Angular 9 動的テンプレート参照変数解説
Angular 9 では、*ngFor
ディレクティブ内で動的なテンプレート参照変数を用いることで、繰り返し生成されるテンプレート要素を個別に参照し、操作することが可能になります。これは、ダイナミックな UI 要素やイベントハンドリングのシナリオにおいて非常に便利です。
基本的な例
<ng-template #myTemplate>
<div>
<input #myInput>
</div>
</ng-template>
<div *ngFor="let item of items; let i = index">
<ng-container *ngTemplateOutlet="myTemplate; context: { $implicit: item, index: i }"></ng-container>
</div>
この例では、myTemplate
というテンプレート参照変数が定義されています。*ngFor
ループ内で、*ngTemplateOutlet
ディレクティブを使用して myTemplate
を繰り返し出力し、context
プロパティを使って各アイテムの情報を渡しています。
動的なテンプレート参照変数
動的なテンプレート参照変数を使用すると、*ngFor
ループ内で生成される各テンプレート要素に対してユニークな参照名を与えることができます。これにより、各要素を個別に操作することが可能になります。
<ng-template #myTemplate let-item let-index="index">
<div>
<input #myInput_{{index}}>
</div>
</ng-template>
<div *ngFor="let item of items; let i = index">
<ng-container *ngTemplateOutlet="myTemplate; context: { $implicit: item, index: i }"></ng-container>
</div>
この例では、myInput_{{index}}
という動的なテンプレート参照変数が使用されています。これにより、各入力要素に対してユニークな参照名 myInput_0
, myInput_1
, ... が生成されます。
ng-bootstrap との連携
ng-bootstrap は Angular 用の Bootstrap コンポーネントライブラリです。動的なテンプレート参照変数と組み合わせることで、ダイナミックなモーダルやツールチップなどのコンポーネントを作成することができます。
<ng-template #myModal let-item="item">
<div class="modal-header">
<h4 class="modal-title">{{ item.title }}</h4>
<button type="button" class="close" aria-label="Close" (click)="modalRef.hide()">
<span aria-hidden="true">×</span>
</button>
</div>
<div class="modal-body ">
{{ item.content }}
</div>
<div class="modal-footer">
<button type="button" class="btn btn-secondary" ( click)="modalRef.hide()">Close</button>
</div>
</ng-template>
<button *ngFor="let item of items" (click)="openModal(item)">Open Modal</button>
この例では、myModal
というテンプレート参照変数が定義されています。openModal
メソッド内で、NgbModal
サービスを使用してモーダルを開き、myModal
テンプレートと item
データを渡しています。
コード例の詳細解説
例1:基本的な使い方
<ng-template #myTemplate>
<div>
<input #myInput>
</div>
</ng-template>
<div *ngFor="let item of items; let i = index">
<ng-container *ngTemplateOutlet="myTemplate; context: { $implicit: item, index: i }"></ng-container>
</div>
- #myInput
myTemplate
内の入力要素にテンプレート参照変数を割り当てます。 - *ngTemplateOutlet
myTemplate
を現在の位置に出力し、context
プロパティでitem
とindex
を渡します。 - *ngFor
items
配列の各要素に対してmyTemplate
を繰り返し出力します。 - #myTemplate
テンプレート参照変数を定義します。このテンプレートが*ngFor
で繰り返し利用されます。
例2:動的なテンプレート参照変数の利用
<ng-template #myTemplate let-item let-index="index">
<div>
<input #myInput_{{index}}>
</div>
</ng-template>
<div *ngFor="let item of items; let i = index">
<ng-container *ngTemplateOutlet="myTemplate; context: { $implicit: item, index: i }"></ng-container>
</div>
- #myInput_{{index}}
index
を使って動的なテンプレート参照変数を生成します。これにより、各入力要素にユニークな名前が付けられます。
<ng-template #myModal let-item="item">
</ng-template>
<button *ngFor="let item of items" (click)="openModal(item)">Open Modal</button>
- openModal(item)
モーダルを開く際に、myModal
テンプレートとitem
データを渡します。 - #myModal
モーダル用のテンプレート参照変数を定義します。
具体的なユースケース
- モーダルやツールチップの動的な生成
ng-bootstrap などのライブラリと組み合わせることで、データに応じてモーダルやツールチップを動的に生成できます。 - リストアイテムの個別操作
各リストアイテムにテンプレート参照変数を割り当てることで、クリックイベントやフォーカスイベントなどのイベントハンドリングを個別に設定できます。 - 動的なフォームの生成
*ngFor
で複数の入力要素を生成し、各要素にユニークな名前を付けることで、フォームの動的な生成が可能になります。
動的なテンプレート参照変数は、Angular 9 でのテンプレートの柔軟な操作を可能にします。*ngFor
と組み合わせることで、データに基づいて動的な UI を構築し、各要素を個別に制御することができます。
さらに詳しく知りたい方へ
- ng-bootstrapドキュメント
ng-bootstrap のコンポーネントと動的なテンプレート参照変数の連携方法が詳しく解説されています。 - Angular公式ドキュメント
テンプレート参照変数、*ngFor
ディレクティブ、*ngTemplateOutlet
ディレクティブの詳細な説明が記載されています。
- 動的なテンプレート参照変数は、Angular のバージョンやライブラリによって、細かな実装が異なる場合があります。
- 上記のコード例は簡略化されており、実際のアプリケーションでは、より複雑なロジックやスタイルが加わる場合があります。
ViewChildren クエリ
- 例
- デメリット
- メリット
- テンプレート参照変数と同様に、各要素を個別に操作できます。
- テンプレートの外から要素にアクセスできるため、コンポーネントロジックとの連携が容易です。
import { Component, ViewChildren, QueryList, ElementRef } from '@angular/core';
@Component({
// ...
})
export class MyComponent {
@ViewChildren('myInput') inputs: QueryList<ElementRef>;
ngAfterViewInit() {
this.inputs.forEach((input: ElementRef) => {
// 各入力要素に対して処理を実行
input.nativeElement.value = '初期値';
});
}
}
ng-template を使用しない
- デメリット
- テンプレートが複雑になると、可読性が低下する可能性があります。
- テンプレート参照変数の機能を一部失う場合があります。
- メリット
- シンプルな構造で実装できます。
ng-template
のオーバーヘッドを削減できます。
<div *ngFor="let item of items; let i = index">
<input [id]="'myInput_' + i">
</div>
カスタムディレクティブ
- デメリット
- メリット
- 再利用可能なロジックを作成できます。
- 複雑な処理をカプセル化できます。
@Directive({
selector: '[myDirective]'
})
export class MyDirective {
@Input() index: number;
// ...
}
どの方法を選ぶべきか
最適な方法は、以下の要素を考慮して決定する必要があります。
- パフォーマンス
大量の要素を扱う場合、パフォーマンスを考慮する必要があります。 - 再利用性
特定の機能を複数の場所で再利用したい場合は、カスタムディレクティブが適しています。 - 要素へのアクセス方法
コンポーネントから直接要素にアクセスしたい場合は、ViewChildren
が便利です。 - テンプレートの複雑さ
シンプルなテンプレートであれば、ng-template
を使用しない方法が適しているかもしれません。
動的なテンプレート参照変数は、Angular で柔軟なテンプレートを作成するための強力なツールですが、必ずしも唯一の選択肢ではありません。上記の代替方法を理解し、それぞれのメリット・デメリットを比較することで、最適な方法を選択することができます。
- 上記以外にも、RxJS や状態管理ライブラリを活用した方法など、様々なアプローチが考えられます。
- Angular のバージョンによって、詳細な実装が異なる場合があります。
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