Object.entriesの型推論を拡張して、より安全なTypeScript開発を行う

2024-06-08

TypeScript における Object.entries の型推論

問題点

Object.entries の型定義は次のとおりです。

function entries<T>(obj: T): [string, T][];

この型定義によると、Object.entries は、任意のオブジェクト obj を引数として受け取り、文字列と obj の型の値のペアの配列を返します。つまり、キーは常に文字列型になります。

しかし、実際には、オブジェクトのキーは文字列型以外にもなり得ます。例えば、次のようなオブジェクトを考えてみましょう。

type User = {
  id: number;
  name: string;
  age: number;
};

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = Object.entries(user);

この場合、entries は次のようになります。

[["id", 1], ["name", "John Doe"], ["age", 30]];

しかし、TypeScript は、entries のキーが User の型のプロパティであるとは推論できません。そのため、entries の型は次のようになります。

[string, User][];

この型は、キーが文字列型であることを保証しますが、値が User の型のオブジェクトであることを保証しません。

解決策

この問題を解決するには、Object.entries の型推論を拡張する必要があります。これには、いくつかの方法があります。

型パラメータの使用

Object.entries の型パラメータを使用して、キーと値の型を明示的に指定することができます。

function entries<K extends keyof T, T>(obj: T): [K, T[K]][];

この型定義によると、Object.entries は、オブジェクト obj を引数として受け取り、obj の型のキーと値のペアの配列を返します。キーは obj の型のプロパティ型であり、値は obj の型の対応する値型です。

type User = {
  id: number;
  name: string;
  age: number;
};

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = Object.entries<keyof User, User>(user);
[number, string | number][];

この型は、キーが User の型のプロパティ型であること、値が User の型の対応する値型であることを保証します。

型ガードの使用

function entries<T>(obj: T): [string, T][];

function isUserEntry<T>(entry: [string, T]): entry is [keyof T, T[keyof T]] {
  const [key, value] = entry;
  return typeof key === "string" && key in obj;
}

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = Object.entries(user);

for (const entry of entries) {
  if (isUserEntry(entry)) {
    const [key, value] = entry;
    console.log(`key: ${key}, value: ${value}`);
  }
}

このコードでは、isUserEntry 関数を使用して、entryUser オブジェクトのキーと値のペアであるかどうかを判定しています。isUserEntry 関数が true を返す場合、entry のキーは keyof User 型であり、値は User の型の対応する値型であることが保証されます。

Object.entries の型推論を拡張することで、キーと値の型関係を正しく保つことができます。上記で紹介した方法以外にも、さまざまな方法があります。状況に応じて適切な方法を選択してください。

補足

  • 上記のコードはあくまで例



TypeScriptにおけるObject.entriesの型推論を拡張するサンプルコード

型パラメータの使用

type User = {
  id: number;
  name: string;
  age: number;
};

function entriesWithGeneric<K extends keyof T, T>(obj: T): [K, T[K]][];

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = entriesWithGeneric<keyof User, User>(user);
console.log(entries); // [["id", 1], ["name", "John Doe"], ["age", 30]]

このコードでは、entriesWithGenericというジェネリック関数を定義しています。この関数は、オブジェクトobjと、objの型のキーと値の型を表す型パラメータKTを引数として受け取ります。そして、objのキーと値のペアの配列を返します。

entriesWithGeneric関数を呼び出す際には、objの型と、KTの具体的な型を指定する必要があります。上記の例では、objの型はUserKの型はkeyof UserTの型はUserとしています。

この型指定により、TypeScriptコンパイラはentries変数の型を正確に推論することができます。つまり、entries変数は[keyof User, User[keyof User]][]型の配列であることが保証されます。

型ガードの使用

type User = {
  id: number;
  name: string;
  age: number;
};

function isUserEntry<T>(entry: [string, T]): entry is [keyof T, T[keyof T]] {
  const [key, value] = entry;
  return typeof key === "string" && key in obj;
}

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = Object.entries(user);

for (const entry of entries) {
  if (isUserEntry(entry)) {
    const [key, value] = entry;
    console.log(`key: ${key}, value: ${value}`); // key: id, value: 1, key: name, value: John Doe, key: age, value: 30
  }
}

このコードでは、isUserEntryという型ガード関数を定義しています。この関数は、entryUserオブジェクトのキーと値のペアであるかどうかを判定します。

isUserEntry関数は、entryのキーが文字列型であること、そしてentryのキーがobjオブジェクトのプロパティであることを確認します。これらの条件が満たされる場合、isUserEntry関数はtrueを返します。

これらのサンプルコードは、TypeScriptにおけるObject.entriesの型推論を拡張する方法を2つ示しています。状況に応じて適切な方法を選択してください。

  • 上記のコードはあくまで例であり、実際の使用状況に合わせて変更する必要があります。



TypeScript における Object.entries の型推論を拡張するその他の方法

keyof 演算子を使用して、オブジェクトの型のキーの型を取得することができます。この型を使用して、Object.entries の結果の型を明示的に指定することができます。

type User = {
  id: number;
  name: string;
  age: number;
};

function entriesWithKeyof<T>(obj: T): [keyof T, T[keyof T]][];

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = entriesWithKeyof<User>(user);
console.log(entries); // [["id", 1], ["name", "John Doe"], ["age", 30]]

Record 型を使用して、オブジェクトのキーと値の型関係を明示的に指定することができます。

type UserRecord = Record<keyof User, User[keyof User]>;

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = Object.entries(user) as [keyof UserRecord, UserRecord[keyof UserRecord]][];
console.log(entries); // [["id", 1], ["name", "John Doe"], ["age", 30]]

このコードでは、UserRecord という型エイリアスを定義しています。この型エイリアスは、keyof User 型のキーと User[keyof User] 型の値を持つオブジェクトを表します。

@ts-expect-error ディレクティブを使用して、TypeScript コンパイラの型エラーを抑制することができます。ただし、このディレクティブを使用するのは、意図的に型エラーが発生することを認識している場合にのみ行うべきです。

type User = {
  id: number;
  name: string;
  age: number;
};

function entriesWithGeneric<K extends keyof T, T>(obj: T): [K, T[K]][];

const user: User = {
  id: 1,
  name: "John Doe",
  age: 30,
};

const entries = entriesWithGeneric<keyof User, User>(user) as [string, User][]; // @ts-expect-error
console.log(entries); // [["id", 1], ["name", "John Doe"], ["age", 30]]

このコードでは、entriesWithGeneric 関数を呼び出す際に、@ts-expect-error ディレクティブを使用しています。このディレクティブにより、TypeScript コンパイラは型エラーを抑制し、コードの実行を続行します。

@ts-expect-error ディレクティブを使用する場合は、意図的に型エラーが発生することを認識していることを確認してください。


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