TypeScript コンパイラで「非同期処理には Promise が必要」エラーを解決:5つの方法
TypeScript コンパイラで「ES5/ES3 の非同期関数またはメソッドには 'Promise' コンストラクターが必要です」とエラーが出る場合の解決策
このエラーは、TypeScript コンパイラで ES5 または ES3 をターゲットにして、async
/await
キーワードを使用した非同期処理を書いている場合によく発生します。
原因
ES5 以前の JavaScript にはネイティブの Promise 機能が搭載されていないため、このエラーが発生します。そのため、非同期処理を行うには、Promise
コンストラクターを明示的に使用する必要があります。
解決策
このエラーを解決するには、以下のいずれかの方法を実行します。
target オプションを使用してターゲット JavaScript バージョンを設定する
tsconfig.json
ファイルで target
オプションを使用して、コンパイルする JavaScript のバージョンを設定できます。 以下の例では、ターゲットを ES6 に設定しています。
{
"compilerOptions": {
"target": "es6"
}
}
Promise コンストラクターを明示的に使用する
非同期処理を行うコード内で、Promise
コンストラクターを明示的に使用する必要があります。 以下の例では、async
/await
キーワードと組み合わせて Promise
コンストラクターを使用する方法を示しています。
async function myFunction() {
const result = await Promise.resolve('Hello, World!');
console.log(result);
}
myFunction();
@types/node パッケージをインストールする
Node.js を使用している場合は、@types/node
パッケージをインストールすることで、Promise
コンストラクターを含む Node.js の標準ライブラリの型定義を利用できます。
npm install @types/node
Babel を使用して、ES6 コードを ES5 または ES3 などの古い JavaScript バージョンにトランスパイルできます。 以下の例では、Babelを使用して async
/await
キーワードを ES5 コードに変換する方法を示しています。
npm install babel @babel/core @babel/preset-env
npx babel src/index.ts -o dist/index.js --presets @babel/preset-env
補足
- 上記の解決策に加えて、TypeScript コンパイラのオプションを使用して、エラーメッセージを抑制することもできます。 ただし、根本的な原因を解決していないため、これは推奨される解決策ではありません。
- 新しいプロジェクトの場合は、ES6 またはそれ以降の JavaScript をターゲットにすることをお勧めします。 これにより、
async
/await
キーワードなどの最新の機能を利用できます。
// ターゲット JavaScript バージョンを ES6 に設定
// tsconfig.json
{
"compilerOptions": {
"target": "es6"
}
}
// Promise コンストラクターを明示的に使用する
function myFunction() {
return new Promise((resolve, reject) => {
setTimeout(() => {
resolve('Hello, World!');
}, 1000);
});
}
myFunction().then(result => console.log(result));
// @types/node パッケージを使用する
const fetch = require('node-fetch');
async function myFunction() {
const response = await fetch('https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1');
const data = await response.json();
console.log(data);
}
myFunction();
// Babel を使用する
// package.json
{
"devDependencies": {
"babel": "^7.18.2",
"@babel/core": "^7.18.2",
"@babel/preset-env": "^7.18.2"
}
}
// script
npx babel src/index.ts -o dist/index.js --presets @babel/preset-env
上記は、TypeScript コンパイラのエラー "ES5/ES3 の非同期関数またはメソッドには 'Promise' コンストラクターが必要です" を解決するためのサンプルコードです。
それぞれの例では、さまざまな解決策を実装する方法を示しています。
- 最初の例では、
tsconfig.json
ファイルを使用してターゲット JavaScript バージョンを ES6 に設定する方法を示しています。 これにより、TypeScript コンパイラは ES6 の機能を認識し、async
/await
キーワードを正しくコンパイルします。 - 2 番目の例では、
Promise
コンストラクターを明示的に使用するコードを示しています。 これにより、非同期処理を明示的に制御できます。 - 3 番目の例では、
@types/node
パッケージを使用して、Node.js の標準ライブラリの型定義を利用する方法を示しています。 これにより、IntelliSense などの開発ツールでより良い開発体験を得ることができます。 - 4 番目の例では、Babel を使用して ES6 コードを ES5 コードに変換する方法を示しています。 これにより、古い JavaScript バージョンを使用している環境でも、
async
/await
キーワードを使用することができます。
どの解決策が最適かは、プロジェクトの要件によって異なります。 新しいプロジェクトの場合は、ES6 またはそれ以降の JavaScript をターゲットにすることをお勧めします。 これにより、最新の機能を利用でき、コードが読みやすくなります。
Regenerator Runtime は、JavaScript で非同期処理をサポートするためのライブラリです。 このライブラリを使用すると、async
/await
キーワードを ES5 または ES3 などの古い JavaScript バージョンで使用することができます。
以下の手順で、Regenerator Runtime を使用してエラーを解決できます。
regenerator-runtime
パッケージをインストールします。
npm install regenerator-runtime
- コンパイルするすべての TypeScript ファイルの先頭に、以下のコードを追加します。
import 'regenerator-runtime/runtime';
- コード内で
async
/await
キーワードを使用します。
async function myFunction() {
const result = await Promise.resolve('Hello, World!');
console.log(result);
}
myFunction();
TypeScript トランスパイラは、TypeScript コードを JavaScript コードに変換するツールです。 このツールを使用すると、async
/await
キーワードを含む TypeScript コードを、ES5 または ES3 などの古い JavaScript バージョンにトランスパイルできます。
- TypeScript トランスパイラ (例:
tsc
またはwebpack
) をインストールします。 - トランスパイラを使用して、TypeScript コードを JavaScript コードに変換します。
tsc index.ts --target es5
Polyfill は、古いブラウザで欠けている機能を補うための JavaScript コードです。 Promise
コンストラクターの polyfill を使用すると、ES5 または ES3 などの古い JavaScript バージョンで async
/await
キーワードを使用することができます。
es6-promise
などのPromise
コンストラクターの polyfill パッケージをインストールします。
npm install es6-promise
import 'es6-promise/auto.js';
async function myFunction() {
const result = await Promise.resolve('Hello, World!');
console.log(result);
}
myFunction();
注意事項
- 上記の方法は、いずれも ES5 または ES3 で
async
/await
キーワードを使用するための代替手段です。 ただし、これらの方法は、ネイティブのPromise
コンストラクターを使用するよりもパフォーマンスが劣る場合があることに注意してください。
typescript async-await