方法は、単純で分かりやすいですが、いくつかの注意点があります。element が実際に HTMLElement 型であることを保証するものではありません。型エラーが発生しても、コンパイルエラーにはなりません。


TypeScript で既存の JavaScript ライブラリから .d.ts 型定義ファイルを作成する方法

型定義ファイルを作成するには、いくつかの方法があります。手動で作成する最も基本的な方法は、テキストエディタを使って手動で型定義ファイルを作成することです。ファイルには、ライブラリの各関数や変数について、以下の情報が必要です。名前型引数戻り値