【保存版】TypeScriptでオブジェクト指向プログラミングをマスターしよう！プライベートパラメータ編
TypeScriptにおけるプライベートパラメータ：詳細ガイド
TypeScriptにおけるプライベートパラメータは、クラス内部でのみアクセス可能なパラメータを定義するための機能です。これは、カプセル化を強化し、コードの保守性と信頼性を向上させるのに役立ちます。
利点
- 信頼性の向上
プライベートパラメータは、予期せぬ変更によるエラーを防ぎ、コードの堅牢性を高めます。 - コードの保守性
プライベートパラメータを使用すると、コードの内部構造を明確にし、変更を容易にします。 - 情報隠蔽
プライベートパラメータは、外部コードからの意図しない変更やアクセスから隔離することで、データの整合性を保ちます。
構文
プライベートパラメータを宣言するには、private キーワードをパラメータ名の前に付加します。
class Person {
private name: string;
constructor(name: string) {
this.name = name;
}
greet() {
console.log(`Hello, ${this.name}`);
}
}
アクセス
プライベートパラメータは、クラス内部でのみアクセスできます。クラス外部からのアクセスは、コンパイルエラーとなります。
class Person {
private name: string;
constructor(name: string) {
this.name = name;
}
greet() {
console.log(`Hello, ${this.name}`);
}
// エラー: 'name' にはクラス外部からアクセスできません
getName() {
return this.name;
}
}
注意点
- プライベートパラメータは、デバッガやリフレクションツールを使用して、外部からアクセスできる可能性があります。
- プライベートパラメータは、継承関係にあるサブクラスからも直接アクセスできません。ただし、
protectedアクセス修飾子を使用して、サブクラスからのアクセスを許可することはできます。
Angularでの使用
Angularでは、コンポーネントのプロパティやメソッドをカプセル化するために、プライベートパラメータを広く使用することができます。これは、コンポーネントの内部実装を隠し、コンポーネント間の望ましくない干渉を防ぐのに役立ちます。
例
次の例は、name プロパティをプライベートにしたシンプルな Angular コンポーネントを示しています。
import { Component } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'app-my-component',
template: `
<h1>Hello, {{ name }}!</h1>
`,
})
export class MyComponent {
private name: string = 'Angular';
constructor() {}
}
import { Component } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'app-my-component',
template: `
<h1>Hello, {{ name }}!</h1>
`,
})
export class MyComponent {
private name: string = 'Angular';
constructor() {}
// 'name' プロパティはプライベートなので、外部からはアクセスできません
greet() {
console.log(`Hello, ${this.name}`); // コンポーネント内部ではアクセス可能
}
}
解説
@Componentデコレータは、このクラスを Angular コンポーネントとして定義します。selector: 'app-my-component'は、このコンポーネントの HTML セレクタを定義します。template: ``は、このコンポーネントのテンプレートを定義します。テンプレートには、{{ name }}インターポレーションを使用して、nameプロパティの値を表示する<h1>タグが含まれています。private name: string = 'Angular';は、nameという名前のプライベートな文字列プロパティを宣言し、初期値を 'Angular' に設定します。constructor()は、コンポーネントのコンストラクタです。コンストラクタ内では、初期化処理を実行できます。greet()メソッドは、コンポーネントのメソッドです。このメソッドは、コンソールにHello, ${this.name}とログ出力します。
ポイント
- コンポーネントのテンプレートでは、
{{ name }}インターポレーションを使用してnameプロパティの値を表示できます。これは、テンプレートエンジンがコンポーネントのプロパティにアクセスできるようにするためです。 greet()メソッド内では、this.nameを使用してnameプロパティにアクセスできます。これは、メソッドがコンポーネント内部で実行されるためです。nameプロパティはprivateキーワードで宣言されているため、コンポーネント外部からはアクセスできません。
TypeScriptでプライベートパラメータを使用する代替方法
プロパティゲッターとセッター
プロパティゲッターとセッターは、プロパティの値へのアクセスと設定を制御するためのメソッドです。ゲッターはプロパティの値を取得するために呼び出され、セッターはプロパティの値を設定するために呼び出されます。
class Person {
private _name: string;
get name(): string {
return this._name;
}
set name(newName: string) {
this._name = newName;
}
}
利点
- プロパティの値を変更する際に、追加の処理を実行できます。
- プロパティへのアクセスと設定を個別に制御できます。
欠点
- ゲッターとセッターのメソッドを記述する必要があるため、コードが煩雑になる可能性があります。
readonly 修飾子
readonly 修飾子は、プロパティの値を一度設定したら変更できないようにするものです。
class Person {
private readonly name: string;
constructor(name: string) {
this.name = name;
}
}
- コードが簡潔になります。
- プロパティの値が変更されないことを保証できます。
- プロパティの値を一度設定したら変更できないため、柔軟性に欠けます。
シンボル
シンボルは、ユニークな識別子を生成するための特殊なデータ型です。シンボルを使用して、プロパティ名を非公開にすることができます。
const nameSymbol = Symbol();
class Person {
private [nameSymbol]: string;
constructor(name: string) {
this[nameSymbol] = name;
}
greet() {
console.log(`Hello, ${this[nameSymbol]}`);
}
}
- プロパティ名を完全に非公開にすることができます。
- シンボルの構文は、他の方法と比べてわかりにくい場合があります。
アクセス修飾子
アクセス修飾子を使用して、プロパティやメソッドのアクセス範囲を制限することができます。
protected: クラス内部およびサブクラスでのみアクセス可能private: クラス内部でのみアクセス可能public: クラス内外からアクセス可能
例
class Person {
protected name: string;
constructor(name: string) {
this.name = name;
}
greet() {
console.log(`Hello, ${this.name}`);
}
}
class Student extends Person {
getStudentName() {
return this.name; // サブクラスからアクセス可能
}
}
- コードの継承関係を考慮したアクセス制御が可能
- プライベートパラメータほど強力なカプセル化は実現できない
どの方法を使用するかは、状況によって異なります。シンプルなカプセル化にはプライベートパラメータが適していますが、より高度な制御が必要な場合は、プロパティゲッターとセッター、readonly 修飾子、シンボル、アクセス修飾子などの代替方法を検討する必要があります。
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