TypeScript Enum 逆引き 解説

2024-10-28

TypeScript の Enum は、数値や文字列の値と関連付けられた名前の集まりです。通常、Enum の名前からその値を取得することは簡単ですが、値から名前を取得する (逆引き) には少し工夫が必要です。

なぜ逆引きが必要なのか?

  • エラーハンドリング
    不正な値が入力された場合、Enum の定義に基づいて適切なエラーメッセージを表示するために逆引きが役立ちます。
  • 文字列ベースの Enum
    文字列ベースの Enum では、値が動的に生成される場合や、外部から入力された文字列を Enum の値と照合したい場合に逆引きが必要になります。

逆引きの実装方法

手動によるループ

最もシンプルな方法は、Enum のキーをループして、対応する値と比較する方法です:

enum Direction {
  Up = 'UP',
  Down = 'DOWN',
  Left = 'LEFT',
  Right = 'RIGHT'
}

function getDirectionKeyByValue(value: string): string | undefined {
  for (const key in Direction) {
    if (Direction[key] === value) {
      return key;
    }
  }
  return undefined;
}

const directionKey = getDirectionKeyByValue('DOWN'); // 'Down'

Object.keys と Object.values を利用した方法

より簡潔な方法として、Object.keysObject.values を組み合わせて、Enum をオブジェクトとして扱い、値からキーを検索できます:

const directionKeys = Object.keys(Direction);
const directionValues = Object.values(Direction);

function getDirectionKeyByValue(value: string): string | undefined {
  const index = directionValues.indexOf(value);
  return index !== -1 ? directionKeys[index] : undefined;
}

TypeScript 4.1 以降のテンプレート文字列を利用した方法

TypeScript 4.1 以降では、テンプレート文字列を使って、より簡潔に逆引きを実現できます:

const directionKey = Object.keys(Direction)[Object.values(Direction).indexOf('DOWN')];

注意

  • Enum の値が重複している場合、逆引きは正確な結果を返さない可能性があります。
  • 逆引きは、Enum の定義が変更された場合に影響を受ける可能性があります。



enum Direction {
  Up = 'UP',
  Down = 'DOWN',
  Left = 'LEFT',
  Right = 'RIGHT'
}

function getDirectionKeyByValue(value: string): string | undefined {
  for (const key in Direction) {
    if (Direction[key] === value) {
      return key;
    }
  }
  return undefined;
}

const directionKey = getDirectionKeyByValue('DOWN'); // 'Down'
const directionKeys = Object.keys(Direction);
const directionValues = Object.values(Direction);

function getDirectionKeyByValue(value: string): string | undefined {
  const index = directionValues.indexOf(value);
  return index !== -1 ? directionKeys[index] : undefined;
}
const directionKey = Object.keys(Direction)[Object.values(Direction).indexOf('DOWN')];



Enum の定義時に Map オブジェクトを使用して、値とキーの対応関係を事前に定義しておくことができます。

enum Direction {
  Up = 'UP',
  Down = 'DOWN',
  Left = 'LEFT',
  Right = 'RIGHT'
}

const directionMap = new Map<string, string>([
  [Direction.Up, 'Up'],
  [Direction.Down, 'Down'],
  [Direction.Left, 'Left'],
  [Direction.Right, 'Right'],
]);

function getDirectionKeyByValue(value: string): string | undefined {
  return directionMap.get(value);
}

const directionKey = getDirectionKeyByValue('DOWN'); // 'Down'

型ガードと条件付き型を利用する方法

TypeScript 4.1 以降では、型ガードと条件付き型を使って、より型安全な逆引きを行うことができます。

enum Direction {
  Up = 'UP',
  Down = 'DOWN',
  Left = 'LEFT',
  Right = 'RIGHT'
}

type DirectionKey = keyof typeof Direction;

function getDirectionKeyByValue(value: string): DirectionKey | undefined {
  if (value === Direction.Up) {
    return 'Up';
  } else if (value === Direction.Down) {
    return 'Down';
  } else if (value === Direction.Left) {
    return 'Left';
  } else if (value === Direction.Right) {
    return 'Right';
  }
  return undefined;
}

const directionKey = getDirectionKeyByValue('DOWN'); // 'Down'
  • 型ガードと条件付き型を利用する方法では、Enum の値が増えるごとにコードが冗長になる可能性があります。
  • Map オブジェクトを利用する方法では、Enum の定義と Map の定義を同期させる必要があります。

typescript



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