TypeScript 3.8で導入された「import type」とは?

2024-05-18

TypeScript 3.8における「import type」の必要性:自ファイルからのインポートのみの場合

結論から言うと、必須ではありません。自ファイルからのインポートのみの場合、「import type」を使用する利点は限定的です。

型情報の明確化

「import type」を使用すると、インポートしている型情報のみを明示的に示すことができます。これは、コードの意図をより明確にし、特に複雑な型構造を扱う場合に役立ちます。

// 例:import type を使用しない場合
import { User } from './user';

// 型情報が曖昧:User のすべてのプロパティが利用可能と解釈される可能性がある
const user: User = { name: 'John Doe' };

// 例:import type を使用する場合
import type { User } from './user';

// 型情報が明確:User の指定されたプロパティのみが利用可能
const user: User = { name: 'John Doe' };

コンパイルサイズの削減

「import type」は、実行時に使用されない型情報のみをインポートするため、コンパイルされたJavaScriptファイルのサイズを小さくすることができます。これは、特に大型プロジェクトにおいて重要です。

ただし、以下の点に注意する必要があります。

  • 型情報の自動補完への影響: 一部のエディタでは、「import type」を使用した場合、型情報の自動補完が正しく動作しない場合があります。
  • コードの読みやすさへの影響: 頻繁に「import type」を使用すると、コードが冗長になり、読みづらくなる可能性があります。



TypeScriptにおける「import type」の実用例:サンプルコード

この例では、「import type」を使用して、インポートする型情報のみを明示的に示します。

// ファイル: user.ts
export interface User {
  id: number;
  name: string;
  email: string;
}

// ファイル: main.ts
import type { User } from './user';

const user: User = {
  id: 1,
  name: 'John Doe',
  email: '[email protected]',
};

console.log(user.id); // 型情報が明確なので、`user.id` にアクセスできる
console.log(user.address); // 型情報が明確でないため、`user.address` にはアクセスできない

この例では、「import type」を使用して、実行時に使用されない型情報のみをインポートし、コンパイルされたJavaScriptファイルのサイズを削減します。

// ファイル: utils.ts
export function calculateArea(width: number, height: number): number {
  return width * height;
}

// ファイル: main.ts
import { calculateArea } from './utils';
import type { Rectangle } from './utils'; // 実行時に使用されない型情報はインポートしない

const rectangle: Rectangle = { width: 10, height: 5 };
const area = calculateArea(rectangle.width, rectangle.height);
console.log(area);

型エイリアスのインポート

// ファイル: types.ts
export type UserId = number;
export type UserName = string;

// ファイル: main.ts
import type { UserId, UserName } from './types';

const userId: UserId = 1;
const userName: UserName = 'John Doe';

console.log(userId);
console.log(userName);

外部モジュールの型のみのインポート

// ファイル: main.ts
import type { SomeModule } from 'some-module';

const someModule: SomeModule = {
  // 型情報に基づいて、`someModule` のプロパティにアクセスできる
  property1: 'value1',
  property2: 'value2',
};

これらの例は、「import type」がどのように使用できるかを示すほんの一例です。「import type」は、プロジェクトの型システムをより明確かつ効率的に保つのに役立つ強力なツールですが、すべての状況で必要とは限りません

注意事項:

  • 上記の例では、Node.js形式のモジュールシステムを使用しています。他のモジュールシステムを使用している場合は、構文が異なる場合があります。



TypeScript で import type 以外の方法でモジュールから型のみをインポートする方法

型エイリアスを使用して、インポートする型を定義することができます。

// ファイル: module.ts
export interface User {
  id: number;
  name: string;
  email: string;
}

// ファイル: main.ts
export type { User } from './module'; // 型エイリアスとしてインポート

const user: User = {
  id: 1,
  name: 'John Doe',
  email: '[email protected]',
};

この方法の利点は、型エイリアスに名前を付けることができることです。これは、コードの意図をより明確にし、特に複雑な型構造を扱う場合に役立ちます。

インターフェースの宣言マージ

declare global キーワードを使用して、インポートするモジュールのインターフェースをグローバルスコープに宣言することができます。

// ファイル: module.ts
export interface User {
  id: number;
  name: string;
  email: string;
}

// ファイル: main.ts
declare global {
  interface User {
    id: number;
    name: string;
    email: string;
  }
}

const user: User = {
  id: 1,
  name: 'John Doe',
  email: '[email protected]',
};

この方法の利点は、インポートモジュールの型定義を直接編集できることです。ただし、グローバルスコープを汚染するという欠点もあります。

AMBIENT キーワードを使用して、インポートするモジュールの型定義を宣言することができます。

// ファイル: module.ts
export interface User {
  id: number;
  name: string;
  email: string;
}

// ファイル: main.ts
ambient declare module './module' {
  interface User {
    id: number;
    name: string;
    email: string;
  }
}

const user: User = {
  id: 1,
  name: 'John Doe',
  email: '[email protected]',
};

この方法は、declare global と似ていますが、グローバルスコープを汚染せずに型定義を宣言することができます。ただし、TypeScript 3.8以降でのみ使用可能です。

第三者製のライブラリ

ts-nameof@types/moduleName などのサードパーティ製のライブラリを使用して、モジュールから型のみをインポートすることができます。

これらのライブラリは、import type と同様の機能を提供しますが、追加のインストールと設定が必要です。

  • コードの明確性と可読性を重視する場合は、型エイリアスがおすすめです。
  • インポートモジュールの型定義を編集する必要がある場合は、インターフェースの宣言マージがおすすめです。
  • グローバルスコープを汚染したくない場合は、AMBIENT キーワード または サードパーティ製のライブラリ がおすすめです。

    typescript import module


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