Angular 9 で導入されたグローバルな $localize() 関数とは?
Angular 9 で導入されたグローバルな $localize() 関数とは?
従来の i18n メカニズムでは、翻訳対象の文字列を特殊な構文で囲む必要がありました。しかし、$localize()
関数を使用すると、より自然な書き方で翻訳対象の文字列を指定することができます。
$localize() 関数の利点
- より自然なテンプレート記述
- 翻訳対象の文字列の視認性向上
- コードの簡潔化
$localize() 関数の使い方
<p>ようこそ、{{ name }} さん!</p>
上記の例では、{{ name }}
が翻訳対象の文字列としてマークされています。$localize()
関数は、この文字列を翻訳後の文字列に置き換えます。
翻訳後の文字列は、翻訳ファイルに定義されます。例えば、日本語の場合は以下のように翻訳ファイルを定義します。
{
"WELCOME": "ようこそ、{{ name }} さん!"
}
$localize()
関数は、翻訳ファイルのキーと翻訳対象の文字列を一致させて、翻訳後の文字列を返します。
$localize()
関数を利用するには、以下の手順が必要です。
@angular/localize
パッケージをインストールする。polyfills.ts
ファイルにimport '@angular/localize';
を追加する。- 翻訳対象の文字列を
$localize()
関数でマークする。 - 翻訳ファイルを定義する。
Angular 9 で導入された $localize()
関数は、i18n の処理をより容易にし、テンプレート記述をより自然にする強力なツールです。i18n を必要とする Angular アプリケーション開発において、積極的に活用することをおすすめします。
Angular 9 で $localize() 関数を利用したサンプルコード
app.component.html
<p>ようこそ、{{ $localize('WELCOME', { name: user.name }) }} さん!</p>
import { Component } from '@angular/core';
@Component({
selector: 'app-root',
templateUrl: './app.component.html',
styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
user = {
name: '田中 太郎'
};
}
messages.json
{
"WELCOME": "ようこそ、{{ name }} さん!"
}
このコードでは、app.component.html
ファイルで $localize()
関数を使用して、WELCOME
という翻訳キーと user.name
という変数を指定して翻訳対象の文字列をマークしています。
app.component.ts
ファイルでは、user
というオブジェクトを定義し、その中に name
というプロパティにユーザーの名前を設定しています。
messages.json
ファイルには、WELCOME
という翻訳キーと翻訳後の文字列を定義しています。
実行時に、$localize()
関数は messages.json
ファイルの翻訳キーと一致する翻訳後の文字列を返します。そして、翻訳対象の文字列と翻訳後の文字列を結合して、テンプレートに挿入します。
この例は、$localize()
関数の基本的な使い方を示しています。実際のアプリケーションでは、より複雑な翻訳処理を行うことも可能です。
- 翻訳対象の文字列にフォーマットを適用する
- 複数形の翻訳に対応する
- HTML タグを含む翻訳を行う
これらのサンプルコードは、以下のサイトなどで参照することができます。
$localize()
関数は、Angular 9 で導入された強力な i18n ツールです。この関数を活用することで、i18n の処理をより容易にし、テンプレート記述をより自然にすることができます。
サンプルコードを参考に、ぜひ $localize()
関数を使いこなして、国際対応の Angular アプリケーション開発を進めてください。
Angular 9 で翻訳を実現するその他の方法
ngx-translate は、Angular 向けのオープンソースの翻訳ライブラリです。$localize()
関数よりも多くの機能を提供しており、複雑な翻訳処理にも対応できます。
- 利点
- 多くの機能を備えている
- 複雑な翻訳処理に対応できる
- 欠点
ICU メッセージフォーマットは、複数形の翻訳や性別による翻訳など、複雑な翻訳を記述するためのフォーマットです。
- 利点
- 欠点
カスタムパイプを使用して、翻訳処理を独自に実装することもできます。
- 利点
- 欠点
どの方法を選択するかは、プロジェクトの要件や開発者のスキルによって異なります。
- シンプルな翻訳であれば、
$localize()
関数で十分でしょう。 - 複雑な翻訳が必要であれば、ngx-translate や ICU メッセージフォーマットを使用することを検討しましょう。
- 完全な柔軟性が必要であれば、カスタムパイプを使用しましょう。
以下は、各方法の比較表です。
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
$localize() 関数 | シンプル | 機能が少ない |
ngx-translate | 機能が多い | 設定やコード量が多くなる |
ICU メッセージフォーマット | 複雑な翻訳を記述できる | 記述が複雑になる |
カスタムパイプ | 完全な柔軟性を備えている | 開発・保守の手間がかかる |
Angular 9 で翻訳を実現するには、様々な方法があります。それぞれの方法の利点と欠点を理解し、プロジェクトの要件に合った方法を選択することが重要です。
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