Angular で「Cannot have a pipe in an action expression」エラーが発生する原因と解決策
Angular で「Cannot have a pipe in an action expression」エラーが発生する場合、パイプ(pipe)をイベントハンドラーやアクションバインディングで使用しようとしている可能性があります。これは、パイプはデータの表示変換のみを目的としており、イベント処理やデータバインディングには使用できないためです。
原因
このエラーは、主に以下の2つの状況で発生します。
- イベントハンドラーでパイプを使用する場合
<button (click)="onClick() | lowercase">ボタン</button>
上記の例では、click
イベントハンドラー内で lowercase
パイプを使用しようと試みています。しかし、イベントハンドラーはアクションを実行するために使用されるため、パイプによるデータ変換は許可されていません。
- アクションバインディングでパイプを使用する場合
<input [(ngModel)]="data | uppercase">
上記の例では、ngModel
バインディング内で uppercase
パイプを使用しようと試みています。ngModel
は双方向バインディングであり、モデルとビュー間のデータ同期に使用されます。しかし、パイプはデータの表示変換のみを目的としており、データバインディングに影響を与える処理は許可されていません。
解決策
このエラーを解決するには、以下のいずれかの方法でパイプを使用することができます。
- パイプをテンプレート内で使用
<button (click)="onClick()">{{ data | lowercase }}</button>
上記の例では、click
イベントハンドラーではなくテンプレート内で lowercase
パイプを使用しています。テンプレート内でパイプを使用すれば、データの表示変換のみを行い、イベント処理やデータバインディングに影響を与えることはありません。
- パイプをカスタムディレクティブで使用する
@Directive({
selector: '[uppercase]',
})
export class UppercaseDirective {
@Input() data: string;
constructor(private elementRef: ElementRef) {}
ngOnInit() {
this.elementRef.nativeElement.textContent = this.data.toUpperCase();
}
}
上記の例では、uppercase
ディレクティブを作成し、テンプレート内で使用できるようにしています。このディレクティブは、data
入力プロパティを受け取り、その値を大文字に変換して要素のテキストコンテンツに設定します。
- パイプをサービスで使用する
@Injectable({
providedIn: 'root',
})
export class UppercaseService {
uppercase(data: string): string {
return data.toUpperCase();
}
}
テンプレートでパイプを使用する
この例では、lowercase
パイプを使用して、ボタンのラベルを小文字に変換します。
<button>ボタンを小文字に変換</button>
<button>{{ 'ボタンを小文字に変換' | lowercase }}</button>
カスタムディレクティブでパイプを使用する
この例では、uppercase
ディレクティブを作成し、要素のテキストコンテンツを大文字に変換します。
// uppercase.directive.ts
@Directive({
selector: '[uppercase]',
})
export class UppercaseDirective {
@Input() data: string;
constructor(private elementRef: ElementRef) {}
ngOnInit() {
this.elementRef.nativeElement.textContent = this.data.toUpperCase();
}
}
<p uppercase>すべての文字を大文字に変換します。</p>
サービスでパイプを使用する
// uppercase.service.ts
@Injectable({
providedIn: 'root',
})
export class UppercaseService {
uppercase(data: string): string {
return data.toUpperCase();
}
}
<p>{{ uppercaseService.uppercase('すべての文字を大文字に変換します。') }}</p>
AsyncPipe を使用して非同期データの処理を行う
この例では、AsyncPipe
を使用して非同期に取得したデータを表示します。
// component.ts
import { Component } from '@angular/core';
import { HttpClient } from '@angular/common/http';
@Component({
selector: 'app-root',
template: `
<p>非同期データ: {{ data | async }}</p>
`,
})
export class AppComponent {
data: any;
constructor(private http: HttpClient) {
this.fetchData();
}
private fetchData() {
this.data = this.http.get('https://www-example-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.example.com');
}
}
Angular パイプの代替方法
カスタムコンポーネントを使用する
複雑なデータ整形や変換が必要な場合は、カスタムコンポーネントを作成して処理を行う方が効率的です。コンポーネント内部でロジックをカプセル化することで、テンプレートをより読みやすく、保守しやすくなります。
<div class="user-info">
<span>名前: {{ user.name }}</span>
<span>メール: {{ user.email }}</span>
<span>年齢: {{ user.age | number }}</span>
</div>
// カスタムコンポーネントのクラス
@Component({
selector: 'app-user-info',
template: `
<div class="user-info">
<span>名前: {{ user.name }}</span>
<span>メール: {{ user.email }}</span>
<span>年齢: {{ user.age | number }}</span>
</div>
`,
})
export class UserInfoComponent {
@Input() user: User;
}
<app-user-info [user]="user"></app-user-info>
サービスを使用する
データ整形や変換のロジックを再利用したい場合は、サービスを作成して処理を行う方が効率的です。サービスを呼び出すことで、テンプレートを簡潔に保ち、コードの重複を避けることができます。
// サービスのクラス
@Injectable({
providedIn: 'root',
})
export class UserService {
formatUserInfo(user: User): string {
return `名前: ${user.name}, メール: ${user.email}, 年齢: ${user.age}`;
}
}
<span>{{ userService.formatUserInfo(user) }}</span>
第三者ライブラリを使用する
特定のデータ整形や変換に特化したライブラリを使用するのも有効な手段です。ライブラリを利用することで、開発時間を節約し、コードの品質を向上させることができます。
RxJSを使用する
非同期データの処理にパイプを使用する場合は、RxJS を使用してより柔軟な処理を行うことができます。RxJS は、非同期データストリームを操作するためのライブラリであり、パイプよりも多くの機能を提供します。
import { Component, OnInit } from '@angular/core';
import { Observable, of } from 'rxjs';
import { map } from 'rxjs/operators';
@Component({
selector: 'app-root',
template: `
<p>非同期データ: {{ data$ | async }}</p>
`,
})
export class AppComponent implements OnInit {
data$: Observable<string>;
ngOnInit() {
this.data$ = of('非同期データを取得しました').pipe(map((data) => data.toUpperCase()));
}
}
注意事項
パイプの代替方法を選択する際には、以下の点に注意する必要があります。
- パイプよりも複雑な処理にならないか
- コードの読みやすさや保守性が損なわれないか
- パフォーマンスへの影響はないか
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