【TypeScript チュートリアル】 `keyof` 演算子を使ってオブジェクトを操作する基本から応用まで

2024-07-27

TypeScript の keyof 演算子と型推論

例えば、以下のオブジェクトを定義します。

interface Person {
  name: string;
  age: number;
}

この場合、keyof Person'name' | 'age' という型になります。これは、Person オブジェクトのプロパティ名は 'name' または 'age' のいずれかであることを意味します。

しかし、keyof 演算子は、Person オブジェクトのプロパティ名に文字列以外の型が使用される可能性を考慮しません。例えば、以下のコードを実行します。

const person: Person = { name: 'John Doe', age: 30 };
const key: keyof Person = 0; // エラー: 'keyof Person' は 'string' | 'number' ですが、'0' は 'string' | 'number' のいずれにも一致しません。
const value: Person[key] = person[key]; // エラー: 'Person[key]' は 'string' | 'number' ですが、'string' | 'number' は 'string' と互換性がありません。

このコードは、key 変数に 0 を代入し、person[key] によってその値を取得しようとします。しかし、keyof Person'name' または 'age' という型のみを返します。そのため、0keyof Person に一致せず、エラーが発生します。

型推論を使用した keyof 演算子の制限の克服

TypeScript 4.0 以降では、型推論を使用して keyof 演算子の制限を克服することができます。これは、infer キーワードを使用して、keyof 演算子によって返される型を推論することで実現できます。

例えば、以下のコードを実行します。

type KeyOfPerson<T extends Person> = keyof T; // 'name' | 'age'
const key: KeyOfPerson<Person> = 'name'; // 型推論により 'name' となる
const value: Person[key] = person[key]; // 型推論により 'string' となる

このコードでは、KeyOfPerson 型パラメータを使用して、keyof 演算子によって返される型を推論します。KeyOfPerson<Person>'name' | 'age' という型になります。そのため、key 変数は 'name' 型になり、person[key]'string' 型になります。

TypeScript の keyof 演算子は、オブジェクトのすべてのプロパティ名の型を表現するユニオン型を返します。しかし、keyof 演算子は、常に文字列または数値の型を返します。TypeScript 4.0 以降では、型推論を使用して keyof 演算子の制限を克服することができます。

  • keyof 演算子の制限を克服するには、Mapped TypesConditional Types などの他の機能を使用することもできます。
  • 型推論は、コンパイラの推論能力に依存するため、常に正確であるとは限りません。
  • infer キーワードは、TypeScript 4.0 以降で使用できます。



例 1: オブジェクトのプロパティ名と値を配列に格納

この例では、keyof 演算子を使用してオブジェクトのプロパティ名を配列に格納し、その配列をループして各プロパティの値を出力します。

interface Person {
  name: string;
  age: number;
  occupation: string;
}

const person: Person = {
  name: 'John Doe',
  age: 30,
  occupation: 'Software Engineer'
};

const keys: (keyof Person)[] = Object.keys(person); // 'name' | 'age' | 'occupation' の型
for (const key of keys) {
  console.log(`${key}: ${person[key]}`); // name: John Doe, age: 30, occupation: Software Engineer
}

例 2: 特定の型のプロパティのみを処理

この例では、keyof 演算子とジェネリック型を使用して、特定の型のプロパティのみを処理します。

interface Product {
  name: string;
  price: number;
  stock: number;
}

const products: Product[] = [
  { name: 'Laptop', price: 1000, stock: 10 },
  { name: 'Phone', price: 500, stock: 5 },
  { name: 'Tablet', price: 300, stock: 20 },
];

function printProductDetails<T extends Product>(product: T, keys: (keyof T)[]): void {
  for (const key of keys) {
    console.log(`${key}: ${product[key]}`);
  }
}

const productNames: (keyof Product)[] = ['name', 'price']; // 'name' | 'price' の型
const product1 = products[0];
printProductDetails(product1, productNames); // name: Laptop, price: 1000

例 3: インデックス型を使用して動的なキーにアクセス

この例では、keyof 演算子とインデックス型を使用して、動的なキーにアクセスします。

interface User {
  id: number;
  [key: string]: any; // 任意のプロパティを許可
}

const users: User[] = [
  { id: 1, name: 'John Doe', age: 30 },
  { id: 2, name: 'Jane Doe', email: '[email protected]' },
];

function getUserProperty<T extends User, K extends keyof T>(userId: number, key: K): T[K] | undefined {
  const user = users.find(user => user.id === userId);
  if (user) {
    return user[key];
  } else {
    return undefined;
  }
}

const userName = getUserProperty(1, 'name'); // userName は 'John Doe' となる
const userEmail = getUserProperty(2, 'email'); // userEmail は '[email protected]' となる



ジェネリック型を使用して、オブジェクトの型をパラメータとして渡すことができます。これにより、コンパイラはオブジェクトのプロパティ名の型をより正確に推論することができます。

interface User<T> {
  id: number;
  [key: string]: T; // 任意のプロパティを許可
}

function getUserProperty<T extends User<T>, K extends keyof T>(user: User<T>, key: K): T[K] | undefined {
  return user[key];
}

const userName = getUserProperty({ id: 1, name: 'John Doe' }, 'name'); // userName は 'John Doe' となる
const userEmail = getUserProperty({ id: 2, email: '[email protected]' }, 'email'); // userEmail は '[email protected]' となる

typeof 演算子を使用する

typeof 演算子を使用して、オブジェクトの型を取得し、その型のプロパティ名の型を表現するユニオン型を作成することができます。

interface User {
  id: number;
  name: string;
  email: string;
}

const user: User = { id: 1, name: 'John Doe', email: '[email protected]' };
const keys: (keyof User)[] = Object.keys(user) as (keyof typeof user)[]; // 'id' | 'name' | 'email' の型
for (const key of keys) {
  console.log(`${key}: ${user[key]}`); // name: John Doe, age: 30, occupation: Software Engineer
}

