Angular:forRoot() vs 手動インスタンス化 - それぞれのメリットとデメリット

2024-07-27

Angular における forRoot() の役割

forRoot()` の主な役割は以下のとおりです。

  • シングルトンサービスの提供: forRoot() を使用して、アプリケーション全体で 1 つのインスタンス しか存在しないサービス (シングルトンサービス) を定義できます。これは、メモリ使用量を削減し、コードの整合性を保つのに役立ちます。
  • 依存関係の注入: forRoot() を使用して、コンポーネントや他のサービスに依存関係を注入できます。これにより、コードをよりモジュール化し、テストしやすくなります。
  • ルーティングの設定: ルーティングモジュールの forRoot() メソッドは、アプリケーションのルーティング設定を定義するために使用されます。

forRoot()` の使用方法

forRoot() メソッドは、モジュールクラスに静的に定義されます。このメソッドは、ModuleWithProviders オブジェクトを返す必要があります。このオブジェクトには、モジュール自体と、モジュールによって提供されるプロバイダーのリストが含まれます。

import { NgModule } from '@angular/core';

@NgModule({
  declarations: [MyComponent],
  exports: [MyComponent],
  providers: [MyService]
})
export class MyModule {
  static forRoot(): ModuleWithProviders {
    return {
      ngModule: MyModule,
      providers: [MyService]
    };
  }
}

上記の例では、MyModule モジュールは MyService サービスを シングルトン として提供します。forRoot() メソッドを使用して、このモジュールをルートモジュールにインポートすると、MyService サービスはアプリケーション全体で使用できるようになります。

forRoot()forChild()` の違い

forRoot() とは対照的に、forChild() メソッドは、子モジュールにモジュールをインポートする場合に使用されます。forChild() メソッドは、プロバイダーを提供せず、モジュールの宣言とエクスポートのみを返します。

import { NgModule } from '@angular/core';

@NgModule({
  declarations: [MyOtherComponent],
  exports: [MyOtherComponent]
})
export class MyOtherModule {
  static forChild(): ModuleWithProviders {
    return {
      ngModule: MyOtherModule
    };
  }
}

上記の例では、MyOtherModule モジュールは MyOtherComponent コンポーネントをエクスポートします。forChild() メソッドを使用してこのモジュールを子モジュールにインポートすると、MyOtherComponent コンポーネントは子モジュールで使用できるようになります。

forRoot() は、Angular における重要な機能であり、シングルトンサービスの提供、依存関係の注入、ルーティングの設定などに役立ちます。forRoot()forChild() の違いを理解することは、モジュールを適切に設計し、アプリケーションを効果的に構成するために重要です。

  • forRoot() は、ルートモジュール にのみインポートする必要があります。子モジュールにインポートすると、エラーが発生する可能性があります。
  • シングルトンサービスを定義する場合は、必ず forRoot() メソッドを使用する必要があります。
  • ルーティングモジュールの forRoot() メソッドは、アプリケーションのルーティング設定を定義するために 必ず 使用する必要があります。



import { NgModule } from '@angular/core';
import { AppComponent } from './app.component';
import { MyService } from './my.service';

@NgModule({
  declarations: [
    AppComponent
  ],
  imports: [
    // その他のモジュール
  ],
  providers: [
    MyService
  ],
  bootstrap: [AppComponent]
})
export class AppModule { }

サービス (my.service.ts)

import { Injectable } from '@angular/core';

@Injectable({
  providedIn: 'root'
})
export class MyService {
  // サービスロジック
}

コンポーネント (app.component.ts)

import { Component } from '@angular/core';
import { MyService } from './my.service';

@Component({
  selector: 'app-root',
  templateUrl: './app.component.html',
  styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
  constructor(private myService: MyService) { }

  ngOnInit() {
    // MyService を使用する
  }
}

この例では、MyService はルートモジュールで forRoot() を使用して提供されるため、アプリケーション全体で 1 つのインスタンス しか存在しません。AppComponent コンポーネントはコンストラクタで MyService を注入し、サービスを使用することができます。

この例はあくまでも基本的なものであり、実際のアプリケーションではより複雑なモジュール構造とサービスロジックを使用する可能性があります。

  • この例では、MyService はシンプルなサービスとして示されています。実際のサービスは、より多くの機能とロジックを持つことができます。
  • コンポーネントは、サービスを注入して使用する前に、サービスが提供されていることを確認する必要があります。
  • テストでは、TestBed を使用してサービスをモックし、コンポーネントを分離してテストすることができます。



Angular 6 以降、@Injectable() デコレータの providedIn プロパティを使用して、サービスのスコープを指定することができます。このプロパティには、以下の値を設定できます。

  • 'root': サービスをルートレベルで提供します。これは forRoot() を使用する場合と同じです。
  • 'any': サービスをアプリケーション全体で提供します。これは forRoot() を使用する場合よりも柔軟性がありますが、意図せずに複数のインスタンスを作成してしまう可能性があるため、注意が必要です。
  • コンポーネント、モジュール、または他のサービスの参照: サービスを特定のコンポーネント、モジュール、または他のサービスにスコープします。
import { Injectable } from '@angular/core';

@Injectable({
  providedIn: 'root' // または 'any' またはコンポーネント/モジュール/サービスの参照
})
export class MyService {
  // サービスロジック
}

手動によるインスタンス化

@Injectable() デコレータを使用せずに、サービスを手動でインスタンス化することもできます。この方法では、サービスのインスタンスをグローバル変数に格納する必要があります。

import { Injectable } from '@angular/core';

export class MyService {
  // サービスロジック
}

const myService = new MyService(); // グローバル変数にインスタンスを格納

@Component({
  selector: 'app-root',
  templateUrl: './app.component.html',
  styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
  constructor() { }

  ngOnInit() {
    // myService を使用する
  }
}

第三者ライブラリ

シングルトンサービスの管理を容易にするために、いくつかの第三者ライブラリが利用可能です。

どの方法を選択すべきか

使用する方法は、アプリケーションのニーズと要件によって異なります。

  • シンプルで軽量な方法: providedIn: 'root' を使用するのが最も簡単で軽量な方法です。
  • より多くの柔軟性が必要な場合: providedIn または手動インスタンス化を使用して、サービスのスコープをより細かく制御できます。
  • より複雑なアプリケーション: NestJS などの第三者ライブラリを使用すると、より高度な依存関係管理とシングルトンサービスの管理機能を利用できます。

推奨事項

  • 一般的には、providedIn: 'root' を使用してルートモジュールでシングルトンサービスを提供するのが ベストプラクティス です。
  • 手動インスタンス化は、シンプルなサービスにのみ使用し、複雑なアプリケーションでは避けるようにしてください。
  • 第三者ライブラリは、複雑なアプリケーションで高度な依存関係管理機能が必要な場合にのみ使用してください。

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