TypeORM upsert解説
TypeORMにおけるupsert: 存在しない場合は作成
TypeORMは、Node.jsアプリケーションでデータベース操作を行うための強力なORM(Object-Relational Mapper)です。その機能の一つに、upsertと呼ばれる操作があります。これは、データベースに特定のデータが存在する場合には更新し、存在しない場合は新規に作成する操作です。
TypeScriptでのupsert実装
以下は、TypeORMを使用してTypeScriptでupsertを実装する一般的な例です。
import { Entity, Column, PrimaryGeneratedColumn, getConnection } from 'typeorm';
@Entity()
export class User {
@PrimaryGeneratedColumn()
id: number;
@Column()
name: string;
@Column()
email: string;
}
async function upsertUser(user: User) {
await getConnection().createQueryBuilder()
.insert()
.into(User)
.values(user)
.orUpdate(['email'])
.execute();
}
コード解説
- createQueryBuilder()
TypeORMのクエリビルダーを取得します。 - insert()
データの挿入を開始します。 - into(User)
User
エンティティに挿入します。 - values(user)
user
オブジェクトの値を挿入します。 - orUpdate(['email'])
email
列を条件として、存在する場合には更新します。 - execute()
クエリを実行します。
動作原理
- TypeORMは、指定されたエンティティと値を使用してINSERTクエリを作成します。
orUpdate()
メソッドによって、指定された列(ここではemail
)を条件として、レコードが存在する場合にはUPDATEクエリに変換されます。- クエリが実行され、データが挿入または更新されます。
重要なポイント
- 性能の観点から、大量のデータに対してupsertを行う場合は、データベースのインデックスを活用することが重要です。
orUpdate()
メソッドは、指定された列の値が重複しないことを前提としています。重複する可能性がある場合は、適切な条件を追加する必要があります。
import { Entity, Column, PrimaryGeneratedColumn, getConnection } from 'typeorm';
@Entity()
export class User {
@PrimaryGeneratedColumn()
id: number;
@Column()
name: string;
@Column()
email: string;
}
async function upsertUser(user: User) {
await getConnection().createQueryBuilder()
.insert()
.into(User)
.values(user)
.orUpdate(['email'])
.execute();
}
TypeORMにおけるupsertの代替手法
TypeORMのupsert機能は、データベースにデータが存在する場合には更新し、存在しない場合は新規に作成する便利な方法を提供します。しかし、特定のユースケースやパフォーマンス要件によっては、他の手法がより適している場合があります。
手動チェックとトランザクション
最も基本的な方法は、手動でデータの存在をチェックし、存在しない場合は挿入、存在する場合は更新を行うことです。トランザクションを使用して、一連の操作をアトミックに実行し、データの整合性を確保します。
async function upsertUser(user: User) {
const userRepository = getConnection().getRepository(User);
try {
await getConnection().transaction(async (entityManager) => {
const existingUser = await entityManager.findOne(User, { where: { email: user.email } });
if (existingUser) {
existingUser.name = user.name;
await entityManager.save(existingUser);
} else {
await entityManager.save(user);
}
});
} catch (error) {
// エラー処理
}
}
SQLのON DUPLICATE KEY UPDATE
MySQLやPostgreSQLなどのデータベースでは、ON DUPLICATE KEY UPDATE
句を使用して、重複するキーが存在する場合に更新を行うことができます。TypeORMでは、この句を直接使用することが可能です。
async function upsertUser(user: User) {
await getConnection().createQueryBuilder()
.insert()
.into(User)
.values(user)
.orUpdate(['email'])
.execute();
}
バッチ処理とupsert
大量のデータを処理する場合は、バッチ処理とupsertを組み合わせることができます。バッチ処理により、複数のレコードを一度に処理し、パフォーマンスを向上させることができます。
async function upsertUsers(users: User[]) {
await getConnection().createQueryBuilder()
.insert()
.into(User)
.values(users)
.orUpdate(['email'])
.execute();
}
カスタムレポジトリメソッド
特定のユースケースに合わせて、カスタムレポジトリメソッドを作成することもできます。これにより、コードの再利用性と可読性を向上させることができます。
@EntityRepository(User)
export class UserRepository extends Repository<User> {
async upsert(user: User) {
// カスタムのupsertロジック
}
}
選択基準
最適な手法は、アプリケーションの要件やデータベースの特性によって異なります。以下は、各手法の利点と欠点を考慮する際のポイントです。
- 柔軟性
カスタムレポジトリメソッドは、複雑なユースケースに対応することができます。 - 可読性
手動チェックとトランザクションは、コードが読みやすくなります。 - パフォーマンス
バッチ処理とSQLのON DUPLICATE KEY UPDATE
は、大量のデータを処理する場合にパフォーマンスが優れています。
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