Mapped Types を使用する

Mapped Types を使用して、オブジェクトのプロパティ名の型を個別に指定することができます。

type UserKeys = {
  id: number;
  name: string;
  email: string;
};

type UserProperty<K extends keyof UserKeys> = UserKeys[K];

function getUserProperty<K extends keyof UserKeys>(user: User, key: K): UserProperty<K> | undefined {
  return user[key];
}

const userName = getUserProperty(user, 'name'); // userName は 'John Doe' となる
const userEmail = getUserProperty(user, 'email'); // userEmail は '[email protected]' となる

Conditional Types を使用する

Conditional Types を使用して、オブジェクトのプロパティ名の型に応じて異なる型を返すことができます。

type UserProperty<K extends keyof User> =
  K extends 'id' ? number :
  K extends 'name' | 'email' ? string :
  never;

function getUserProperty<K extends keyof User>(user: User, key: K): UserProperty<K> | undefined {
  return user[key];
}

const userName = getUserProperty(user, 'name'); // userName は 'John Doe' となる
const userEmail = getUserProperty(user, 'email'); // userEmail は '[email protected]' となる

これらの方法はそれぞれ異なる利点と欠点があります。状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。


typescript typescript-typings



TypeScript で enum を作る方法

TypeScriptでは、enumというキーワードを使用して、特定の値のセットを定義することができます。これは、定数や列挙型のような役割を果たします。この例では、Colorという名前のenumを定義しています。このenumは、Red、Green、Blueという3つの値を持ちます。これらの値は、数値として内部的に表現されます。...


TypeScript メソッドオーバーロード 解説

TypeScriptでは、同じ名前の関数を複数の異なるシグネチャで定義することで、メソッドオーバーロードを実現できます。これにより、入力パラメータの種類や数に応じて異なる処理を行うことができます。基本的な方法例注意点オペレータオーバーロード TypeScriptでは、C++やJavaのようなオペレータオーバーロードはサポートされていません。つまり、+、-、*などの演算子の挙動を独自に定義することはできません。...


Knockout.jsとTypeScriptでシンプルTodoアプリを作ってみよう

Knockout. js は、JavaScript フレームワークであり、DOM 操作とデータバインディングを容易にすることで、Web アプリケーション開発を簡素化します。TypeScript は、JavaScript の静的型付けスーパーセットであり、型安全性を向上させ、開発者の生産性を高めることができます。...


TypeScriptとJavaScriptの違いは?

TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットであり、JavaScriptに静的型付けの機能を追加したプログラミング言語です。つまり、TypeScriptのコードはJavaScriptのコードとしても実行できますが、TypeScriptでは変数や関数の型を明示的に指定することができます。...


JavaScriptとTypeScriptにおけるオープンエンド関数引数

この例では、sum関数は. ..numbersという引数を受け取ります。...演算子は、渡された引数を配列に変換します。そのため、numbers変数には、呼び出し時に渡されたすべての数値が格納されます。TypeScriptでは、引数の型も指定できます。この例では、sum関数はnumber型の引数のみを受け取るように定義されています。...



SQL SQL SQL SQL Amazon で見る



【徹底解説】JavaScriptとTypeScriptにおけるswitch文で同じコードを実行する2つの方法と注意点

この場合、以下の 2 つの方法で実現することができます。上記の例では、value が 1 または 3 の場合、console. log("値は 1 または 3 です"); が実行されます。同様に、value が 2 または 4 の場合、console


サンプルコードで解説! TypeScript で jQuery Autocomplete を使いこなす

jQuery の型定義ファイルの導入TypeScript で jQuery を利用するために、型定義ファイルが必要です。型定義ファイルは、jQuery の関数やプロパティの型情報を提供し、TypeScript の IntelliSense 機能でオートコンプリートやエラーチェックを有効にします。


軽量で効率的な TypeScript コード: 最小化の重要性とベストプラクティス

そこで、TypeScriptを最小化と呼ばれる手法でコンパイルすることで、コードサイズを削減し、実行速度を向上させることができます。最小化は、コメントや空白などの不要な文字列を削除し、変数名を短縮するなどの処理を行います。TypeScriptを最小化する方法


TypeScriptでHTMLElementの型アサート

TypeScriptでは、HTMLElementの型をアサートして、その要素に存在するメソッドやプロパティにアクセスすることができます。アサートは、変数に特定の型があることをコンパイラに伝えるための方法です。アサートの構文ここで、typeはアサートする型、expressionはアサートしたい値です。


TypeScript型定義ファイル作成ガイド

TypeScriptでJavaScriptライブラリを型付けするTypeScriptは、JavaScriptに静的型付け機能を追加する言語です。既存のJavaScriptライブラリをTypeScriptで使用するためには、そのライブラリの型定義ファイル(.d.tsファイル)を作成する必要があります。