文字列ユニオンから配列へ
TypeScriptで文字列ユニオンを文字列配列に変換する
TypeScriptでは、文字列ユニオンを文字列配列に変換する際に、専用の関数やメソッドが存在しません。しかし、JavaScriptの基本的な配列操作を利用して、簡単に実現できます。
方法1: Object.values()
を使用する
- 文字列ユニオンをオブジェクトに変換
文字列ユニオンをオブジェクトのキーとして使用し、値はすべてtrue
に設定します。 - オブジェクトの値を取得
Object.values()
を使用して、オブジェクトの値(つまり、文字列)の配列を取得します。
const stringUnion = "a" | "b" | "c";
const stringArray = Object.values(stringUnion);
console.log(stringArray); // ["a", "b", "c"]
方法2: for...in
ループを使用する
- 空の配列を作成
文字列配列を格納するための空の配列を作成します。 - 文字列ユニオンを反復
for...in
ループを使用して、文字列ユニオンの各文字列を反復します。 - 配列に追加
各文字列を配列に追加します。
const stringUnion = "a" | "b" | "c";
const stringArray = [];
for (const str in stringUnion) {
stringArray.push(str);
}
console.log(stringArray); // ["a", "b", "c"]
注意点
- 文字列ユニオンに重複する値が含まれている場合、変換された配列には重複する要素が含まれます。
TypeScript: 文字列ユニオンから文字列配列への変換例の詳細解説
const stringUnion = "a" | "b" | "c";
const stringArray = Object.values(stringUnion);
console.log(stringArray); // ["a", "b", "c"]
解説
- Object.values() で値を取得
Object.values()
メソッドは、オブジェクトのすべてのプロパティの値を配列として返します。この例では、先ほど作成したオブジェクトの値(つまり、文字列)の配列がstringArray
に格納されます。 - 文字列ユニオンをオブジェクトに変換
stringUnion
は、"a", "b", "c" のいずれかの値を持つことができる文字列ユニオンです。この文字列ユニオンを、各文字列をキーとするオブジェクトに変換します。JavaScriptでは、任意の値をオブジェクトのキーにすることができます。この場合、すべての値にtrue
を設定していますが、任意の値を設定できます。
なぜこの方法で変換できるのか?
- 文字列ユニオンの特性
文字列ユニオンは、複数の型のいずれかをとることができる型です。この例では、文字列の集合とみなすことができます。 - Object.values() の働き
このメソッドは、オブジェクトのすべての列挙可能なプロパティの値を新しい配列にコピーします。 - JavaScriptのオブジェクトの特性
JavaScriptのオブジェクトは、キーと値のペアの集合です。キーは文字列またはシンボルである必要があります。
for...in ループを利用する方法
const stringUnion = "a" | "b" | "c";
const stringArray = [];
for (const str in stringUnion) {
stringArray.push(str);
}
console.log(stringArray); // ["a", "b", "c"]
- 配列に追加
各反復で、str
に格納された文字列をstringArray
に追加します。 - for...in ループで反復
for...in
ループは、オブジェクトのプロパティを反復するために使用されます。この例では、文字列ユニオンをオブジェクトのように扱い、各プロパティ(つまり、文字列)をstr
変数に代入します。 - 空の配列を作成
stringArray
という空の配列を初期化します。
- 文字列ユニオンの擬似的なオブジェクト化
文字列ユニオンを、各文字列がプロパティ名となるオブジェクトのように扱っています。 - for...in ループの特性
このループは、オブジェクトのプロパティを列挙するために使用されます。
どちらの方法も、文字列ユニオンを文字列配列に変換するために、JavaScriptのオブジェクトの特性を利用しています。
for...in
ループ の方法は、より低レベルな操作であり、JavaScriptのオブジェクトの内部的な動作を理解したい人にとっては役立ちます。Object.values()
の方法は、より簡潔で、JavaScriptの標準的なオブジェクト操作に慣れている人にとっては直感的です。
どちらの方法を選ぶべきか?
- 可読性
どちらの方法も、コードの文脈によって可読性が変わります。 - 柔軟性
for...in
ループは、より柔軟な処理が可能かもしれません。 - 簡潔さ
Object.values()
の方が簡潔です。
- より複雑なシナリオでは、ジェネリック型やユーティリティ型を使用することで、より安全で柔軟な変換を実現できます。
- TypeScriptの型システムは、これらの変換を静的にチェックすることはできません。
具体的なユースケース
- 条件分岐
文字列ユニオンの値に基づいて、異なる処理を行う場合、配列に変換することで、includes()
メソッドなどを使用して簡単に条件分岐を行うことができます。 - 関数に渡す引数を配列に変換
関数が文字列の配列を期待する場合、文字列ユニオンを配列に変換する必要があります。
従来手法の再確認
これまでの解説では、Object.values()
と for...in
ループを用いた2つの主要な手法を紹介しました。これらの手法は、文字列ユニオンを文字列配列に変換する上で基本的なアプローチであり、多くの場面で十分に機能します。
より高度な手法と考慮すべき点
ジェネリック型を用いた関数
より汎用的な変換関数を作成するために、ジェネリック型を用いることができます。
function unionToArray<T>(union: T): T[] {
return Object.values(union);
}
const stringArray = unionToArray<"a" | "b" | "c">("a" | "b" | "c");
- デメリット
- メリット
- 再利用性が高く、任意のユニオン型に対して適用できる。
- 型安全性を高めることができる。
型ガードを用いた関数
より厳密な型チェックを行うために、型ガードを用いることができます。
function isString(value: unknown): value is string {
return typeof value === 'string';
}
function unionToArrayWithGuard<T>(union: T): string[] {
const result: string[] = [];
for (const value of Object.values(union)) {
if (isString(value)) {
result.push(value);
}
}
return result;
}
- デメリット
- コードが冗長になる可能性がある。
- メリット
- 型の誤りを防ぎ、より安全なコードとなる。
- 異なる型の値が混在している場合でも、適切な処理を行うことができる。
TypeScriptのユーティリティ型
TypeScript 4.1 以降では、Parameters
や ReturnType
などのユーティリティ型を用いて、より高度な型操作が可能になりました。
type UnionToIntersection<U> =
(U extends any ? (k: U) => void : never) extends
(k: infer I) => void ? I : never;
type UnionToArray<U> = UnionToIntersection<U>[];
const stringArray: UnionToArray<"a" | "b" | "c"> = ["a", "b", "c"];
- デメリット
- 理解が難しい。
- メリット
- 高度な型操作
TypeScriptのユーティリティ型を用いた手法が最も高度な操作を可能にします。 - 汎用性
ジェネリック型を用いた手法が最も汎用性が高いです。 - 型安全性
型ガードを用いた手法が最も安全です。
- 高度な型システムを活用したい場合
TypeScriptのユーティリティ型を用いた手法が適しています。 - 再利用性が必要な場合
ジェネリック型を用いた手法が適しています。 - 型チェックが必要な場合
型ガードを用いた手法が適しています。 - 単純な変換
Object.values()
が最も適しています。
文字列ユニオンから文字列配列への変換は、TypeScriptでよく遭遇する問題です。様々な手法が存在し、それぞれの状況に応じて最適な手法を選択することが重要です。TypeScriptの型システムを理解し、適切な手法を選択することで、より安全で高品質なコードを作成することができます。
- TypeScriptのバージョンによって、利用可能なユーティリティ型や機能が異なる場合があります。
- 上記の例はあくまで一例であり、より複雑なシナリオに対応するために、これらの手法を組み合わせたり、独自に拡張したりすることも可能です。
typescript