TypeScriptのundefinedエラー解説

2024-10-09

JavaScriptのエラー「Cannot invoke an object which is possibly 'undefined'.ts(2722)」を日本語で解説

理解するエラーメッセージ

このエラーメッセージは、TypeScriptのコンパイル時に発生します。その意味は、**「オブジェクトが 'undefined' の可能性があるため、それを呼び出すことはできません」**ということです。

エラーの原因

このエラーは、主に以下のような状況で発生します。

  1. 変数やプロパティが初期化されていない
    変数を宣言した後、値を代入する前に使用すると、その変数は 'undefined' の可能性があります。
  2. オブジェクトのプロパティが 'undefined' になる可能性がある
    オブジェクトのプロパティが条件分岐や関数呼び出しの結果として 'undefined' になる可能性があります。
  3. オプションチェーン演算子(?.)を使用していない
    オプションチェーン演算子を使用せずに、オブジェクトのネストされたプロパティにアクセスすると、中間レベルのプロパティが 'undefined' の場合にエラーが発生します。

例と解決方法

例1: 変数が初期化されていない

let myObject;
console.log(myObject.property); // エラーが発生
  • 解決方法
    変数に値を代入してから使用します。
let myObject = { property: "value" };
console.log(myObject.property); // 正常に実行

例2: オブジェクトのプロパティが 'undefined' になる可能性がある

function getMyObject(): { property?: string } {
  // 場合によっては property が undefined になる
  return {};
}

const myObject = getMyObject();
console.log(myObject.property.toUpperCase()); // エラーが発生
  • 解決方法
    オプションチェーン演算子を使用するか、条件分岐でチェックします。
// オプションチェーン演算子を使用
console.log(myObject?.property?.toUpperCase());

// 条件分岐でチェック
if (myObject && myObject.property) {
  console.log(myObject.property.toUpperCase());
}

TypeScriptの型システムの利点




let myObject;
console.log(myObject.property); // エラーが発生

解説

  • undefined の値に対してプロパティ property にアクセスしようとすると、エラーが発生します。
  • myObject は初期化されていないため、undefined の値を持ちます。
function getMyObject(): { property?: string } {
  // 場合によっては property が undefined になる
  return {};
}

const myObject = getMyObject();
console.log(myObject.property.toUpperCase()); // エラーが発生
  • myObject.propertyundefined の場合、toUpperCase() メソッドを呼び出すとエラーが発生します。
  • getMyObject() 関数は、propertyundefined になる可能性のあるオブジェクトを返します。

例3: オプションチェーン演算子を使用しない

const myObject = { nested: { property: "value" } };
console.log(myObject.nested.another.property); // エラーが発生
  • myObject.nested.anotherundefined の場合、property にアクセスするとエラーが発生します。

TypeScriptの「undefined」エラーの解説

TypeScript は、変数やオブジェクトのプロパティが undefined の可能性がある場合に、コンパイル時にエラーを報告します。これは、コードの健全性を確保し、潜在的なバグを早期に発見するのに役立ちます。

エラーを回避する方法

  • 条件分岐を使用して undefined をチェックする
    if 文や三項演算子を使用して、プロパティが undefined であるかどうかを確認し、適切な処理を行ってください。
  • オブジェクトのプロパティをオプションチェーン演算子(?.)でアクセスする
    オプションチェーン演算子を使用すると、中間レベルのプロパティが undefined の場合でもエラーが発生しません。
  • 変数を初期化してから使用する
    変数を宣言したら、適切な値を代入してください。



オプションチェーン演算子(?.)の使用

この演算子は、プロパティが undefined または null の場合にエラーを発生させずに undefined を返すため、安全なアクセスを提供します。

const myObject = { nested: { property: "value" } };
console.log(myObject?.nested?.another?.property); // 正常に実行され、undefinedを返す

条件分岐の使用

プロパティが undefined または null であるかどうかを明示的にチェックし、必要な処理を実行します。

const myObject = { nested: { property: "value" } };

if (myObject && myObject.nested && myObject.nested.another) {
  console.log(myObject.nested.another.property);
} else {
  // プロパティが undefined または null の場合の処理
}

非破壊的な null 合併演算子(??)の使用

この演算子は、左側のオペランドが null または undefined の場合に右側のオペランドを返します。

const myObject = { nested: { property: "value" } };
const defaultValue = "default";
const result = myObject?.nested?.another?.property ?? defaultValue;
console.log(result); // 正常に実行され、プロパティが存在しない場合はdefaultValueを返す

TypeScriptの非ヌル型アサーション(!)の使用

このアサーションは、コンパイラに、変数が null または undefined ではないことを保証するように指示します。ただし、誤って使用するとランタイムエラーが発生する可能性があるため、慎重に使用してください。

const myObject = { nested: { property: "value" } };
console.log((myObject.nested as NonNullable<typeof myObject.nested>).another.property); // 正常に実行されるが、プロパティが undefined の場合はランタイムエラーが発生する

TypeScriptの型ガードの使用

型ガードは、変数の型をより具体的な型に絞り込むための条件式です。型ガードを使用して、プロパティが undefined ではないことを確認できます。

function isMyObject(obj: any): obj is { nested: { property: string; } } {
  return obj && typeof obj.nested === "object" && obj.nested.property !== undefined;
}

const myObject = { nested: { property: "value" } };

if (isMyObject(myObject)) {
  console.log(myObject.nested.another.property); // 正常に実行される
}

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