TypeScript、TypeScript-typings、ts-nodeにおける型定義ファイル(.d.ts)の取り扱い

2024-05-05

この文書では、TypeScript、TypeScript-typings、ts-node における型定義ファイル(.d.ts)の取り扱いに関する問題と解決策について解説します。

問題

TypeScript コンパイラ tsc を使用してプロジェクトをコンパイルすると、型定義ファイル(.d.ts)が正しく処理され、型エラーなくコンパイルが完了します。しかし、ts-node を使用して同じプロジェクトを実行すると、型定義ファイルが無視され、型エラーが発生することがあります。

原因

この問題は、ts-nodetsc が型定義ファイルの処理方法に違いがあることに起因します。

  • tsc は、コンパイル時に型定義ファイルを読み込み、プロジェクトの型情報として利用します。
  • ts-node は、実行時に型定義ファイルを考慮せず、JavaScript コードのみを実行します。

解決策

この問題を解決するには、以下の方法があります。

tsconfig.json ファイルの include オプションを使用して、ts-node が読み込むファイルパスを指定することができます。型定義ファイルを含むすべてのディレクトリを include オプションに追加することで、ts-node が型定義ファイルを認識するようにすることができます。

{
  "compilerOptions": {
    /* ... */
  },
  "include": [
    "src/**/*.ts",
    "src/**/*.d.ts"
  ]
}

--types オプションを使用する

ts-node コマンドを実行する際に --types オプションを使用することで、型定義ファイルの場所を指定することができます。

ts-node --types=./typings ./src/main.ts

@types パッケージは、サードパーティ製ライブラリの型定義ファイルを配布するための仕組みです。プロジェクトで使用しているライブラリに @types パッケージが存在する場合は、以下のコマンドを使用してインストールすることができます。

npm install @types/<ライブラリ名>

require ステートメントを使用する

型定義ファイルが存在しないライブラリを使用している場合は、require ステートメントを使用してライブラリを読み込むことで、暗黙的に any 型として扱われ、型エラーを回避することができます。

const myLibrary = require('my-library');

注意事項

上記で紹介した解決策は、それぞれ一長一短があります。状況に応じて適切な方法を選択してください。

  • tsconfig.json ファイルを使用する方法は、プロジェクト全体の設定として型定義ファイルを指定できるという利点があります。
  • --types オプションを使用する方法は、個々のコマンド実行時に型定義ファイルを指定できるという利点があります。
  • @types パッケージを使用する方法は、サードパーティ製ライブラリの型定義ファイルを簡単に利用できるという利点があります。
  • require ステートメントを使用する方法は、型エラーを回避する簡単な方法ですが、型安全性を犠牲にすることになります。

ts-nodetsc における型定義ファイルの取り扱いには違いがあることに注意する必要があります。上記で紹介した解決策を参考に、状況に応じて適切な方法を選択することで、型エラーなくプロジェクトを実行することができます。




// tsconfig.json
{
  "compilerOptions": {
    "target": "es6",
    "module": "commonjs",
    "strict": true,
    "esModuleInterop": true,
    "skipLibCheck": true,
    "forceConsistentCasingInFileNames": true,
    "noImplicitAny": true,
    "strictNullChecks": true,
    "declaration": true,
    "outDir": "./dist"
  },
  "include": [
    "src/**/*.ts",
    "src/**/*.d.ts"
  ]
}

// src/index.ts
import { MyService } from "./services/my-service";

const service = new MyService();
console.log(service.greet("World"));

// src/services/my-service.d.ts
export class MyService {
  greet(name: string): string;
}

このコード例では、以下の点に注目してください。

  • tsconfig.json ファイルで include オプションを使用して、ts-node が読み込むファイルパスを指定しています。
  • src/services/my-service.d.ts ファイルで MyService クラスの型定義を宣言しています。
  • src/index.ts ファイルで MyService クラスをインポートし、型安全な方法で利用しています。

このコード例を参考に、自身のプロジェクトで ts-node と型定義ファイルを正しく利用することができます。




ts-node で型定義ファイル(.d.ts)を扱うその他の方法

上記で紹介した方法に加えて、ts-node で型定義ファイル(.d.ts)を扱うには、以下の方法もあります。

ts-node --project tsconfig.json ./src/main.ts

TSC_NODE_TYPE_CHECKING 環境変数を true に設定することで、ts-node が型チェックを行うようにすることができます。

TSC_NODE_TYPE_CHECKING=true ts-node ./src/main.ts

ts-node-dev パッケージは、ts-node を開発環境で使用する際に便利な機能を提供します。ts-node-dev を使用すると、ファイル変更を監視し、自動的に再起動を行うことができます。

npm install --save-dev ts-node-dev
ts-node-dev src/main.ts

ts-node register コマンドを実行することで、すべての TypeScript ファイルをグローバルに登録することができます。その後、ts-node コマンドなしで TypeScript ファイルを実行することができます。

ts-node register src/main.ts
node src/main.ts
  • --project オプションを使用する方法は、tsconfig.json ファイルの設定を利用できるという利点があります。
  • TSC_NODE_TYPE_CHECKING 環境変数を設定する方法は、シンプルな方法で型チェックを有効化できるという利点があります。
  • ts-node-dev パッケージを使用する方法は、開発環境で便利な機能を利用できるという利点があります。
  • ts-node register を使用する方法は、シンプルな方法で TypeScript ファイルを実行できるという利点があります。

ts-node で型定義ファイルを扱うには、様々な方法があります。それぞれの方法の利点と欠点を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することで、開発を効率化することができます。


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